JST 国立研究開発法人 科学技術振興機構

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SCENARIO 社会課題の解決を目指して

当事者研究によるダイバーシティ&インクルージョンの社会実装

2021年05月20日

シナリオを描く

  • 主催:

    東京大学先端科学技術研究センター准教授 熊谷晋一郎

解くべき課題

◆ダイバーシティ&インクルージョンという理念の社会実装
◆組織における「高信頼性」の獲得と「スティグマ(社会的烙印をおすこと)」の低減

取組のポイント

◆障害や病気など何らかの困難を抱えた本人が、その解釈や対処法について、日常生活の中で仮説生成・実証実験をする「当事者研究(※)」という方法を、マジョリティにも普遍化することによるダイバーシティ&インクルージョンの社会実装
 ※JST・CREST「認知ミラーリング:認知過程の自己理解と社会的共有による発達障害者支援」ほか
◆組織への実装に向けたキーワード①:高信頼性
組織が高い信頼性を保ってパフォーマンスを発揮するには、以下条件を満たす文化によって複雑な構造(技術システムや制度)を制御する必要がある。
・センスメイキング:想定外の事態に対する行動しながらの意味付け。
・マインドフルネス:想定外の事態を見逃させてしまう無意識のバイアスを積極的に取り除き続けようとする構え。
・ジャスト・カルチャー:失敗を個人に帰属して非難することを避け、組織構造のアップデートを要求するシグナルとして捉える文化。
◆組織への実装に向けたキーワード②:反スティグマ
一部の属性に対する偏見や差別的な態度、あるいは社会的烙印を指す「スティグマ」の低減には以下のアプローチが有効。
・対等な関係の下で当事者の経験や思いに触れ、多数派が自身の延長線上にマイノリティの苦労や違いを見出すこと(対:公的スティグマ)
・等身大の自分を認め合う心理的安全性の高い場への帰属感を持つこと(対:自己スティグマ)
・法令や政策、社会や組織の空間的デザインを改正すること(対:構造的スティグマ)。

取組内容

◆承認済プロトコールによる高信頼性と反スティグマの計測
・事前・事後アンケートにより心理的安全性や謙虚なリーダーシップ、知識の共有などを計測。
・マイクロアグレッション(意識の有無を問わず地位、特徴、帰属などに基づいて他者をけなすような日々のやりとり)の自己報告とライフログによる、日々の無理解な言動の頻度と、その影響によるストレス反応と業務効率の低下を計測。
◆組織等をよりダイバーシティ&インクルージョンにするための事業とその効果を測定
・雇用創出、職域拡大(例:太陽の家)
・組織のコ・アセスメント(例:WheeLog)
・知識共有(例:とどけるプロジェクト、当事者研究)
・VRなどを活用した疑似体験(例:空力者)
・高信頼性組織化(例:当事者研究、Swallow pocket)
◆全国の取組の可視化
・企業、メディア連携(例:Swallow pocket)

シナリオの出どころ

議論の参加者

・株式会社シアン 岩井隆浩
・ヤマハ発動機株式会社 小川詩音
・一般社団法人WheeLog 織田友理子
・NPO法人ETIC.  北川幸子
・社会福祉法人太陽の家 山下達夫
・NPO法人ETIC. 佃真衣
・帝京科学大学 非常勤講師/日本科学未来館元SC 熊谷香菜子

関連情報

「当事者研究」に関する情報
「高信頼性組織」に関する情報
「スティグマ」に関する情報

お問い合わせ先

https://chance-network.jp/#contact

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