JST 国立研究開発法人 科学技術振興機構

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SCENARIO 社会課題の解決を目指して

ベンチャー企業、養殖業者、役場、漁協、大学が一体となって日本の水産養殖業を救う!

2019年10月21日

シナリオを実現する

  • 主催:

    株式会社ウミトロン

解くべき課題

◆将来的な世界規模でのたんぱく源供給量の不足
・2050年には約100億人に到達すると予測されている世界人口。途上国の生活水準向上も影響し、将来的にたんぱく源供給量の不足が危惧されている。
・水産養殖業のポテンシャルは、養殖に適した海洋条件の面積ベースでは現在の100倍とも言われており、水産養殖業は世界的な成長産業として位置付けられている。
◆餌代の高騰による水産養殖業者の経営圧迫
・しかし日本の水産養殖業は、世界トップクラスの技術を有しながら右肩下がりの状況にある。大きな影響を及ぼしているのが、餌(魚粉)の価格高騰による経営圧迫。成長著しいノルウェーのサケ養殖業者の場合、餌代が支出に占める割合は56%程度だが、日本のマダイ養殖業者は72%。
◆水産養殖業者の担い手不足
・また、少子高齢化や業務負担の大きさも影響し、養殖業者の担い手不足が深刻化している。

取組のポイント

◆ウミトロンのICT技術をもとに、愛南町の水産業者との共創で「ウミガーデン」を開発。
◆これまで勘や経験に頼っていた部分を可視化。
◆さらに給餌の効率化を図り、作業負担の軽減と、餌代の1割削減を目指している。

取組内容

◆マダイやブリの養殖が盛んな愛南町。年間通じて海水温が高く波も穏やかで、養殖業に適した条件が整う。
◆ICTベンチャーであるウミトロンは、愛南町の水産業者との共創で水産養殖に特化したデータサービス「ウミガーデン」を開発し、水産養殖業の課題解決に取り組んでいる。
◆愛南町には愛媛大学の研究所が置かれており、新しいソリューションの受け入れにも柔軟な風土があった。
◆生け簀内に設置したカメラで、これまで勘に頼り誰も把握していなかった魚の餌への食いつき具合をモニタリング。
◆スマートフォンによる遠隔自動給餌により、海上に出る負担を解消。
◆タイマー給餌も可能とし、早朝作業の負担軽減や、休暇取得を実現。
◆蓄積したデータも使い、魚の生理に合わせた効率的な給餌サイクルを確立し、餌のロスを低減。
◆餌代の1割減を当面の目標に掲げており、実現も見えている。
◆水産業者の知見やニーズを取り入れながら、海上での耐用年数確保などの改修を加えつつ、実証実験を行っている。
◆ウミトロン社長の藤原氏は元JAXA研究員。その知見を生かし、将来は人工衛星からの海面温度やプランクトンの分布を観測し、給餌量やタイミングの更なる最適化を目指すという。

関連情報

「水産養殖」に関する情報
「Information and Communication Technology」に関する情報
「給餌」に関する情報

お問い合わせ先

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