JST 国立研究開発法人 科学技術振興機構

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SCENARIO 社会課題の解決を目指して

LRTで今変わりつつある街と交通

2019年10月21日

シナリオを実現する

  • 主催:

    富山市、宇都宮市

解くべき課題

◆自動車の利用が難しい人々(子どもや高齢者、身体に不自由のある人など)も含めた、すべての市民への移動手段確保
◆少子高齢化に対応した都市の形成
◆自動車への過度な依存が招く都市部の深刻な渋滞
◆渋滞が引き起こす大気汚染物質の増加、二酸化炭素(CO2)排出による温暖化への影響

取組のポイント

◆長期的な都市計画の中で持続的に運用されるインフラとしてLRT(Light Rail Transit:次世代型路面電車システム)を導入。自動車依存によって起きる渋滞の緩和や、環境への影響を抑制。
・LRTを軸としたコンパクトシティの実現(富山市)
・地域の産業を支える工業団地へのアクセス改善(宇都宮市)

取組内容

◆2006年に日本で初めて本格的にLRTを導入した富山市。迫る少子高齢化に対応するため、公共施設や職場を公共交通でつなぎ、主要駅を拠点にして居住エリアを形成する「まちづくり」を推進。
・かつてのJR富山港線をリニューアルして2006年に「ポートラム」を導入。利用者数がJR時代に比べ平日で約2.1倍、休日で約3.6倍に増加。特に高齢者の利用が増加したという。
・沿線は住宅着工件数が市内全域に比べて高く、スーパーマーケットも開業するなど市民の利便性が向上。
・2009年には「セントラム」も開業。セントラム利用者の中心市街地での平均消費額は、自動車利用者よりも高いという成果も出ている。
◆20年にも及ぶ議論を経て2018年6月に新軌道の整備を開始した宇都宮市。2022年3月の開業を目指している。
・宇都宮市はJR宇都宮駅の東側に工業団地や自動車メーカーの工場が立地し、雇用や産業を支えているが、通勤時間帯の深刻な渋滞に長年悩まされてきた。
・これを解消する手段として、大量輸送可能なLRTを軌道から新たに整備する構想が1997年に打ち出された後、多岐に渡るステークホルダーによる20年に及ぶ熟議や共創を経て2018年6月に着工。
・宇都宮大学も科学的知見やデータ提供などの形で貢献している。
・LRTを「幹」に、バスなどの既存公共交通機関を「枝」として再編する計画だ。
◆都市交通計画を専門とする東京大学名誉教授の太田勝敏氏は、自動車への過度な依存が現代社会の抱える交通問題の大きな要因の一つと指摘する。
・LRTは交通問題を解決に導く公共交通システムの選択肢の一つとしつつ、各都市が抱える課題に見合った選択が必要とも指摘。
・市民にとって利便性が高く、安全で快適な都市を、様々なステークホルダー間で「共創」する取り組みが重要と述べた。

シナリオの関係者

事例紹介:東京大学名誉教授 太田勝敏氏

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お問い合わせ先

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