事業成果

科学技術イノベーション人材創出・活躍推進

プログラムマネージャー(PM)の育成2023年度更新

プログラムマネージャー(PM)の能力を育成する実践的プログラム

本プログラムは、異なる専門分野の研究者や技術者などと連携しながら、多様なプロジェクトを束ねてプログラムを主導するプログラムマネージャー(PM)が身に付けるべきマネジメント能力を育成する。カリキュラムを通して、第一線で活躍する講師やメンターに出会い、様々な業界で働く研修生の考えや想いに触れ、PMに求められる能力を身に付けている。

集合研修の実施

第1ステージの研修は、新型コロナ感染防止対応のうえ、社会情勢等も鑑みながら、JST東京本部等の会議室にて対面での集合研修として実施している。

集合研修では、第一線で活躍する講師陣による講義を中心に、多様なバックグラウンドを持つ研修生間で活発なディスカッションを行うグループワークも取り入れながらPM人材の育成に資する研修を実施している。

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追跡調査の実施

本プログラムは、2015年度に開始してから7年が経過している。研修修了生が研究開発プログラム等でPM人材として活躍する実績が既に上がっており、修了生のその後のキャリアパス及び本研修プログラムの効果の検証を行うため、第1ステージ、第2ステージの修了者に対して、2020年度より追跡調査を実施している。収集した修了生の活躍状況は、本事業のHPに掲載している。

修了後の活躍

本プログラムは、2022年までに第1ステージにおいて149名の修了生を輩出し、第2ステージにおいては、26名が修了した。修了生は様々な現場の第一線でPM人材として待望され、修了後は企業や教育・研究機関、省庁などの幅広い分野で、本プログラムで培ったスキルや人脈を活かしながら、PMの能力を発揮して活躍している。

研修の成果がNEDO先導研究プログラムに繋がり研究代表者として牽引
岡田祐二さん
(3期生)岡田祐二さん
旭化成(株) レオナ樹脂技術開発部 課長

岡田祐二さんは、NEDO先導研究プログラム「自動車用炭素繊維サーキュラーエコノミー・プログラムの研究開発」の研究代表者として、自ら研究開発プログラムに纏め上げたテーマを牽引しています。

岡田さんは、温めていたアイディアの社会実装に向けた実践を希望しPM研修に参加しました。第2ステージでは、メンターの助言の下、重要な連携先となる自動車関連企業等との意見交換から信頼を得て連携体制を構築、リサイクルの重要なステークホルダーの生の意見も踏まえアイディアの更なるブラッシュアップ、アカデミアと連携した要素技術の確立など、研究開発プログラム提案の実践検討を進めてきました(*注)。研修修了後、研修の成果をさらに発展させ、同テーマの採択に繋がっています。

現在は、さらに連携先の東京理科大学客員研究員の職にも就きながら、自動車用炭素繊維の持続可能な循環経済実現に向け、研究開発マネジメントを推進しています。

(*注)PM研修第2ステージ研究課題名:自動車用炭素繊維のサーキュラー・エコノミー・プログラムにて研修を実施している。

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NEDO研究開発プロジェクトのテーマを取りまとめ研究開発マネジメントを推進
甲村長利さん
(3期生)甲村長利さん
産業技術総合研究所 触媒化学融合研究センター フロー化学チーム 研究チーム長

甲村長利さんは、産総研の触媒化学融合研究センター フロー化学チームのチーム長として、機能性化学品の革新的製造プロセスの技術開発を推進しています。

甲村さんは、PM研修の第1ステージから連携企業等との体制構築、提案内容の作り込みなどの検討を進め、企業や大学等の参画者らとその提案内容を精査し、NEDO研究開発プロジェクト「機能性化学品の連続精密生産プロセス技術の開発」に繋げてきました。現在は、産総研・集中研において、プロジェクトの1つのテーマ(全3テーマ)の取りまとめ役として、省エネで効率的なフロー精密合成による生産プロセス・イノベーション実現に向け研究開発マネジメントに従事しています。これに関連し、更なる高度化に向け計算化学やAIを活用した反応経路探索に関するプロジェクト立案にも参画し、NEDO先導研究プログラム「デジタル駆動化学による機能性化学品製造プロセスの新基盤構築」に繋げています。

これまで甲村さんは、長く研究畑のキャリアを積んできました。その間、経済産業省への出向、PM研修などの経験も加わることで、より一層、成果の社会実装に対する強い意識を併せ持った人材として研究開発に取り組んでいます。

参考URL

※実際に活躍している修了生を、以下のホームページで紹介しています。