事業成果
科学技術イノベーション人材創出・活躍推進
プログラムマネージャー(PM)の育成2025年度更新

プログラムマネージャー(PM)の能力を育成する実践的プログラム

本プログラムは、異なる専門分野の研究者や技術者と連携しながら、多様なプロジェクトを束ねてプログラムを主導するプログラムマネージャー(PM)が身につけるべきマネジメント能力を育成することを目的としている。カリキュラムを通じて、第一線で活躍する講師やメンターと出会い、さまざまな業界で働く研修生の考えや想いに触れ、PMに求められる能力を習得する。
実践的な研修内容
第1ステージでは、対面での集合研修を実施。第一線で活躍する講師陣による講義を中心に、多様なバックグラウンドを持つ研修生間での活発なディスカッションを取り入れたグループワークを行う。また、メンターの助言を受けながら、自ら構想する研究開発プログラムの提案書を作成する。
第2ステージでは、第1ステージで作成した提案書を実施することで実践経験を積む、より実践的な育成プログラムを実施。メンターの助言を受けながら、具体的な研究開発プログラムの実施に取り組む。

追跡調査の実施
本プログラムは、2015年度に開始してから10年が経過した。研修修了生が研究開発プログラム等でPM人材として活躍しており、その後のキャリアパス及び本研修プログラムの効果を検証するため、2020年度より追跡調査を実施している。収集した修了生の活躍状況は、本事業のホームページに掲載している。
修了後の活躍
2024年までに第1ステージでは186名、第2ステージでは39名の修了生を輩出している。修了生は、企業や教育・研究機関、省庁などの幅広い分野で本プログラムで培ったスキルや人脈を活かし、PMとして活躍している。
研修の成果がNEDO先導研究プログラムに繋がり研究代表者として牽引

- (3期生)岡田祐二さん
- 旭化成(株)技術開発総部 先端技術開発部 新技術開発グループ グループ長
岡田祐二さんは、NEDO先導研究プログラム「自動車用炭素繊維サーキュラーエコノミー・プログラムの研究開発」の研究代表者として、自らが構想したテーマを牽引し、2023年度からは次の段階である「NEDO脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム(実用化開発)」に発展しました。研究代表者として、パイロットプラントの建設や実用化開発に向けた推進を行っています。
岡田さんは、温めていたアイディアの社会実装に向けた実践を希望し、PM研修に参加しました。第2ステージでは、メンターの助言の下、重要な連携先である自動車関連企業等との意見交換を通じて信頼関係を構築し、リサイクルの重要なステークホルダーからの意見を取り入れ、アイディアをさらにブラッシュアップしました。また、アカデミアと連携して要素技術の確立に取り組み、研修修了後も同テーマの採択に繋がる成果を上げています。(*注)現在は、東京理科大学の客員研究員の職にも就きながら、自動車用炭素繊維の持続可能な循環経済実現に向けて研究開発マネジメントを推進しています。
(*注)PM研修第2ステージ研究課題名:自動車用炭素繊維のサーキュラーエコノミー・プログラムにて研修を実施している。
NEDO研究開発プロジェクトのテーマを取りまとめ研究開発マネジメントを推進

- (3期生)甲村長利さん
- 産業技術総合研究所 触媒化学融合研究センター フロー化学チーム 研究チーム長
甲村長利さんは、産総研の触媒化学融合研究センター フロー化学チームのチーム長として、機能性化学品の革新的製造プロセスの技術開発を推進しています。
甲村さんは、PM研修の第1ステージから連携企業等との体制構築、提案内容の作り込みなどの検討を進め、企業や大学等の参画者らとその提案内容を精査し、NEDO研究開発プロジェクト「機能性化学品の連続精密生産プロセス技術の開発」に繋げてきました。現在は、産総研・集中研において、プロジェクトの1つのテーマ(全3テーマ)の取りまとめ役として、省エネで効率的なフロー精密合成による生産プロセス・イノベーション実現に向け研究開発マネジメントに従事しています。これに関連し、更なる高度化に向け計算化学やAIを活用した反応経路探索に関するプロジェクト立案にも参画し、NEDO先導研究プログラム「デジタル駆動化学による機能性化学品製造プロセスの新基盤構築」に繋げています。
これまで甲村さんは、長く研究畑のキャリアを積んできました。その間、経済産業省への出向、PM研修などの経験も加わることで、より一層、成果の社会実装に対する強い意識を併せ持った人材として研究開発に取り組んでいます。
プログラムマネジメント型URAとして多数の研究プロジェクトを牽引

- (4期生)米澤恵一朗さん
- 九州工業大学 研究戦略URA・副理事(社会実装本部、経営戦略室、若手工学アカデミー担当) 若手工学アカデミー代表幹事
九州工業大学(九工大)のURAおよび副理事として、九工大が長年培ってきた強みを更に発展させ、原理レベルからの社会変革が実行可能なイノベーション創出大学モデルを多様なステークホルダーと共に企画・構想し、その実現を牽引しています。また、九工大の40歳未満の全職員が所属する若手工学アカデミーの代表幹事として、大学の経営層と連動しながら中長期目線の大学経営実現にも日々向き合っています。イノベーション創出大学モデル実現に向け、現在は、PM研修の第1ステージ、第2ステージを通じて得たスキルや知識を活かし、複数の研究開発プロジェクトのマネジメントを実施するだけでなく、JST「スタートアップ・エコシステム共創プログラム」で19機関(2025年3月時点)の大学と共同運営するスタートアップ・エコシステム「PARKS」の代表補佐やMEXT「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」、「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の実務リーダーとして日々邁進しています。
修了生の活躍事例を、以下のホームページで紹介。