事業成果

科学と社会の関係深化

未来の共創に向けた社会との対話・協働2022年度更新

科学技術イノベーションと社会との問題について、さまざまなステークホルダーが双方向で対話・協働し、その成果を政策形成や知識創造へと結びつける「共創」活動を推進している。

未来社会デザインオープンプラットフォーム(CHANCE)構想

ありたい未来社会の実現に向け産学官民で共創的に取り組むため、2019年度から幅広いネットワークを有する賛同機関等とともに未来社会デザインオープンプラットフォーム(CHANCE)構想を推進している。具体的には、以下の活動を推進した。

1. 2050年の未来像を創るプロジェクト

ありたい未来像とその実現に必要な科学技術を見出すことを目的に、文献調査・インタビュー調査を実施し、CHANCE構想賛同機関が参加するワークショップを開催し、報告書を取りまとめた。

2. 賛同機関連携による対話の場の構築

多様なセクターと研究者の関心が重なるテーマ(都市防災、ローカルSDGs、Well-Being、エシカルファッション)の元で、CHANCE構想各賛同機関との共同企画を開催し、研究者と産業界・起業家・NPO・行政等との接点となる対話の場を構築した。

3. サイエンスインパクトラボ

研究者と、社会/地域起業家などの参加者が集い研究成果とソーシャルインパクトをつなげる社会実装プランを共に練り上げるワークショップやチャットツールを活用したオンライン上での議論を行った。

  • CHANCE1
  • CHANCE2
  • CHANCE3

科学と社会に関する国際対話への参加

JSTでは今後の科学と社会の役割を議論する国際オープンフォーラムに参画している。JST主催のサイエンスアゴラでは、新型コロナウイルス感染症や自然災害等への危機対応や、変容する社会におけるWell-Beingの追求について諸外国でも関心が高まっている中、国際共通課題であるレジリエント社会、社会的孤立・孤独をテーマに議論するウェビナーを開催した。また、今年度は南アフリカ科学フォーラム(Science Forum South Africa:SFSA)と米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science:AAAS)年次総会でウェビナーを開催し、日本の視点も交え、危機対応等の国際共通課題に向けて今後求められる科学と社会の関係や国際協力のあり方について議論した。

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サイエンスアゴラ

16回目となる「サイエンスアゴラ2021」(アゴラ=「広場」)を、2021年11月3日から7日の5日間に加え、デジタルの日(10月10日と11日)の2日間は「プレアゴラ」と位置づけ、オンライン形式で開催した。「Dialogue for Life」をテーマに、あらゆる人々が知恵を持ち寄り、「総合知」を通じて科学技術の役割や社会の未来像を描くことを目指した。万博協会、サイエンスアゴラのグローバルパートナー等、国内外の各種機関と連携した企画のほか、ジュニアドクター育成塾等に参加する次世代を担う若者が多数参加する企画、社会技術研究開発センター(RISTEX)等との共同企画等を含め、公募により選ばれた合計103企画を実施し、会期中に約1万人に参加いただいた。アーカイブ動画を含め、全ての企画の総視聴数は12月末までに2万2千回を超えた。

また、7月に仙台、1月に札幌、2月に大阪、3月に京都において地方版のサイエンスアゴラを実施し、更に10月に神戸、11月に広島において自治体や大学等と協働してサイエンスアゴラ連携企画を実施し、SDGsの達成に向けた科学技術の役割や取組について幅広く発信した。

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「STI for SDGs」アワード

2019年度に創設した「STI for SDGs」アワードは、科学技術イノベーション(Science, Technology and Innovation: STI)を用いて社会課題を解決する地域における優れた取組を表彰する制度である。表彰等を通じて広く社会に発信することで当該取組への社会からの関心を高め、そのさらなる発展や同様の社会課題を抱える地域への水平展開を促し、SDGs達成への貢献を目指す。3回目を迎えた2021年度は、40件の応募の中から文部科学大臣賞1件、科学技術振興機構理事長賞1件、優秀賞4件、次世代賞2件を選定した。サイエンスアゴラ2021における表彰イベントにて、受賞取組の発表と受賞団体代表者によるパネルディスカッションを行ったほか、2年ぶりにリアル開催となったエコプロ2021でもパネル展示およびミニセミナーを実施し、受賞取組を広く社会に展開した。

〈受賞団体及び取組〉
■文部科学大臣賞(1件)
団体名:東京藝術大学COI拠点
 取組名:「だれでもピアノⓇ」の開発~障がい者から高齢者までへのユニバーサルな活用~
■科学技術振興機構理事長賞(1件)
団体名:株式会社Smolt、宮崎大学
 取組名:サクラマス循環養殖による温暖化対応種の開発とイクラの持続的生産
■優秀賞(4件)
  • 1)団体名:農業・食品産業技術総合研究機構
      取組名:ICTを活用した水田管理で地域の水利用を最適化
  • 2)団体名:宇宙航空研究開発機構
      取組名:暮らしを支える人工衛星を宇宙ゴミから守り持続可能な社会を実現する
  • 3)団体名:一般社団法人Pine Grace
      取組名:獣医学×林業による未利用地域資源の活用
  • 4)団体名:高知大学、静岡理工科大学、宮崎大学
      取組名:防災と環境を両立する「蛇籠技術」の普及に向けた機関横断型の取り組み
■次世代賞(2件)
  • 1)団体名:追手門学院大手前中・高等学校 ロボットサイエンス部
      取組名:デザイン思考をもとにSDGsの課題解決を目的としたロボット開発活動
  • 2)団体名:福島県立福島高等学校
      取組名:マグネシウムとヨウ素を用いた二次電池開発
  • STI for SDGs 3
  • STI for SDGs 2
  • STI for SDGs 1

科学技術リテラシー向上・深化に向けた情報発信

科学技術の最新情報サイト「サイエンスポータル」掲載記事について、公平客観なオリジナルニュースとしての価値が評価され、研究者に向けた情報提供サイトや海外発信サイト等、外部提供先を増やすことで情報発信力がさらに高まった。

また、Webマガジン「サイエンスウィンドウ」の科学技術情報を分かりやすく解説する発信力も評価が高まっており、「令和3年版科学技術・イノベーション白書」の周知を目指す文部科学省と連携し、近年注目されている「総合知」を幅広く情報発信した。また、Amazon Kindleにバックナンバーも含めて掲載し、多様な読者からのアプローチを可能にした。

  • 「サイエンスポータル」のコンテンツ提供先
    Yahoo!ニュース「IT・科学」(ヤフー株式会社)
    講談社ブルーバックス(株式会社講談社)
    マイナビニュース「テクノロジー」(株式会社マイナビ)
    Lab BRAINS(アズワン株式会社)
    Science Japan(科学技術振興機構)(英語サイト)
  • 「サイエンスウィンドウ[2021年春号] みんなで創るぞ 2025年大阪・関西万博」 2025年の万博開催に向けた活動、学校や企業の取り組みを特集し発信した。
  • 「サイエンスウィンドウ[2021年夏号] 科学技術・イノベーション白書は未来への扉」 Society 5.0の実現、安全・安心で一人ひとりの多様な幸せ(well-being)を実現する未来社会へのシナリオの鍵となる「総合知」と、その基盤となる科学技術を特集し発信した。
  • 「サイエンスウィンドウ[2021年秋号]進化する科学館 ~日本科学未来館の挑戦~」 多層的な科学技術コミュニケーションを積極的に実践する科学館の代表として、日本科学未来館の活動を特集し配信した。
  • 「サイエンスウィンドウ[2022年冬号]未来を創る発明家たち」 アイデアを実現して、社会を変革し、ありたい未来を築こうとする発明家たちを特集し配信した。
  • 「サイエンスポータル」
  • Science Japan