事業成果

オープンサイエンスの促進

情報基盤強化と日本の研究成果の発信2024年度更新

情報事業全体図

JSTの情報サービス一覧
※JSTの作成データを活用した情報サービス((株)ジー・サーチによる有料サービス)

JST情報事業は、研究開発に必要な科学技術情報(論文や特許等の研究成果、研究者、研究機関等の情報)の収集・体系化・利用の仕組みづくり等を通じて、新しい知の発掘、イノベーション創出、課題解決への貢献を目指している。

様々な情報をつなぎ、分野や業種の垣根を越えた情報収集を可能にする科学技術情報統合検索サービスや分析サービス等を提供し、研究開発を情報面から支援する事業を展開している。

J-STAGE 25周年

日本の学術ジャーナルを発信するオンラインプラットフォーム「科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)」は、2024年で25年目を迎える。ジャーナル出版を取り巻く状況が急速に変容する中、日本の学協会等により発表される研究成果の迅速な流通と国際情報発信、オープンアクセス化を推進している。システム提供やセミナーによる情報発信などに取り組み、2024年1月末時点で、2,361発行機関による3,935誌、約560万記事を公開した。

2020年にはJ-STAGEの登載記事に関連するデータを公開し流通の促進を支援するデータリポジトリ「J-STAGE Data」、2022年にはプレプリントサーバ「Jxiv(ジェイカイブ)」を開始し、多様な研究ワークフローへの総合的な対応力を高めてきた。2024年には、最近の学術情報流通や世界的なオープンサイエンスの潮流を受けて、2019年に策定したJ-STAGE中長期戦略の見直しを行う。閲覧性向上や研究成果の利活用を見据えて機械可読性を高めるとともに識別子・メタデータの充実を図り、プラットフォームとしての信頼性を高めて国内外への情報発信をさらに推進する。

5年間の主なできごと

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イノベーション創出を担う研究人材のためのキャリア支援ポータルサイト
JREC-IN Portalリニューアル

研究人材のためのキャリア支援ポータルサイト「JREC-IN Portal(ジェイレックインポータルhttps://jrecin.jst.go.jp/)」は、2023年7月3日にリニューアルを実施した。JREC-IN Portalでは、研究に関する職を希望する求職者の情報と、産学官の研究・教育に関する求人公募情報を掲載している。求職者、求人機関双方がそれぞれのニーズに応じた内容を検索・閲覧することが可能であり、両者の情報マッチングを支援している。また、研究者・研究支援者・技術者等の研究人材に向けたキャリア形成・能力開発に役立つコンテンツを提供する等、情報提供の面から研究人材をサポートしている。自然科学、人文科学、社会科学、医学、芸術など、あらゆる分野を対象としている。

今回のリニューアルでは、PCだけでなく、タブレットやスマートフォンなどのモバイル端末を利用する場合でも見やすくなるよう、インターフェースについて見直しを実施した。あわせてログイン時の二要素認証を新たに追加するなど、セキュリティ機能も改善している。また、求職者に対して明示しなければならない労働条件の追加等を含む改正職業安定法施行規則が2024年4月より施行されるため、法改正への対応を実施した。

JREC-IN Portalでは、大学・公的機関のみならず広く民間企業との架け橋として機能し、求職者・研究人材のキャリア形成に貢献するため、事業を推進していく。

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オープンサイエンスの総合的な推進

JSTのファンディング機関及び科学技術情報のインフラ運営機関としての両方の立場から、総合的にオープンサイエンスを推進した。

ファンディング関連では、JSTファンディングの成果研究データに付与するためのメタデータ項目を具体化し、オープンサイエンス基本方針ガイドラインに明示する改定を行うなど、成果の利活用促進に取り組んだ。

インフラ面では、オープンアクセス促進のために、査読前論文の公開プラットフォームであるプレプリントサーバ「Jxiv(ジェイカイブ)」(2022年3月に開始)について、外部専門家によるスクリーニング体制の強化や、JST内外のファンド事業制度利用研究者、大学や研究機関の研究者、J-STAGE利用機関関係者を対象とした説明会等の広報に努めた。その結果、公開論文数が2024年2月2日時点で289報となった。

また、日本唯一のDOI(コンテンツの国際識別子)登録機関であるジャパンリンクセンター「JaLC(ジャルク)」は、2012年の設立以来、利用を増やし2022年10月に登録件数1000万件を越えた。研究データの登録においては、2022年11月時点で登録件数が37万件(全体の4%)であったが、2023年12月時点では165万件(全体の14%)と顕著な伸びを示しており、データ共有への寄与が期待される。

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