事業成果
オープンサイエンスの促進
情報基盤強化と日本の研究成果の発信2025年度更新






JSTの情報サービス一覧
※JSTの作成データを活用した情報サービス((株)ジー・サーチによる有料サービス)
JST情報事業は、研究開発に必要な科学技術情報(論文、特許及び研究データ等の研究成果、研究者、研究機関等の情報)の収集・体系化・利用の仕組みづくり等を通じて、新しい知の発掘、イノベーション創出、課題解決への貢献を目指している。
様々な情報をつなぎ、分野や業種の垣根を越えた情報収集を可能にする科学技術情報統合検索サービスや分析サービス等を提供し、研究開発を情報面から支援する事業を展開している。
J-STAGE25周年
日本の学術ジャーナルを発信するオンラインプラットフォーム「科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)」は、2024年で25年目を迎えた。
同年5月に公開数が4,000誌を超え、同5月末には「我が国のジャーナルの振興に向けたJ-STAGE中長期戦略」を改定し、今後5年程先を見据えた運営方針を示した。本改定により、新たに「登載情報の整備と積極的発信」を基本姿勢に加え、登載情報の質の向上に取り組むほか、閲覧性向上や研究成果の利活用を見据えて登載論文の機械可読性を高めるとともに識別子・メタデータの充実を図り、プラットフォームとしての信頼性を高めて国内外への情報発信をさらに推進していく。
サービス開始から25年を記念し、2025年2月に25周年記念セミナー「学術情報流通のこれからを見据えて」をハイブリッド形式で開催した。日本の学術情報流通の課題と展望について有識者に講演を頂き、J-STAGEの将来への期待、懸念、要望についてのパネルディスカッションを行った。特集サイトを設け、様々な媒体で広く周知を図った。当日は発行機関や国内研究者、学術情報流通関係者等、450名以上の参加があった。

オープンサイエンスの総合的な推進
査読前論文の公開プラットフォームであるプレプリントサーバ「Jxiv(ジェイカイブ)」(2022年3月に開始)では、外部専門家によるスクリーニング体制を強化し、JST内外ファンド事業制度利用研究者、大学や研究機関の研究者、J-STAGE利用機関関係者を対象とした説明会等の様々な広報に努めた。幅広い分野の投稿があり、公開論文数が2025年1月31日時点で530報(英語246報、日本語284報)に達した。
J-STAGEでは、J-STAGEに登載されている科学技術刊行物の国際発信力向上のため、2024年6月に「バーチャルイシュー機能」をリリースした。これは、J-STAGEで公開済みの論文を巻号をまたいで選定し、バーチャルイシューとしてまとめて紹介することができる機能である。2024年12月時点で17誌に利用されている。
また、日本唯一のDOI(電子コンテンツの国際識別子)登録機関であるジャパンリンクセンター「JaLC(ジャルク)」は、2012年の設立以来、利用を増やし2023年に登録件数1200万件を超えた。うち研究データの登録は、2025年1月時点ではのべ200万件を超え、データ共有への寄与が期待される。また、研究データのDOI登録促進を目的に、2024年6月に9年ぶりに「研究データへのDOI登録ガイドライン」改定版を公開した。
内閣府の即時オープンアクセス政策が進む中で、このような我が国のインフラ面の基盤拡充を図る取り組みを行うとともに、JSTの研究プロジェクトの成果論文や研究データの扱いを定めたJSTのオープンサイエンス基本方針を政策に準じて改定するなど、インフラとファンディングの両面でオープンサイエンスを推進した。

JST科学技術用語シソーラスの大規模改訂
JST情報事業では、世界中の学術論文等を収集・整備し、「科学技術文献情報データベース」として「J-GLOBAL」(https://jglobal.jst.go.jp/)および(株)ジー・サーチ社が運営する「JDreamⅢ」 (https://jdream3.com/)にてサービスを提供している。このデータベースでは、キーワード索引および検索に「JST科学技術用語シソーラス」を用いており、数年おきに改訂を行っている。このたび、令和6年10月に2024年改訂版をリリースした。
「シソーラス」とは、用語の概念の階層関係や関連関係を元に体系化した用語集である。JST科学技術用語シソーラスは、1975年に初版を約3万語でリリースして以来、全語数3万語~4万語の規模で改訂を行ってきた。
今回の改訂では、全語数約11万語と過去最大の語数拡充を行うとともに、用語間の関連性(例えば、類義語等)を増やすなどの強化を行った。このことにより、階層関係が密になり、必要な用語が見つけやすくなることから、自動索引を含むキーワード索引の大幅な品質向上、検索精度の大幅な向上が期待される。
