事業成果
オープンサイエンスの促進
情報基盤強化と日本の研究成果の発信2023年度更新
JST情報事業は、研究開発に必要な科学技術情報(論文や特許等の研究成果、研究者、研究機関等の情報)の収集・体系化・利用の仕組みづくり等を通じて、新しい知の発掘、イノベーション創出、課題解決への貢献を目指している。
様々な情報をつなぎ、分野や業種の垣根を越えた情報収集を可能にする科学技術情報統合検索サービスや分析サービス等を提供し、研究開発を情報面から支援する事業を展開している。
オープンサイエンスの総合的な推進
査読前論文の公開プラットフォームであるプレプリントサーバ「Jxiv(ジェイカイブ)」(2022年3月に開始)では、2023年3月末時点で164報のプレプリントをオープンアクセスで公開している。スクリーニング体制の強化やGoogle Scholarとのシステム連携開始等の改善、利用拡大に向けた研究者や学協会への広報を進めている。
また、日本唯一のDOI(電子コンテンツの国際識別子)登録機関であるジャパンリンクセンター「JaLC(ジャルク)」は、2012年の設立以来、利用を増やし2022年10月に登録件数1000万件を越えた。今後は、日本国内の電子ジャーナル論文・書籍に加え、研究データへのDOI登録の拡大により、データ共有への寄与が期待される。
これらにより我が国のインフラ面の基盤拡充を図るとともに、JSTのオープンサイエンス基本方針においても、JSTの研究プロジェクト等の成果である査読済み論文のオープンアクセス化期限を12ヶ月以内と具体化する改定を行うなど、インフラとファンディングの両面でオープンサイエンスを推進した。
株式会社ジー・サーチが新サービスJDream Innovation Assistをリリース
科学技術文献情報提供業務の事業者である株式会社ジー・サーチ(※)が、2022年5月1日より、技術テーマやプレイヤー・業界動向などの研究戦略における分析作業を支援する「JDream Innovation Assist」の提供を開始した。
JDream Innovation Assistは、JDreamⅢに収録された「学術文献データ」に加え、「特許文献データ」「新聞記事データ」の情報源をAIを用いて統合解析し、技術動向や競合関係などを可視化するサービスである。
本サービスは次のような特徴を持つ。
- 3種類のデータを瞬時に分析・可視化
- 分析シナリオの選択とキーワードの入力など簡単な操作のみで本格的な分析が可能
- トレンド分析や競合分析など、20種類以上のカスタマイズ可能な分析グラフ
情報の収集・分析にかかる時間やコスト、分析における個人ノウハウやスキルへの依存、情報ソースの偏りは、イノベーションの創出の課題となり得る。本サービスはこれらに向き合い、戦略立案に携わる企業の戦略部門やコンサルタントから、技術情報に関わる研究・企画・営業など、様々な部門の情報収集・分析をサポートすることが期待される。
(※)JSTでは「科学技術文献情報提供事業に係るコンテンツ提供サービス業務の事業者公募」を実施し、その結果、株式会社ジー・サーチが事業者として選定されている。
J-GLOBALの文献情報の収録件数 6,000万件突破、プレプリントは80万件
本格稼働から10年目を迎えるJ-GLOBALだが、稼働開始以来、10種の基本情報について常に収集、公開をしている。中でも、最も収録数の多い「文献」情報については、当初3,000万件程の収録数であったところ、2022年8月に6,000万件を突破した。
また、2022年3月に「文献」情報中にarXiv,medRxiv,bioRxivの3サーバーのプレプリント情報の登載を開始した。2022年3月の収録数は約50万件ほどであったが、現在は約80万件となり、順調に収録数を増やしている。また、プレプリント情報PV数について、2022年3月は約500件/月であったのに対し、現在は約20,000件/月となっており、今後も収録を続けていく。
今後とも、産学連携や研究開発の初期段階および計画立案時におけるアイデア探しやきっかけ作りなどの場面で、J-GLOBALの活用が期待される。