マネジメントの現場から
2014年8月31日(日) サイトビジット(大方プロジェクト)報告
平成23年度に採択された大方プロジェクト「「仮設」コミュニティで創る新しい高齢社会のデザイン」の2回目のサイトビジットを実施しました(於:岩手県大槌町)。これまでのサイトビジットはこちら
大方プロジェクトでは、東日本大震災の津波で崩壊した大槌町コミュニティにおいて、住民の意識・活動のエンパワメントを通して、インフラ整備と同時にコミュニティのつながりといったソフト面の充実を図ってきました。ポイントは「い(医)・じゅう(住)・しょく(食・職)」です。
今回のサイトビジットでは、大槌町安渡地区で行われた「移動!暮らし保健室」と「コミュニティ居住環境点検」の場に参加しました。
会場までの移動中の車内で、これまでの活動の経緯・状況を、大方プロジェクトの後藤純氏(東京大学高齢社会総合研究機構 特任助教)から伺いました。特に、いろいろな価値観を持った人が存在するコミュニティで協働することの難しさや、その構造を越えることの重要性、地域での合意形成のあり方について、意見を交わしました。「地域の声を集めて提案したものが実行されていくこと」を積み重ねることが、地域の力を育てるポイントとのことでした。
会場に到着すると、開始前に町内放送で開催の案内が流れ、時間になると徐々に地域の方が訪れてきました。まずは「移動!暮らし保健室」。筋力量、ストレス、血管の硬さなどを測定し、即座にフィードバックしていました。これは、自らの健康への意識を高めていくきっかけとなるとのことです。
健康チェック終了後は、外に出て、コミュニティ居住環境点検が開かれました。地域の地図を囲み、3年間で変わったこと、現在困っていることを話し合われました。移動の問題、郵便の問題、まだまだ解決したい問題は多く残っているとのことです。仮設住宅から復興住宅へ向けて住みやすい町にするためにも、このような住民の方々の議論の大切さを痛感しました。こういった場で出てきた意見を更に活かすためにどうしていくか、これから更に問われてくる部分なのだと思います。
2回目の大槌町へのサイトビジットでは、住民の方との触れ合いを通して、地域の現状とプロジェクトの関係性を感じ取ることができました。効果的に新しい関係を作りながら、地域全体で課題に取り組むためのあり方が包括的に提示されることで、被災地だけではなく、多くのコミュニティづくりで活用できるものになることが期待されます。