2016年(平成28年)3月31日をもちまして、領域の活動は終了致しました。

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RISTEXからの情報

マネジメントの現場から

2014年6月13日(金)~14日(土) サイトビジット(中林プロジェクト)報告

 平成23年度に採択された中林プロジェクトのサイトビジットを実施しました(於:富山県富山市)。今回で4度目のサイトビジットとなりました。(1度目はこちら、2度目はこちら、3度目はこちら

 中林プロジェクトでは、コンパクトシティを標榜する富山市の中心市街地において、元気な高齢者はもちろん足腰が弱くなって家にこもりがちな高齢者も歩行補助車の助けを借りながら、積極的に歩いてお出かけを楽しむことのできる歩行圏コミュニティづくりを目指しています。

 1日目は、プロジェクトで開発した歩行補助車「富山まちなかカート」新型(通称:3号機)のお披露目式と街なかの主要な箇所へ歩行補助車ステーションの設置が行われました。公共の場に置く目的で今回改良された3号機は、ホコケン(プロジェクトの主体である「富山大学歩行圏コミュニティー研究会」の略)に地元大手アルミメーカーが新たにメンバーとして加わり、機能的かつ安全でスタイリッシュなデザインに生まれ変わりました。
 改良点を体感するために、3号機と従来型(通称:2号機)の新旧「まちなかカート」を押しながら商店街を歩いてみました。どちらも荷物を積めたり、座ることができたり便利なことに変わりはありませんが、特に違いが出たのは、路面電車のレールの段差でした。タイヤが大きく改良された新型ではらくらく安定して走行できるようになりました。
 その後、会議室に移動し、今後ホコケンの活動をどのように継続し、どのように全国各地に取り組みを広めていくかについて意見交換会が開催されました。
 産学官民からなるホコケンメンバーから様々な意見が飛び交いました。
 行政(官)は、まず自然と歩きたくなるまちづくり、道づくりの重要性に言及されました。さらに、富山市の「歩く」ことを核とした健康づくりプランのもと普段の保健師活動にホコケンの取り組みを組み込み、市内17地区に着実に普及をさせていくと話されました。
 メーカー(産)は、公共ツールとしての可能性と協働でモノづくりを進めてきた中で2020年の東京オリンピック・パラリンピックの会場に「まちなかカート」が置かれることが夢になったと話されました。
 特に印象に残ったのが、星井地区の長寿会長さんたち(民)のおっしゃった「ホコケンの活動は種をまいて、これから木、葉になるところ。花が咲くまでホコケンのみんなと協力し合いながらやっていきたい。」「自分たちが伝道師となって歩行補助車を使い方まで含めて他の地区へ広めていく。大学の先生たちには今までどおり支援して欲しい。」でした。プロジェクト開始当初は協力者として参加されていた住民の方が、今や主要なメンバーとして活躍されていることが伝わってくる一言でした。

 2日目は富山市ファミリーパークにて行われた「まち歩きツアー第4弾!ファミリーパークで身体もこころものびのびリラックス」に参加しました。富山市ファミリーパークは今年で設立30年を迎える富山市郊外の動物園で、里山の地形と豊かな自然を生かしたところが特徴です。富山市民には遠足の場所としてもなじみの深い場所とのことです。富山市の「孫とお出かけ支援事業(祖父母の方がお孫さんと一緒に市内施設に来館されると、入園料・観覧料が無料になる取り組み)」の施設にも選ばれ、今後高齢者の方の来園増加が見込まれます。
 今回は「まちなかカート」のPR活動がメインでしたが、もう1つの目的として3号機が里山の起伏や傾斜のある場所でも問題なく走行できるかを確認しながら、園内を散策しました。
 園内散策の後は芝生の上でヨガ教室があったり、地場食材を使った身体にも心にもやさしいランチをいただいたりと盛りだくさんの内容でした。梅雨の合間の晴天の中、参加された皆さんが他の参加者やホコケンメンバー、お手伝いの学生さんたちと交流を楽しみながら、それぞれのペースで思い思いの時間を過ごされていました。

 「まちなかカートが富山の街に自然に溶け込み、多少足腰が弱った方でも気兼ねなく街あるきを楽しんでいる。そんな風景が私の夢です。そのためには自慢したくなる格好いい歩行補助車と出かけたくなるしかけやしくみをつくっていかなくてはいけません。」と研究開始当初より中林先生はおっしゃっていました。
 RISTEXでの研究開発期間は今年の9月末までとなりますが、中林先生の夢にホコケン全員の思いが重なり、花咲くその日に向かって活動が続いていくことが感じられるサイトビジットとなりました。


改良された新しい「まちなかカート」は、路面電車の線路の溝も滑らかで安定した走行ができました。前列の3台中、両端が新型(3号車)、真ん中が2号車。

第13回ホコケン研究会の様子。産学官民からなるステークホルダーが知恵を出し合い協力し合って、活動を続けていくための話し合いがされました。

2日目は富山市ファミリーパークでのプロジェクトPRイベントに参加しました。
園内には傾斜のある道が多く、疲れたら歩行補助車に座ってひと休み。
来園記念として橋板にメッセージを残しました。(写真右下)

最後に富山城をバックに記念撮影。
青空に歩行補助車とTシャツの赤が映えます。



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