2016年(平成28年)3月31日をもちまして、領域の活動は終了致しました。

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平成23年度 公開ワークショップ 超高齢社会におけるこれからのまちづくりを考える

開催の趣旨

領域総括 秋山 弘子
東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授

 来る超高齢社会において認知症は最重要課題の一つとなっています。認知症は病気が原因で現れる状態ですが、その発症時期やその後の経過は、本人の個別特性に加えて、本人をとりまく地域社会の理解や生活環境、周囲の関わりのあり方によって大きな相違があることが明らかになってきています。

 これまでは、認知症になると悪くなる一方で、住みなれた地域とのつながりも切れ、不幸な日々をやりすごしながら人生を終えても仕方がないとされてきましたが、近年、地域の行政、医療や介護・福祉の関係者、そして地元の多様な人々が力をあわせて、認知症の発症を防ぎ、なっても地域とのつながりを保ちながら本人の安定や活力を維持し、幸せに暮らし続けられるまちをめざした取組みが全国各地で活発に展開されるようになってきています。こうした取組みを通じて、認知症の本人・家族が地域の中で安心して前向きに暮らす新たな生き方が生み出され、地域の人々の老いや認知症に関する悲観的な見方の刷新、医療・介護・福祉コストの抑制、分野や世代を超えた地域の多様な人々のつながりの創出、新たなつながりを通じたセーフティーネットの強化や地域の活性化、多世代・多分野が融合したユニークな地域文化の継承や創造など、多面的な価値が生まれています。

 これから認知症の人の急増が見込まれる時代におけるまちづくりには、単に不足する医療や介護の穴埋めや、認知症の人を支援されるだけの対象・社会の負担とみなしたオールドカルチャーの取組みではなく、超高齢社会をすべての世代の人がともに幸せに暮らしていく新たなまちのあり方をめざしたダイナミックな取組みが求められています。

 それを理想論でとどめずに、全国どの地域においても実践していく可能性を探るためのワークショップを開催します。本ワークショップでは、現在そのようなまちづくりに先駆的に取り組んできている自治体の事例紹介を受け、多様な参加者による意見交換・情報交換・議論をすることにより、認知症の人と多世代が共に幸せに暮らせるまちを創る方策やポイントを見出すことを目的としています。



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