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イベント開催報告

平成27年度領域シンポジウム「コミュニティで創る新しい高齢社会のデザイン」
東京大学安田講堂(平成28年3月4日)

 平成28年3月4日(金)に、研究開発領域名である「コミュニティで創る新しい高齢社会のデザイン」と題した平成27年度領域シンポジウムを、東京大学安田講堂にて、開催しました。本領域は、平成28年3月末をもって、6年間に亘る研究開発活動を終えることになり、この領域シンポジウムはその総決算とも言える位置づけになりました。

シンポジウムのプログラムと発表資料はこちら

アンケート結果(PDF:260KB)

 まず、安藤慶明氏(国立研究開発法人 科学技術振興機構理事)による開会の挨拶の後、対話と協働を重視した領域マネジメント活動を振り返りました。加えて、多岐に渡る15のプロジェクト活動に横串を指す形で展開した3つの領域内委員会(アクションリサーチ委員会、情報発信委員会、ネットワーキング委員会)の活動内容を紹介しました。

 続いて、平成27年9月に終了した平成24年度採択プロジェクトによる成果報告会に移りました。今回のシンポジウムでは、「健康長寿のまちづくり」「最期まで自分らしくいられる社会」「産学官民協働のまちづくり」といったテーマで3つのセクションに分け、研究代表者によるプロジェクトの成果報告、およびディスカッションを行いました。
 まず午前中には、「健康長寿のまちづくり」として、コミュニティを基盤に展開された「健康長寿を実現する住まいとコミュニティの創造(研究代表者:伊香賀俊治氏)」と「認知症予防のためのコミュニティの創出と効果検証(研究代表者:島田裕之氏)」における成果が報告されました。ディスカッション(モデレータ:井上剛伸領域アドバイザー)では、個人の健康づくりの在り方を地域コミュニティの中で展開することの意義について、意見が交わされました。特に、具体的な健康づくりを促すためには、エビデンスを提示することに加えて、身近な地域の中で情報が、実体験を持って語られることの重要性を共有することができました。

 

 次に、「最期まで自分らしくいられる社会」では、主に人生の最終段階を見据えた意思決定を支えるツールづくりに挑んだ「高齢者ケアにおける意思決定を支える文化の創成(研究代表者:清水哲郎氏)」と「認知症高齢者の医療選択をサポートするシステムの開発(研究代表者:成本 迅氏)」における成果が報告されました。ディスカッション(永田久美子領域アドバイザー)では、まず太田秀樹氏(「在宅医療を推進する地域診断標準ツールの開発」研究代表者)が、町医者の立場から、ツールの普及とそれを取り巻く社会のシステム・環境の重要性が提起されました。この提起へ応える形で、専門職研修等への活用、一般住民の方への普及(理念条例の活用等)など、両プロジェクトの展望が語られました。

 

 最後に、「産学官民協働によるまちづくり」では、様々な思いを持った地域の関係者(ステークホルダー)が協働して地域の課題解決に挑戦した「広域避難者による多居住・分散型ネットワーク・コミュニティの形成(研究代表者:佐藤滋氏)」と「2030年代をみすえた機能統合型コミュニティ形成技術(研究代表者:小川全夫氏)」における成果が報告されました。ディスカッション(平本一雄領域アドバイザー)では、実際の経験知に基づいて、多様なメンバーによる協働とコーディネート(媒介)について語られました。まず、協働(collaboration)を促すための戦略的な体制・意識・場づくりの重要性が共有されました。さらには、創造的なプロセスへの参画のデザイン、コーディネーターの役割、信用を得るための心得など、実践にそのまま直結するポイントにまで議論が及びました。

 

 また、今回のシンポジウムでも、ポスターセッションの時間を設け、大勢の方に参加いただきました。前年度までに終了したプロジェクトも含む、15のプロジェクト、および領域活動を含めた16のポスターの前で、各関係者が一般参加者の方々と顔を合わせて、意見を交わしました。また、休憩時間には、複数のプロジェクト活動の様子をまとめた映像を流す等、可能な限り、プロジェクト活動に触れて頂けるよう、心がけました。

 

 2回目のポスターセッションの後、土屋定之文部科学事務次官の来賓挨拶に続くパネルディスカッション冒頭で、秋山弘子領域総括が本研究開発領域6年間のまとめと今後の展望を発表されました。その後、小宮山宏氏(プラチナ構想ネットワーク会長)、増田寛也氏(日本創成会議座長)、森雅志氏(富山市長)にご登壇いただき、秋山領域総括のファシリテートのもと「活気ある高齢社会が目指す将来像」をテーマに豊富な経験や事例をもとに白熱した議論が繰り広げられました。
 少子高齢化により今後急速に人口構造の大変動が見込まれる中、小宮山氏からは新しい価値創造の担い手として高齢者の社会参画が社会にとって不可欠であること、増田氏からは地域の実情に合ったスピード感や課題に取り組むための単位、引き金となるアクティブな人とこれら3つの見極めがいかに大切かということ、森市長からは高齢者の外出機会を増やす様々な仕掛けによって多世代が繋がるまちづくりの実例や、高齢者の就労機会としての農業の可能性が示されました。
 最後に、本領域の次の展開として検討中の「高齢社会共創センター」について、地域性を超えて参考になる部分を抽出し各地に実装して欲しい、様々な地域の知(大学等)と連携し、企業等との接点となってネットワークを実体化することを期待しているなどの激励の言葉に、秋山領域総括は「高齢社会共創センター」で横展開のアクションを進めていく決意とセンターの活用と支援のお願いをして、議論を締めくくられました。

 

 多くの方にご協力いただいたアンケートから、「行政や研究者からの提案で展開していくのではなく、(中略)お互いが支えあっていける社会にしていくためには、何をしなければならないのか、考えたい」「今、私がこのテーマで何ができるのか」、と考えるきっかけにもなった様子を伺うことができました。一方で、「成果の活用を各分野でお願いしたい」「他地域への展開部分の具体的姿が今ひとつわからない」「高齢者の多様性があまり触れられていなかった」など、これらかの展望に向け、重要な指摘もいただきました。

年度末のご多忙な中、約720名の方にご参加いただき、無事に終了しましたことを心より御礼申し上げます。


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