2020.01.22

採択にあたっての國領二郎領域総括からのコメント

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<領域総括総評> 國領二郎(慶應義塾大学総合政策学部 教授)

「人と情報のエコシステム」研究開発領域を開始したのは2016年で、4年が経過していますが、ビッグデータを活用した人工知能、IoT、ロボットなどの情報技術を、人間を中心とした視点で捉えなおすこと、そして一般社会への理解を深めながら、技術や制度を協調的に設計していくことの重要性の認識はますます高まっているように思います。また、この分野における国際連携の重要性の認識も高まってきました。そこで本年度は、英国研究・イノベーション機構(UKRI)と連携して、日英共同プロジェクトを募集しました。31件もの提案をいただき、うち6件を採択させていただきました。

日本と英国は、人権や自由を大切にする民主主義国家であるという共通点を持つと同時に、歴史的、文化的背景を異にしています。この二つの国を対比することは、情報技術と社会の関係をより深く理解することにつながりますし、その中から文化を超えた人間と技術の向き合い方に対する知見が生まれることが期待されます。

国際連携の中では、本領域が主たるテーマとして掲げてきた「なじみ」など、人間と技術を対立的な関係ではなく、共生的な関係として考える日本的な考え方を英国側に提起していくことが、活発な議論につながるのではないかと期待しています。