「運 動・判断の脳内情報を利用するための革新的要素技術の創出」
● 脳神経科学の基礎的研究と応用が互恵的に進展するためには、新進気鋭の研究者が両者を良く理解し、創造的な成果を上げる
ことのできる研究環境を提供しなくてはなりません。本研究領域では、第1に計算・実験神経科学、工学、臨床医学、生物学、人
文・社会科学、情報学など多方面の学問領域、第2に基礎的研究と実用的技術開発、また第にBMI、ニューロリハビリテーショ
ン、ニューロマーケティング、ニューロエコノミクス、ニューロゲノミクス、ニューロエシックスなどの応用分野の3つの軸(学
問領域、基礎と実用、応用分野)に関して、できるだけ軸のどちらかに偏らずに、学問分野、基礎か実用、応用目的について異な
る背景と価値観を持つ研究者を広く募集し、その間に知的で実りの多い交流を促すことによって、神経科学とその応用分野の良好
な共進化の礎を築くことを目指します。
平成20年度新規事業「脳科学研究戦略推進プログラム」の「脳に学ぶ」領域では研究拠点を整備し戦略的に研究開発を推進さ
せ、社会ニーズへの還元を加速させることを目的としています。これに比べますと、本研究領域では、革新的で探索的な個人研究
を対象とし、基礎的研究の対象と応用分野もより広く設定する点に違いがあります。本研究領域で得られた成果や技術を「脳科学
研究戦略推進プログラム」の社会還元に応用する共同研究や共同作業は強く推奨します。一方、同一の研究者が含まれる研究チー
ムが、関連する研究課題で脳科学研究戦略推進プログラムと本研究領域の両者に応募することは、無駄な重複を避けるために推奨
されません。
● 対象となる応用分野の研究課題としては、上記研究目標に沿うものであれば、特に限定するものではありません。また、脳科
学の応用分野の方法論はまだ確立されたものがあるわけではなく、さらにこの分野の発展には人材育成が重要であることから、若
手の研究者から基礎と応用、実験科学と理論科学との融合をはかった研究課題や、新しい対象や斬新で独創的な方法論をもとにし
た研究課題が提案されることを期待しています。研究期間については、3年間と5年間のいずれかですが、5年間のタイプについ
ては3年目の中間評価等の結果によっては研究課題を中止する場合があります。
● 募集に当たっては、脳科学の新しい応用分野の基礎となる探索的研究についても、応用事例に直結した革新的要素技術開発に
ついても、質が高く探索的・独創的な研究を対象とします。課題選考に当たっては、前者については科学的水準を評価し、後者に
ついては実用化の具体性を評価します。
特に平成21年度は、下條先生と笹井先生という新しいアドバイザーに参加していただいたこともあり、認知科学を含む
人文社会科学の提案、また分子レベルの提案、さらに単純なモデル生物を対象とした提案、リアルタイムの神経活動のフィー
ドバックを含むような提案を積極的に採択したいと考えます。
研究総括 川人 光男