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「シミュレーション技術の革新と実用化基盤の構築」
研究総括:土居 範久(中央大学理工学部 教授)
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研究領域の概要
この研究領域は、計算機科学と計算科学が連携することにより、シミュレーション技術を革新し、信頼性や使い易さも視野に入れて、実用化の基盤を築く研究を対象とするものです。
具体的には、物質、材料、生体などのミクロからマクロに至るさまざまな現象をシームレスに扱える新たなシミュレーション技術、分散したデータベースやソフトウェアをシステム化する技術、また、計算手法の飛躍的な発展の源となる革新的なアルゴリズムの研究や、基本ソフト、情報資源を取り扱いやすくするためのプラットフォームあるいは分野を越えて共通に利用できる標準パッケージの開発などが含まれます。
研究総括の募集・選考に当たっての考え方
シミュレーション技術は、従来の理論・実験とは異なる新しい研究手法を実現し、科学技術のブレークスルー、国際競争力の強化に資する基盤技術として、その重要性が高まっています。現在のシミュレーション技術は、計算科学として各研究分野において研究および実用化が進められていますが、さらなる発展のためには、計算機科学や数学、特段、計算機科学分野の研究者との連携が求められています。計算機科学分野の研究者との連携を図ることにより、シミュレーションや可視化のための新しいアルゴリズムの開発、高機能・高性能でしかも信頼性や安全性の高いシステムの開発が期待できます。
この研究領域では、10年程度後に医療分野における高度治療や情報産業における精密製品設計等の「ものづくり」に役立つ次世代統合シミュレーション技術を確立するという戦略目標の達成に向けて貢献できる基盤整備として必要となる、基礎的・共通的な実用化の基盤を構築する研究を対象とします。
具体的には、ミクロからマクロに至るさまざまな現象をシームレスに扱える新たなシミュレーション技術、分散したデータベースやソフトウェアをシステム化する技術、また、計算手法の飛躍的な発展の源となる革新的なアルゴリズムの研究や、基本ソフト、情報資源を取り扱いやすくするためのプラットフォームあるいは分野を越えて共通に利用できる標準パッケージの開発などが含まれます。また、アルゴリズム等の研究では、個人の独創的な発想にも期待します。
特に、計算科学分野の研究者と計算機科学分野の研究者とが協同して進める研究提案で、個別研究領域では採れない分野横断的な共通基盤に寄与する研究開発を含むシミュレーション技術の革新と実用化基盤の構築に係る広い範囲での研究提案を期待します。
なお、成果ソフトウェア等は一般に公開することを前提とします。従って、開発するソフトウェアが権利上問題のないモジュールで構成されるよう、既存のソフトウェアとモジュール単位で完全に切り分けられる必要があります。また,プログラム提出後に事業団のソフトウェアライブラリへの搭載にあたっての作業に協力をお願いすることがあります。
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「生体分子の形と機能」
研究総括:郷 信広(日本原子力研究所関西研究所 特別研究員)
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研究領域の概要
この研究領域は、遺伝情報が機能として発現するのを支えている物理的実体としての生体分子(タンパク質)に焦点をあて、物理学、化学等の物質科学の原理に基づき、その立体構造形成の仕組みや立体構造に基づく機能発現の仕組みを研究するとともに、今急速に蓄積が進んでいるゲノム情報等を対象としたバイオインフォマティクス的手法を用いた研究も対象とするものです。
具体的には、タンパク質等の立体構造の実験的決定・理論的予測、物性研究、相互作用や複数の分子からなる超分子構造体の解析に関する新しい研究方法の開発等の基礎的研究と共に、合理的薬物設計、生物的機能の工学的利用を目指した応用的研究等が含まれます。
研究総括の募集・選考に当たっての考え方
生物学の基本スキームである「情報→構造→機能」を、物理的実体である生体分子の構造から捉えようとする研究を、広い範囲から選びたいと考えています。本領域において、物理学的あるいは化学的アプローチで研究する場合、物理学と化学は手段として位置付けられますが、生体分子を研究することにより、逆に物理学と化学を豊かにしようとする問題意識の研究も含めたいと思います。個々の生体分子だけではなく、それらが相互作用して作る複合体や機能システムも、研究対象の範囲としたいと思います。純粋基礎研究から、応用を志向した研究まで含めたいと思います。実験的研究だけではなく理論的・情報論研究も含めます。この分野は激しく変化しつつあります。既存の枠にとらわれない新鮮な発想を期待しています。
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「情報と細胞機能」
研究総括:関谷 剛男(三菱化学生命科学研究所 副所長兼トランスレイショナル研究部長)
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研究領域の概要
この研究領域は、細胞がプログラム化された遺伝子情報(内的情報)を持っていることや、環境等に由来する多くのシグナル(外的情報)の作用で様々な影響を受けている観点から、これらの情報と細胞機能との関わりを独創的で斬新な手法、アプローチで明らかにすることにより、生命システムの謎に挑む研究を対象とするものです。
具体的には、これら情報と細胞との相互作用の結果として発症するがん、痴呆など高齢者の疾患、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患など様々な疾病の病因解明ならびにその克服のための方法の探索に関する研究等が含まれます。
研究総括の募集・選考に当たっての考え方
細胞はゲノム上の遺伝子の持つ情報(内的情報)でその機能を作り出しています。細菌からヒトまでのゲノム情報の解読完了により、内的情報を理解するための基盤はほぼ確立しています。細胞はこの正規の遺伝子情報に基づく機能を果たすことで正しい生命現象を作り出しています。その一方で、例えば環境中の化学物質の作用など様々な外的情報の影響を受け、その悪影響はがん、痴呆、糖尿病、高血圧など高齢者の主要疾患、エイズを代表とする感染症、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患など様々な疾患をもたらし我々を悩ませています。正規の遺伝子情報と細胞機能の関係、ならびに、これら内的情報を邪魔する外的情報による細胞機能の変化を分子レベル、細胞レベルで解析し、その結果を手がかりに、生命の設計原理を理解すること、また、その理解が各種疾病の病因解明やその克服に対して有益な示唆を与えうる提案を期待します。現状を打破し明るい未来を開くさきがけとなる芽を、独自の構想、斬新なアプローチ、既存の方法とは原理の異なる技術で作り出す独創的な研究提案を期待しています。
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「情報基盤と利用環境」
研究総括:富田 眞治(京都大学大学院情報学研究科 教授)
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研究領域の概要
この研究領域は、10億個のトランジスタがチップ上に集積できる時代およびインターネットでコンピュータ利用環境が激変する時代における、新しいコンピュータシステムの基盤技術と利用技術に関連した研究を対象とするものです。
具体的には、超高機能化、超高性能化、超省電力化、モバイル化、情報家電化などを視野に入れたコンピュータシステム(アーキテクチャ、ネットワーキング、言語・コンパイラ、OS)、超大規模集積システム設計技術(DA/CAD)、およびインターネット・マルチメディアを中心とした新しい利用に関する基礎研究が含まれます。また、ハードウェアシステムとの関連性を保ちながら行う研究に加えて、全く新しい原理に基づいたコンピュータや新しい知的なコンピュータ応用研究等が含まれます。
研究総括の募集・選考に当たっての考え方
今日、チップ上に10億個のトランジスタが集積される展望が与えられるなか、またモバイルコンピューティングなどコンピュータの利用環境も激変しています。日本主導での新しい、独創性のあるコンピュータシステム構築技術および利用技術が求められています。将来のコンピュータ利用環境から生じるニーズと集積回路技術を中心としたシーズを融合する研究提案を広く求めます。コンピュータシステムに関する研究はもちろんのこと、インターネットを中心とした斬新なソフトウェアやアプリケーションの研究も求めます。
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「ナノと物性」
研究総括:神谷 武志(大学評価・学位授与機構学位審査研究部 教授)
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研究領域の概要
この研究領域は、原子・分子レベルで制御された物質、それらの集合体、異種材料の複合、さらに組成や構造をナノメーターレベルで制御・加工した材料、すなわち「ナノ材料」に関する研究を対象とするものです。
具体的には、機能材として従来のバルク材にない特異な能力を発揮することが期待される究極の人工物質であるナノ材料が、今後情報、医療、エネルギー等、あらゆる産業分野を支える技術となる状況を踏まえ、新規ないし高度な機能発現を目指した材料設計、合成・形成の方法、またナノ物性評価やデバイス試作に関する研究等が含まれます。
研究総括の募集・選考に当たっての考え方
本領域のキーワードは「ナノ材料」、「物性」、「機能発現」です。さらにそれらを外挿したところに「社会貢献」があります。ナノ材料開拓という地道な仕事を積み重ねて、大きく育てる勇気と努力を期待しています。基礎から応用までの道のりは長く険しいことから、単一の研究ではカバーすることは困難です。しかし核を形成する優れた仕事には、必ずや活力のあるパートナーが集まってくるはずです。提案者に期待するポイントとしては、研究の方向付けが明確に示されていること、および自らの主体性によって獲得したい具体的研究目標とそれに至る道が示されていること、を挙げておきます。
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