JSTトップ>JSTnews>バックナンバー一覧 2017年度>2017年4月号
JSTnewsは、国立研究開発法人科学技術振興機構(略称JST)の広報誌です。JSTの活動と、最新の科学技術・産学官連携・理数教育などのニュースを、わかりやすくご紹介します。
P.03
自然界の物質や知恵を活用する
人間は自然の一部として、自然を利用して生きている。食べるもの、着るもの、住むところ、多種多様な道具やエネルギーまで、自然の恵みを活用することで、文明を発展させ、豊かな社会を築いてきた。一方で、急速な文明の発展は資源の枯渇や温暖化を招き、地球環境を大きく変えてしまった。自然との向き合い方を見直し、自然といかに共生しながら持続可能な発展を実現するかが問われるようになった今日、自然界の物質や知恵を活用する研究が始まっている。
P.04自然界の物質や知恵を活用する
未知の酵素を表舞台へ
地球上のあらゆる生物の生命現象を支える酵素は、発酵や醸造など食品加工分野を中心に古くから産業に利用されてきた。これまでの酵素探索は微生物が主流で、生物種の90パーセント以上を占める動植物の酵素が対象となることはまれだった。 富山県立大学工学部生物工学科の浅野泰久教授が率いるERATO「浅野酵素活性分子プロジェクト」は、地球のどこかに密かに眠っている高性能な酵素を見つけ出し、化学工業や医療など産業の表舞台で活躍させることをめざしている。
P.08自然界の物質や知恵を活用する
微細藻類が地球を救う
池や川などの水が、よく緑色になっていることがある。原因は、顕微鏡サイズの微細な藻類だ。微細藻類は食品に利用されているほか、近年はそのオイル産生能力を生かしたバイオ燃料の生産も期待されている。微細藻類がもつ可能性に注目した東京大学大学院新領域創成科学研究科の河野重行教授は、生理機構の解明や品種改良、培養方法の確立などによって、微細藻類による有用物質の大量生産をめざしている。
P.12~シリーズ4 超高齢社会を生きる 第3回~
高齢ドライバーの自動車事故を防ぐ 「自律運転知能システム」
今後20年で高齢ドライバーは倍増すると見られており、加齢による身体能力の低下にともなう事故のリスクが高まっている。神奈川工科大学創造工学部の井上秀雄教授は、高齢者の運転能力の低下をサポートし、事故を未然に防ぐ自律運転知能を持った安全運転支援システムを確立して、市販化につなげることを目標に、いよいよ公道での実証実験を始める。
P.14JSTの最近のニュースから…
NEWS & TOPICS
【研究成果】携帯できる小型遺伝子検査装置を開発 【研究成果】家電買い替えの新たな枠組みを提案 【受賞】統計的手法を用いた用語分類の試み 【イベント】アメリカ最大の科学フォーラムに参加
P.16低炭素社会の実現に向けた民生家庭部門の省エネルギー促進
人々の声に耳を傾け、近未来の生活像を模索
JST低炭素社会戦略センター(LCS)研究員 磐田朋子
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立山連峰を背景に、酵素研究に不可欠な酵母の培地を手にする富山県立大学工学部生物工学科の浅野泰久教授。「研究者に求められる能力は、どんなところからも遊びを見つけること。無地のキャンバスに新しい絵を描くこと」。新しい一歩を踏み出す勇気を持って、酵素研究の未来を描いていく。