JSTトップ>JSTnews>バックナンバー一覧 2014年度>2015年1月号
JSTnewsは、独立行政法人科学技術振興機構(略称JST)の広報誌です。JSTの活動と、最新の科学技術・産学官連携・理数教育などのニュースを、わかりやすくご紹介します。
P.03高価なナノテク設備を「共用」し、フル活用してイノベーションを興す
最先端機器や情報がみんなの研究活動を支える
肉眼では決して見ることができない微細なモノを扱うナノテクノロジー。その研究開発には高額な先端機器が欠かせなくなってきた。国全体のナノテク・材料研究の実用化を底上げするため、大学や研究所の設備を開放して、誰でも最先端機器を手頃な料金で利用できるようにする「ナノテクノロジープラットフォーム」が2012年度からスタートした。この制度を通して十分な研究設備を持たない若手研究者や民間企業が新しいアイデアを次々に実現している。制度のあらましや今後への取り組み、運用の具体例を紹介する。
P.08がんや感染症を従来の100万倍もの高感度で検出
わずか一滴の体液で診断
がん細胞やウイルスにかかわるたんぱく質を、汗や血液から従来の100万倍もの高感度で検出する方法を東京大学大学院の野地博行教授らが実現した。半導体の製造技術を活用し、1センチ四方のガラス板に100万個の小さな穴をつくった。この超微細な空間に抗原抗体反応でできた分子を閉じ込めて、1個ずつ捉えられるようにした。これまで難しかった微量の物質でも検出できるため、唾液や尿からも診断できる可能性がある。さまざまな病気の早期発見につながる技術として、実用化を目指す。
P.12高齢者の会話データで新しい予防法をつくる
認知症の患者を減らしたい!
認知症は加齢に伴う病気の1つで、脳の機能が低下すると記憶力や判断力に障害が起こり、生活に支障が出る。2010年時点で65歳以上の7人に1人が認知症で、予備軍も含めると全国で約820万人と推計される。このまま何も対策を講じなければ高齢化に伴い増加の一途をたどり、2040年頃にはピークを迎える。千葉大学の大武美保子准教授は、独自に開発した予防法とロボットの活用によって画期的な認知症対策に取り組んでいる。
P.14JSTの最近のニュースから…
TOPICS
【話題】 がん研究で「イノベーター・オブ・ザ・イヤー」受賞 【研究成果】 ネオジム磁石を超える可能性を持つ磁石化合物、現る! 【研究開発】 温泉にすむ紅藻類がレアアースを高効率で回収 【研究開発】 植物でも組織ごとに体内時計の働きが異なる
P.16戦略的創造研究推進事業(CREST)「生命動態の理解と制御のための基盤技術の創出」 領域 研究課題「革新的1分子計測技術によるRNAサイレンシング機構の可視化:基盤作出と応用展開」
熱い思いを抱いて未知の世界へ飛び込め!
東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻 1分子遺伝学研究室 教授 上村 想太郎
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ナノテクノロジープラットフォームで高度専門技術者を務める産業技術総合研究所ナノプロセスエンジニアの飯竹昌則さん。ユーザーのニーズに応じ、集束イオンビーム加工観察装置(写真左側)による微細構造物の作製や形状観察を行うほか、セミナーでの講義や実習の講師も務める。「常に最適の状態で研究支援ができるよう、機器のメンテナンスには細心の注意を払っています。ユーザーの期待に応え、ともにレベルアップしていくことが喜びです」