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(参考1)

研究領域の概要


 【CRESTタイプ】
○ 戦略目標「生命システムの動作原理の解明と活用のための基盤技術の創出」の下の研究領域
1 「生命システムの動作原理と基盤技術」
研究総括:中西 重忠(財団法人大阪バイオサイエンス研究所 所長)
研究領域の概要
 本研究領域は、生命システムの動作原理の解明を目指して、新しい視点に立った解析基盤技術を創出し、生体の多様な機能分子の相互作用と作用機序を統合的に解析して、動的な生体情報の発現における基本原理の理解を目指す研究を対象とします。
 具体的には、近年の飛躍的に解析が進んだ遺伝情報や機能分子の集合体の理解をもとに、細胞内、細胞間、個体レベルの情報ネットワークの機能発現の機構、例えば生体情報に特徴的な非線形で動的な反応機構などを、新しい視点に立って解析を進めることによって生命システムの統合的な理解をはかる研究を対象とします。
 さらには、生体情報の発現の数理モデル化や新しい解析技術の開発など基盤技術の創成を目指した研究も対象としますが、生命現象の実験的解析と融合した研究を重視するものです。
○ 戦略目標「高セキュリティ・高信頼性・高性能を実現する組込みシステム用の次世代基盤技術の創出」の下の研究領域
2 「実用化を目指した組込みシステム用ディペンダブル・オペレーティングシステム」
研究総括:所 眞理雄(ソニー株式会社 コーポレートエグゼクティブSVP、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長)
副研究総括:村岡 洋一(早稲田大学理工学部 教授)
研究領域の概要
 コンピュータ技術の進展に伴い、基幹業務系や汎用PCのみならず、ホームサーバ、デジタルTV、組み込み型高性能サーバ、車載制御装置、生産制御装置、通信制御装置、ロボット、携帯機器、モバイル・ウェラブルコンピュータ、センサー・アクチュエータなど、多数の情報機器・システムがネットワークに接続されるようになってきており、近い将来にいわゆるユビキタス情報社会を構成するであろうと見込まれます。この時、これらの要素システムの多くは目的別の組込みシステムとして構築され、高い信頼性、応答性を確保しつつ、小さく、軽く実現することを要求されます。加えて、それらを接続した情報システムの信頼性、安全性、セキュリティ、性能などの要求を満足でき、さらには将来の拡張性や変更に動的に対応できなければなりません。このようなディペンダブルなシステムを構築するためには、オペレーティング・システム(OS)のレベルからイノベーティブな研究開発を行う必要があると考えられます。本研究領域は、ディペンダブルな情報システムを構築するための組込みシステム向けのOSの研究開発を行うものです。
 本研究領域では、将来、社会で実際に広範に使用されうるOS技術を創出するために、実用化を目指し、個別の研究成果を統合して実用システムとして実現が可能であることを実証し、オープンソースの形で将来の更なる研究開発の基盤を提供することを目指します。このため、本研究領域においては、研究総括の強い統率の下で、必要に応じて研究体制の再編や研究の進め方の調整を行うことにより、研究領域内の研究を横断・統合した推進体制をとり、適切な研究領域運営を行うこととします。
○ 戦略目標「異種材料・異種物質状態間の高機能接合界面を実現する革新的ナノ界面技術の創出とその応用」の下の研究領域
3 「ナノ界面技術の基盤構築」
研究総括:新海 征治 (九州大学大学院工学研究院応用化学部門 教授、九州大学未来化学創造センター センター長)
研究領域の概要
 本研究領域は、異種材料・異種物質状態間の界面をナノスケールの視点で扱う研究分野が集結することによりナノ界面機能に関する横断的な知識を獲得するとともに、これを基盤としたナノレベルでの理論解析や構造制御により飛躍的な高機能を有する革新的材料、デバイス、技術の創出を目指すものです。
 具体的な研究対象としては、エレクトロニクス、エネルギー変換用デバイスにおける有機材料と金属・半導体などとの界面、環境浄化触媒や機能制御膜などにおける表面・界面、ナノバイオ医療用の生体材料と人工物との界面などが対象となります。さらには、物質・材料の生成プロセスを利用した、または、ソフト構造体を鋳型とした無機系物質のナノ構造体の創製なども機能界面の利用という視点で研究対象に含まれます。また、ナノスケール材料の生体安全性に関する知見の蓄積、例えば、ナノ粒子の細胞膜上での挙動なども主要な研究の方向性の一つです。
○ 戦略目標「ナノデバイスやナノ材料の高効率製造及びナノスケール科学による製造技術の革新に関する基盤の構築」の下の研究領域
4 「ナノ科学を基盤とした革新的製造技術の創成」
研究総括:堀池 靖浩(物質・材料研究機構 フェロー)
研究領域の概要
 本研究領域では、ナノデバイスやナノ材料を高効率に製造する技術群の基盤構築、およびこれらの応用による具体的応用実施例の提示、ならびに製造プロセスに係る現象のナノスケール科学による革新を目指した研究を推進し、これらを「ナノ製造技術」の基盤として構築することを通して将来のナノテクノロジーの本格的実用化を目指すものです。
 具体的には、様々なナノ材料やそれらの複合体により格段に優れた機能を発現する実用化可能な新材料や、これらの材料およびナノ構造に由来して発揮される高性能デバイスの創製、及びその高効率生産技術、ナノレベルでの加工技術、ナノ自己組織化を活用した製造技術、製造に使用できるナノ計測・検査技術等を対象とします。更に製造技術を革新的に変えるナノ科学の研究も対象としますが、研究終了時点で実用化に関しそのシナリオが確実に描けていることが期待されます。
 【さきがけタイプ】
○ 戦略目標「生命システムの動作原理の解明と活用のための基盤技術の創出」の下の研究領域
1 「生命システムの動作原理と基盤技術」
研究総括:中西 重忠(財団法人大阪バイオサイエンス研究所 所長)
研究領域の概要
 本研究領域は、生命システムの動作原理の解明を目指して、新しい視点に立った解析基盤技術を創出し、生体の多様な機能分子の相互作用と作用機序を統合的に解析して、動的な生体情報の発現における基本原理の理解を目指す研究を対象とします。
 具体的には、近年の飛躍的に解析が進んだ遺伝情報や機能分子の集合体の理解をもとに、細胞内、細胞間、個体レベルの情報ネットワークの機能発現の機構、例えば生体情報に特徴的な非線形で動的な反応機構などを、新しい視点に立って解析を進めることによって生命システムの統合的な理解をはかる研究を対象とします。
 さらには、生体情報の発現の数理モデル化や新しい解析技術の開発など基盤技術の創成を目指した研究も対象としますが、生命現象の実験的解析と融合した研究を重視するものです。
○ 戦略目標「医療応用等に資するRNA分子活用技術(RNAテクノロジー)の確立」の下の研究領域
2 「RNAと生体機能」
研究総括:野本 明男(東京大学大学院医学系研究科 教授)
研究領域の概要
 本研究領域は、RNA分子の多様な機能を明らかにしRNAの生命体維持に関する基本原理についての理解を深めると同時に、RNA分子の医療応用等に関して、個人の独創的な発想に基づく革新的な技術シーズの創出を目指します。
 具体的には、生命現象を支え制御するRNAの新たな機能を探索する研究、および既知のRNA機能の活用を目指した研究が対象です。後者の研究には、機能性RNAのデザインや機能向上を目指す技術、機能性RNAにより細胞機能を制御する技術、1分子レベルで特異的RNAを検出する技術、RNAを標的組織・細胞に送達するドラッグ・デリバリー・システム技術などに関するものが含まれ、先端医療技術等への機能性RNA分子の新たな活用技術の開発へとつながることが期待される研究が対象となります。
○ 戦略目標「異種材料・異種物質状態間の高機能接合界面を実現する革新的ナノ界面技術の創出とその応用」の下の研究領域
3 「界面の構造と制御」
研究総括:川合 眞紀(東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授、理化学研究所 川合表面化学研究室 主任研究員)
研究領域の概要
 本研究領域は、異種材料・異種物質状態間の接合界面に着目し、新たなナノ界面機能および制御技術の創出およびその応用を目指す研究を対象としています。
 具体的には、異なる物質系の界面における構造および機能を制御し、さらに高付加価値を有する機能を創出するには、最新の分子工学、界面工学、薄膜工学、精密材料創製化学、ナノメカニクス、精密分子操作、表面反応ダイナミクス、精密加工などの分野における、ナノスケールレベルの界面の観測や分析手法の開発およびそれによる知識の蓄積、界面のナノ構造制御技術などが不可欠であり、これら広い観点を背景とした着想をもつ研究を対象とします。
 一方、細胞や組織などの生体関連物質をデバイスの一部として扱う研究において、界面は重要な機能を担うが、現時点では開拓的な研究分野であり、個人レベルの新しい独創的着想を活かした要素研究なども対象にしています。
○ 戦略目標「ナノデバイスやナノ材料の高効率製造及びナノスケール科学による製造技術の革新に関する基盤の構築」の下の研究領域
4 「ナノ製造技術の探索と展開」
研究総括:横山 直樹(株式会社富士通研究所 フェロー・ナノテクノロジー研究センター長)
研究領域の概要
 この研究領域は、ナノテクノロジーの本格的な実用化時期に必須となる「ナノ製造技術」の基盤を提供することを目的とし、ナノデバイスやナノ材料を高効率に製造するための技術群に関わる様々な現象を、ナノスケール科学により解明することを目指す独創的な研究を対象とするものです。
 具体的には、応用を目したナノ構造の設計・創製技術、ナノ材料の高再現性・大規模生産技術、様々なナノ加工技術の統合など、ナノスケール科学に基づき製造の効率化・低環境負荷化をもたらす研究であり、新しいナノスケール科学に基づく方法論の創出や革新的な技術展開に資するための独創的な研究が含まれます
○ 戦略目標「光の究極的及び局所的制御とその応用」の下の研究領域
5 「物質と光作用」
研究総括:筒井 哲夫(九州大学先導物質化学研究所 教授)
研究領域の概要
 本研究領域は、「光機能を物質から取り出す」、「光を用いて物質の本質を調べる」、「光を用いて機能物質を創成する」という観点で、有機物、無機物、生物関連物質などの凝集体(固体、薄膜、分子集合体、液晶、ゲルなど)に対する光の作用について新しい角度から多面的に追究する研究を対象とするものです。
 具体的には、物質が演出する多様な電子状態と光との相互作用に関係する化学と物理を対象とします。それらを応用した将来の革新的なフォトニクス・エレクトロニクス技術につながる光機能材料・電子機能材料の創出、光デバイス・電子デバイスの原理探索や作製技術確立、生物関連物質の利用技術開拓、超高純度物質の合成とその物性計測、デバイス応用のための利用環境下での物質の安定性と信頼性の追求などの研究も含まれます。

6 「光の創成・操作と展開」
研究総括:伊藤 弘昌(東北大学電気通信研究所 所長・教授)
研究領域の概要
 本研究領域は、光の本質の理解、光に関わる新しい現象・物性の解明、光の制御と光による物質の制御に関する新しい概念・手法の探求などに関して、個人の独創的な発想に基づき、将来もたらされると期待される新パラダイムを見据えたこれまでにない研究を対象とするものです。
 具体的には、赤外、可視光、紫外のみならず広範な領域の光の発生・伝搬・検知の手法・技術や素子等に関する研究、光と物質の局所的相互作用に関する研究、光による原子・分子の制御、光の波長・振動数、位相、エネルギー密度などの光の本質の理解に関する研究などであって、新たな原理の発見、方法論の創出や革新的な技術展開の契機となることが期待される研究を対象とします。
○ 戦略目標「代謝調節機構解析に基づく細胞機能制御に関する基盤技術の創出」の下の研究領域
7 「代謝と機能制御」
研究総括:西島 正弘(同志社女子大学薬学部 教授)
研究領域の概要
 本研究領域は、細胞内の代謝産物を解析し、細胞機能を効率的に制御することを可能とする基盤的な技術に関して、個人の独創的な発想に基づく革新的な技術の芽の創出を目指す研究を対象とします。
 具体的には、脂質、糖、アミノ酸、核酸関連物質などの代謝産物群の体系的あるいは網羅的解析、代謝産物情報に基づく細胞状態の評価・分類、細胞の代謝経路のモデル化とシミュレーション、代謝経路を制御する化合物の予測と設計、新機能を付与した細胞の作製などに関して、新たな方法論の創出や技術展開の契機となることが期待される研究であり、それぞれの要素技術から細胞制御研究までを対象とします。
○ 戦略目標「プログラムされたビルドアップ型ナノ構造の構築と機能の探索」の下の研究領域
8 「構造制御と機能」
研究総括:岡本 佳男(名古屋大学エコトピア科学研究所 客員教授)
研究領域の概要
 この研究領域は、ナノサイズの材料や構造を、原子・分子レベルでの制御を基礎に造り上げる科学技術に、これまでにない新しい考え方や手法を導入し、欲しい構造を欲しいタイミングで欲しい場所に積み上げて造ることを目指す挑戦的な研究を対象とするものです。
 例えば、原子・分子レベルでの制御によりナノサイズの物質、組織、空間などを創製し、必要な分子構造、空間構造、テンプレート構造、デバイス構造などを、様々なスケールで起こる現象と結びつけて設計し構築するプロセス、およびその応用を目指した機能探索などの研究が含まれます。
○ 戦略目標「新たな手法の開発等を通じた先端的な計測・分析機器の実現に向けた基盤技術の創出」の下の研究領域
9 「生命現象と計測分析」
研究総括:森島 績(立命館大学理工学部 客員教授)
研究領域の概要
 本研究領域は、生命現象の解明のために必要な新たな原理や手法に基づく計測・分析の技術に関して個人の独創的な発想に基づく革新技術の芽の創出を目指す研究を対象とするものです。
 具体的には、細胞内の種々の化学過程の計測・分析や細胞から個体、生態系などのミクロからマクロに至る多様なスケールでの生命現象を解明するための新規な計測・分析技術等を対象とします。生命系科学技術における斬新な成果の発掘を目指した新たな方法論の創出や技術展開の契機となることが期待される研究を対象とします。また生命現象に関連の深い環境の計測分析も含みます。

10 「構造機能と計測分析」
研究総括:寺部 茂(兵庫県立大学 名誉教授)
研究領域の概要
 本研究領域は、新現象の発見と解明のために欠くことのできない計測・分析技術に関して、個人の独創的な発想に基づくこれまでにない革新技術の芽の創出を目指す研究を対象とするものです。
 具体的には、生体物質の構造や機能に関する分析技術、原子・分子レベルにおける物理・化学現象や物性および表面・界面の構造や機能に関する計測・分析技術、また環境や生態の計測・分析技術などに関して、新たな方法論の創出や、技術展開の契機となるような研究を対象とします。
 また、計測・分析技術に関してブレークスルーをもたらすことが期待される試料前処理、試薬、ソフトウェア等の重要な関連技術をも対象とします。
○ 戦略目標「メディア芸術の創造の高度化を支える先進的科学技術の創出」の下の研究領域
10 「デジタルメディア作品の制作を支援する基盤技術」
研究総括:原島 博(東京大学大学院情報学環・学際情報学府 教授)
研究領域の概要
 本研究領域は、情報科学技術の発展により急速な進歩を遂げたメディア芸術という新しい文化に係る作品の制作を支える先進的・革新的な表現手法、これを実現するための新しい基盤技術を創出する研究を対象とします。
 具体的には、コンピュータ等の電子技術を駆使した映画、アニメーション、ゲームソフト、さらにはその基礎となるCGアート、ネットワークアート作品等の高品質化(多次元化も含む)を目的とした映像や画像の入力・処理・編集・表示技術、インターフェイス技術、ネットワーク技術等に関する研究を行います。視覚や聴覚以外の感覚の表現をも可能とする人工現実感技術、現実空間と人工空間を重畳させる複合現実感技術等も含みます。また、デジタルメディアとしての特徴を生かした斬新な表現手法の研究、快適性や安全性の観点から人間の感性を踏まえた表現手法の研究、物語性に優れた作品の制作を可能にする高度なコンテンツ制作手法の研究、誰もが自由にデジタルメディア作品の制作を効率的に行うことが出来るソフトウェア・ハードウェアに関する研究なども対象とします。