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ジャンボタニシをやっつけろ‼ 工学的手法による防除法の開発

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ジャンボタニシの被害

1980年代に食用として日本に導入されたジャンボタニシは、水稲などの水田作物を加害するやっかいな外来種として知られています。当初は「陸さざえ」や「夢貝」という名前で、日本各地で大々的に養殖されていましたが、養殖池から逃げ出したジャンボタニシが、田んぼや池、水田関連水系に住み着き、苗を食べ始めてしまったのが食害のはじまりです。 今では、主に九州地方を中心に関東以南に生息しており、水田作物に被害をもたらしています。一匹のジャンボタニシが一年間に産む卵の数は2000~8000個にもなると言われています。日本在来のタニシの産卵数が、一年間に50個くらいですのでその数はとても多く、産卵能力の高さも個体数維持の要因の一つとなっています。また、ジャンボタニシの被害は日本のみならず、コメの主要輸出国であるタイをはじめとし、フィリピン、台湾、中国などアジア地域やハワイ諸島、ジャンボタニシの原産地である南アメリカでも被害が報告されており、国際的に解決すべき問題となっています。

技術内容・成果

現行のジャンボタニシの食害防止策として、農薬の施用や人手による捕殺が行われていますが、未だに決定的な防除方法には至っていないのが現状です。佐世保高専では、このジャンボタニシに対して、化学薬剤を一切使わず、工学的なアプローチから防除技術の開発に取り組んでいます。特に、「電気ショックやオゾンを利用した行動抑制や産卵防止」、「超音波による殺貝」、「電気に対する特異な行動特性を利用した捕集や行動コントロール」に成功しており、工学的手法を用いたジャンボタニシの省力的かつ環境無負荷な防除技術の確立を目指して、研究・開発に取り組んでいます。

【超音波によるジャンボタニシの殺貝】
周波数の異なる超音波を照射したところ、低周波の方が殺貝率が高い傾向を示しました。殺貝率は90%以上を達成。キャビテーションにより致命的な損傷を与えられて死滅することが示唆されました。
【実験用水田での誘引試験】
実際の圃場での施用を想定した電極配置で誘引率を調べたところ、電極の枚数を増やすと水田に流れる電流が増加し、水田に流れる誘引率が増加する傾向を示しました。また、電極までたどり着けていないジャンボタニシがおり、これは電圧が高く感電していることが原因と思われます。
【工学的防除法のフィールド・テスト】
有機レンコン圃場において、工学的手法によるジャンボタニシの誘引の可否および誘引効果を調べたところ、約600頭のジャンボタニシの捕獲に成功し、電気的手法によるジャンボタニシの誘引・捕獲を実証しました。捕集範囲の拡大や捕集効率の改善などが今後の課題として挙げられます。

製品化・実用化への課題、見込み

これまでの基礎研究をもとに、現在は科学技術振興機構(JST)からの支援を受けて、「電気的手法を用いたジャンボタニシ防除装置の開発」のためのフィールド・テストを行っています。広い水田に点在するジャンボタニシをいかに効率よく誘引するか? を解決すべき課題としてフィールド・テストを継続しておりプロトタイプ開発を目指して取り組んでいます。

研究開発機関情報

機関名:独立行政法人国立高等専門学校機構 佐世保工業高等専門学校

部署名:電気電子工学科

研究責任者:准教授 柳生 義人

支援プログラム

事業名:地域産学バリュープログラム

研究課題名:フィールド・テストによるジャンボタニシの電気的防除法の確立

支援期間:平成29年10月~平成31年1月

研究開発に関するお問い合わせ

独立行政法人国立高等専門学校機構 佐世保工業高等専門学校

電気電子工学科 准教授 柳生義人

TEL:0956-34-8528 E-Mail:yyagyu[at]sasebo.ac.jp

独立行政法人国立高等専門学校機構 佐世保工業高等専門学校

総務課 企画係

TEL:0956-34-8415 E-Mail:kikaku[at]sasebo.ac.jp

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