[本文]

JST トップ > A-STEP機能検証フェーズ トップ > 研究開発成果 > コルヌ歯車を適用した遊星歯車減速機の開発
line

コルヌ歯車を適用した遊星歯車減速機の開発

印刷はこちら(PDFファイル)
seika12

研究開発概要

効率よく高速運動ができる減速機の開発を目指し、歯車の歯形形状が”コルヌ螺旋”と呼ばれる曲線から作られる特殊歯形歯車を遊星歯車機構に適用した。その結果、伝達効率、運動精度、剛性が一般的な歯形であるインボリュート歯車や波動歯車減速機と比較して優れた伝達効率性能が期待できることや歯形の違いによる特徴的なデータの蓄積ができた。

【伝達効率】
コルヌ歯車および一般的な歯車の遊星減速機は、波動歯車減速機に対して、全てのトルク範囲で比較的高効率であるが、特にコルヌ歯車の遊星減速機のは、低いトルク範囲から高い伝達効率を実現しており、今回測定したトルク範囲においては、一般的な歯車の遊星減速機に比べて全ての範囲で優れていることが分かった。なお、いずれの減速機においてもトルクが大きくなるにつれて伝達効率が向上しているが、これは、減速機内の軸受や歯車の摩擦抵抗、潤滑剤の影響などが、印加されたトルクに対して相対的に小さくなることが原因の一つと考えられる。
【剛性】
コルヌ歯車と一般的な歯車の遊星減速機を比較すると、全体的にコルヌ歯車の剛性の方が2~3倍程度高いことが分かった。さらにコルヌ歯車遊星減速機の方がトルク1(N・m)あたりを超えてから剛性の変化が小さいという特徴もある。一方で、現状では遊星減速機は波動歯車減速機に対して剛性面でやや劣っており改善の余地があるが、遊星歯車機構において、コルヌ歯車は剛性性能の改善に効果が見込めることが分かった。
【運動精度】
コルヌ歯車は、一般的な歯車と比較して繰り返しの運動精度が優れているがことが分かった。一方、波動歯車減速機と比較すると、繰り返しの運動精度に大きな差は認められなかった。

今後の課題と展開

全体的にコルヌ歯車が減速機として高いポテンシャルがあることが確認できた。生産現場における部品搬送・整列などの産業用ロボットへの波及効果は大きく、その他に需要の増加が見込まれる組立ロボット分野への適用も十分可能な歯車減速機技術であると考えられ、今後の更なる改良に期待がかかる。

研究開発機関情報

機関名:広島県立総合技術研究所 東部工業技術センター

部署名:加工技術研究部

研究責任者:主任研究員 佐々木 秀和

支援プログラム

事業名:マッチングプランナープログラム第2回探索試験

研究課題名:コルヌ歯車を適用した産業用ロボット向け遊星歯車減速機の開発

支援期間:平成28年1月~平成29年1月

研究開発に関するお問い合わせ

広島県立総合技術研究所 東部工業技術センター

加工技術研究部

TEL:(084)-931-2906 E-MAIL: ekckakou[at]pref.hiroshima.lg.jp

ページの先頭に戻る