成果概要

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革新的加速技術による大強度中性子源と先進フュージョンシステムの開発[1] フィジビリティスタディ(加速器システム基本諸元の最適化研究,1A重陽子線形加速器,CARA+プラズマ装置)

2025年度までの進捗状況

1. 概要

本プロジェクトは、「これまでにないほど強力で、しかもコンパクトな加速器」をつくり出し、フュージョンエネルギーの実現を大きく前進させることを目標としています。本研究開発課題は、フィジビリティスタディとして、核融合分野の方々が、加速器からのビームをどのように使いたいか、そして、その需要を満足するビームを出す加速器の形態とその実現可能性を示すことにあります。
“究極のエネルギー”と言われるフュージョンエネルギーを実用化するためには、炉内材料をテストするための強力な中性子源や、プラズマを効率よく加熱するための新しいビーム技術が必要です。私たちは、世界でも例を見ない、1A重陽子線形加速器と革新的な回転ビーム加速器CARA(自動サイクロトロン共鳴加速器)という2つの新型加速器を開発し、核融合研究の“最後の壁”を突破しようとしています。また、この研究は、フュージョンエネルギーの実現だけでなく、医療・材料開発・放射性同位体製造など、社会のさまざまな分野にも波及する可能性を秘めています。

図1-1
f1A重陽子線形加速器
図1-2
CARA(自動サイクロトロン共鳴加速器)

2. これまでの主な成果

① 加速器の基本設計が大きく進展した

核融合に必要なビーム性能(エネルギー・電流・周波数・磁場など)を整理し、それを実現するための最適な加速器の基本設計をまとめました。特に、1A重陽子線形加速器では、空間電荷効果を考慮した軌道計算を行い、実際に製作可能なラティス構造を構築しました。

② CARAの応用可能性が明確になった

CARAからの回転ビームを外部に取り出す新技術を確立し、さらにプラズマ中で価数を変化させて深く閉じ込める手法を確認しました。これにより、CARAが中性子源や小型核融合炉の実現に貢献できる具体的な道筋が見えてきました。

③ 核融合分野のニーズを整理し、研究方向を明確化

ワークショップやシンポジウムを通じて、核融合研究者が求めるビーム性能や応用分野を体系的に整理しました。これにより、実際に必要とされる加速器の姿がより明確になりました。

図2-1
加速器内でのビームの振舞
図2-2
荷電変換によるプラズマへの捕獲の様子

3. 今後の展開

① 世界初の「イオンCARA加速」実証へ

2026年度以降、CARAでイオンを加速する世界初の実験に挑みます。これは電子加速で培った技術をフュージョンエネルギー応用へと広げる重要な一歩であり、成功すれば核融合研究に新しい選択肢をもたらす成果として国際的にも注目されます。

② 世界最高レベルの中性子源の実現へ

1A重陽子線形加速器とCARAを組み合わせることで、IFMIFの10倍に相当する中性子量を目指します。これにより、核融合炉材料の照射試験が大幅に加速され、材料開発の進展を強力に後押しすることが期待されます。

③ 小型核融合炉への新しいアプローチ

CARAでビーム閉じ込め技術が確立されれば、従来方式とは異なる「ビーム駆動型小型核融合炉」という新しい概念が現実味を帯びます。コンパクトで高効率な核融合炉の可能性が広がり、将来のエネルギー選択肢として注目されます。

④ フュージョンエネルギー以外の分野にも広がる応用

本技術はフュージョンエネルギーにとどまらず、医療用RI製造、材料開発、ミュオンイメージングなど多様な分野への応用が期待されます。高品質ビームを安定に供給できる特性が、産業・医療・研究の幅広い領域で新たな価値を生み出します。