低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2020-PP-08

蓄電池システム(Vol.9)
―次世代電極活物質を用いたリチウムイオン電池の製造コスト試算―

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概要

 リチウムイオン電池(LIB)は、電気自動車等の移動体用電源や太陽光発電・風力発電等の再生可能エネルギーを安定に供給するための定置型蓄電システムにも利用されており、持続可能な低炭素社会の実現に関わる重要な技術要素の1つである。

 さらなる普及のために、例えば、EV用蓄電池については、2030 年までにエネルギー密度を500 Wh/kg 以上、電池パックコストを1万円/kWhとすることが目標とされている[NEDO Battery RM2013(2013年8月)参照]。本提案書では、近年の技術水準を考慮したリチウムイオン電池の製造コストを試算するとともに、リチウムイオン電池の高エネルギー密度化と低コスト化の将来推移を予測すべく、次世代電極活物質を適用したラミネート型リチウムイオン電池を設計して製造コストを試算した。その結果、現状モデル(2020年)の製造コストは11.9~23.2円/Wh、将来モデルでは最も低い値で5.1円/Whまで低減する可能性があることを示した。しかしながら、EV用など2030年までに目標とするエネルギー密度と製造コストを達成するためには約10年から20年の研究開発加速が必要であり、産官学が一体となった集中的な資源投資が必要であることを提案する。

提案書全文

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