国際科学技術協力基盤整備事業「日本‐台湾研究交流」における新規課題の決定について

令和8年3月13日

 JST(理事長 橋本 和仁)は、国際科学技術協力基盤整備事業「日本-台湾研究交流」注1)において、台湾行政院「国家科学・技術委員会(NSTC)注2)」と共同で「AIシステム構成に資するナノエレクトロニクス技術」領域に関する研究交流課題の募集および審査を行い、新規課題の採択を決定しました。

(1)メタニューロン:多層結合型メタフォトニクスによる脳型知能
日本の強みであるメタマテリアルの設計・作製技術と脳型計算の基礎理論、台湾の強みである非線形光学と神経回路シミュレーションを基に、メタフォトニクスに基づいたフォトニックニューロンの実現を目的とするものです。ハードウェアとアルゴリズムの両レベルにおいて人工知能研究にブレークスルーをもたらすことを目指します。

(2)AIを利用したインテリジェントゲートドライバによる高性能AIサーバ用電源モジュールの実現
AI サーバ向けに高効率かつ高信頼性の次世代電源供給システムを実現することを目的とするものです。AI サーバやデータセンター向けに、小型・高効率・高電力密度を兼ね備えた電源システムの実現が期待され、将来的なエネルギー消費削減やAI インフラの持続的成長に貢献することを目指します。

(3)AXAu:補聴器向け先進AI駆動型オーディオ超解像のための省エネルギーかつ柔軟なアクセラレータ
補聴器向けオーディオ超解像処理を実現するため、最新AI を支援する省エネルギー型で柔軟な新しいアクセラレータを開発することを目的とするものです。補聴器向けAI モデルのための次世代ハードウェア基盤の実現により、聴覚障がい者を強力に支援するとともに、省エネルギー型の先進AI チップの商用化への道が開かれることを目指します。

(4)高効率AIシステム向けSiC MOSFET用AI制御アクティブゲートドライバの開発
AIデータセンター向けの高電圧直流給電に対応した高効率・低EMI(Electromagnetic Interference)ノイズ・高信頼な電力変換回路の実現を目的とするものです。高速スイッチング動作可能なSiC MOSFETを用いた場合に生じる、スイッチング損失、サージ電圧、電磁ノイズ、熱ストレスによる信頼性劣化といった課題に対し、AI を用いたゲート駆動制御により多目的最適化を図ることで、次世代電源制御技術の確立を目指します。

(5)熱と電気の連成シミュレーションによるUAV用高速異種AIチップのインターコネクトデザイン最適化
3次元や2.5次元の異種半導体チップの性能や集積度において限界を与える原因の一つである熱問題を解決することを目的とするものです。本研究では無人航空機用異種チップを対象に熱解析を行い、インターコネクト回路や電極のデザインを最適化することで、AI チップを含む異種チップの性能向上を目指します。

今回の研究交流課題の募集では21件の応募があり、これらの応募課題を日本側および台湾側の専門家により評価しました。その結果をもとにJSTおよびNSTCが協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本と台湾がともに支援すべきと合意した5件を支援課題として決定しました。日本側と台湾側ともに令和8年4月に支援開始を予定しています。研究期間は支援開始から3年間の予定です。

注1)国際科学技術協力基盤整備事業「日本‐台湾研究交流」
2007年9月にJSTとNSTCの前身である国家科学委員会(NSC)の間で覚書を締結しました。JSTとNSCは、2008年度(平成20年度)に「ナノデバイス」領域の研究交流課題の共同公募を実施して以降、「バイオエレクトロニクス」領域、「バイオフォトニクス」領域で公募を実施しました。2014年(平成26年)にNSCの台湾科技部(MOST)への改組に伴いJSTとの協力もMOSTに引き継がれ、JSTとMOSTは、「IoTのためのセキュリティ技術」領域、「セキュアでディペンダブルなIoTポータブルデバイスのための研究」領域、「超高齢社会における高齢者のケアと支援のためのICT」領域、「AIシステム構成に資するナノエレクトロニクス技術」領域で公募を実施してきました。2022年(令和4年)にMOSTのNSTCへの改組に伴いJSTとの協力もNSTCに引き継がれ、2023年(令和5年度)および2025年(令和7年度)に「AIシステム構成に資するナノエレクトロニクス技術」領域で公募を実施しました。
日本‐台湾研究交流ホームページURL: https://www.jst.go.jp/inter/program/kiban/gather/taiwan.html
注2)台湾行政院「国家科学・技術委員会(NSTC:National Science and Technology Council)」
NSTCは、台湾科技部(MOST)が2022年に改組されて発足した機関です。改組により、MOSTが担っていた科学技術発展の促進、学術研究支援、サイエンスパーク発展に加えて学術研究と産業発展のさらなる連携を促進し、科学技術発展に尽力するファンディング機関としての機能を果たしています。
URL: https://www.nstc.gov.tw/?l=en

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