国際科学技術協力基盤整備事業「日本‐台湾研究交流」における新規課題の決定について

令和4年2月28日

 JST(理事長 濵口 道成)は、国際科学技術協力基盤整備事業「日本-台湾研究交流」注1))において、台湾科技部(MOST)注2))と共同で「AIシステム構成に資するナノエレクトロニクス技術」分野に関する研究交流課題の募集および審査を行い、新規課題の採択を決定しました。

(1)「水素化により制御されたスピンネットワークを利用した万能なニューロモルフィックシステム」
(研究代表者:九州大学 理学研究院 教授 木村 崇、国立台湾師範大学 物理学科 教授 林 文欽)
本研究交流は、日本と台湾の双方が有するスピントロニクス技術を融合してニューロモルフィックデバイスを開発するものであり、ワイヤレスかつ超低消費電力、高い動作信頼性を有し、これまでの学習型デバイスの課題を解決する革新的なデバイスとなることを目的とするものです。

(2)「薄膜メムデバイスとスパイキング計算を用いるニューロモーフィックシステム」
(研究代表者:龍谷大学 先端理工学部 教授 木村 睦、国立成功大學 電機工程學系 特聘教授 林 志隆)
本研究交流は、超コンパクト・低消費電力のニューロモーフィックシステムの開発により、Society5.0のCyber Physical System(CPS)へのAIの広範な搭載を実現し、また小型化によってIoTに有用で、かつ低電力化によりビッグデータ解析に必要な莫大な計算能力に対するエネルギー危機が回避され、SDGsに資するものです。

(3)「神経模倣コンピュータ応用に向けた超低消費電力二次元材料不揮発性メモリの創出」
(研究代表者:関西大学 システム理工学部 准教授 山本 真人、国立中興大学 物理学系 教授 林 彥甫)
本研究は、AIテクノロジーが今後もたらすことが危惧されている莫大な消費電力の抜本的な削減と、AIテクノロジーのソフト・ハード両面での持続的かつ加速的な発展を視野に入れ、微小な電力で大規模情報を処理可能な神経模倣コンピュータの実現を目的とするものです。

今回の研究交流課題の募集では11件の応募があり、これらの応募課題を日本側および台湾側の専門家により評価しました。その結果をもとにJSTおよびMOSTが協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本と台湾がともに支援すべきと合意した3件を支援課題として決定しました。日本側と台湾側ともに令和4年4月に支援開始を予定しています。研究期間は支援開始から3年間の予定です。

注1)国際科学技術協力基盤整備事業「日本‐台湾研究交流」
2007年9月にJSTとMOSTの前身である国家科学委員会(NSC)の間で覚書を締結しました。JSTとNSCは、2008年度(平成20年度)に「ナノデバイス」分野の研究交流課題の共同公募を実施して以降、「バイオエレクトロニクス」分野、「バイオフォトニクス」分野で公募を実施しました。2014年(平成26年)にNSCのMOSTへの改組に伴いJSTとの協力もMOSTに引き継がれ、JSTとMOSTは、「IoTのためのセキュリティ技術」分野、「セキュアでディペンダブルなIoTポータブルデバイスのための研究」分野、「超高齢社会における高齢者のケアと支援のためのICT」分野で公募を実施してきました。2019年度(令和元年度)に続き2021年度(令和3年度)に「AIシステム構成に資するナノエレクトロニクス技術」分野で公募を実施しました。
日本‐台湾研究交流ホームページURL: https://www.jst.go.jp/inter/program/kiban/gather/taiwan.html
注2)台湾科技部(MOST:Ministry of Science and Technology)
MOSTは、国家科学委員会(NSC、1959年設立)が2014年に改組されて発足した機関です。改組により、NSCが担っていた科学技術発展の促進、学術研究支援、サイエンスパーク発展に加えて学術研究と産業発展のさらなる連携を促進し、科学技術発展に尽力するファンディング機関としての機能を果たしています。
MOSTホームページURL: https://www.most.gov.tw/

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