既存の価値を打ち破る新価値の創造
「自然科学」は自然現象の法則性を明らかにする学問です。そして、その学問の前提として、研究対象とする現象を再現させることが必須とされてきました。そのため、これまでの自然科学研究では再現性の高い現象のみを研究対象とし、また、その再現性に基づき応用技術化してきたのです。しかし、歴史が示す通り、多くの科学的大発見は、偶然の幸運な発見である「セレンディピティ(砂浜から一粒の砂金)」によってもたらされています。本プログラム『セレンディピティの計画的創出』では、人間的な時間制限によりこれまで私たちが見逃してきたこの「科学的セレンディピティ」を「計画可能な出来事」に変えていくことにより、グリーンイノベーション及びライフイノベーションの双方に質的変革を引き起こし、世界をリードする新たな産業の創出を図る画期的な試みを行っています。
開発技術のイメージ「セレンディピター」
本プログラムでは、細胞集団から細胞一つ一つを高速・正確に発見・解析することで、セレンディピティ(砂浜から一粒の砂金)を計画的に創出する画期的な革新的基盤技術「セレンディピター」を開発します。従来技術では粗い没個性的な統計データに埋もれていた細胞の優れた能力や未知の現象を短時間で効率的に発掘します。

ライフサイエンスの“素粒子実験”
「セレンディピター」の開発は素粒子実験におけるディテクター開発のイメージで実施します。様々な要素技術(サブシステム)を開発し、それらを統合することで「セレンディピター」(統合システム)を作り上げます。「セレンディピター」の開発は、大量の情報を高速・正確に処理することが得意である先端光技術を基軸に、電子工学、応用化学、分子生物学、情報科学、遺伝子工学など様々な分野からの知見と技術を融合することによって達成されます。ノーベル賞級の大発見を頻発するプラットフォームを構築します。

研究開発プログラムのプロジェクト構成
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基本システム開発
統合サイトにて、インフラ整備と統合システム(セレンディピター)の基盤となる基本システムの開発を行う。
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要素技術開発 A
(細胞刺激技術開発)各研究機関にて、膨大な数の細胞集団の中から単一細胞の分解能で高速・正確に細胞を刺激する基盤技術の開発を行う。
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要素技術開発 B
(細胞計測技術開発)各研究機関にて、膨大な数の細胞集団の中から単一細胞の分解能で高速・正確に細胞を計測する基盤技術の開発を行う。
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要素技術開発 C
(細胞同定技術開発)各研究機関にて、膨大な数の細胞集団の中から単一細胞の分解能で高速・正確に細胞を同定する基盤技術の開発を行う。
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要素技術開発 D
(細胞分取技術開発)各研究機関にて、膨大な数の細胞集団の中から単一細胞の分解能で高速・正確に細胞を分取する基盤技術の開発を行う。
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要素技術開発 E
(細胞解析技術開発)各研究機関にて、膨大な数の細胞集団の中から単一細胞の分解能で高速・正確に細胞を解析する基盤技術の開発を行う。
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統合システム開発
統合サイトにて、各要素技術の基本システムへの融合と統合システムの開発(評価・最適化)を行う。
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実証評価 A
(バイオ燃料)各研究機関と統合サイトにて、各要素技術およびセレンディピターを用いた単細胞生物(ミドリムシ、ボツリオコッカスなど)を基盤とする超効率バイオ燃料開発の実証評価を行う。
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実証評価 B
(血液検査)各研究機関と統合サイトにて、各要素技術およびセレンディピターを用いて医療応用(がん診断、創薬、出生前診断、薬剤評価など)に向けた高精度血液検査技術の実証評価を行う。
プロジェクト研究開発計画
