
Kapybara3D
三木 優彰, Lifeng Zhu, 三谷 純, 五十嵐 健夫

概 要
Rhinoceros®はNurbsを得意とする商用CADモデラーであり、Grasshopper®はRhinocerosの無料Add-onで、複数のコンポーネントを接続してゆくことで複雑な幾何形状の生成ルールを視覚的に定義することを可能とするものである。RhinocerosとGrasshopperの組み合わせは建築デザインの領域でデザイナーとエンジニアの間に横たわるギャップを埋める架け橋の役割が期待されており、昨今実務と教育の両面で急速にユーザーを増やしている。我々が開発を行っているKapybara3DはGrasshopperのカスタムコンポーネント群であり、非可展面を平坦化する複数の手段を提供する。平坦化された形状はもとの曲面形状にできるだけ近いことが望まれるが、その近さを評価する指標が唯一ではないためユーザーは目的に応じて一つの指標(エネルギー)を選択肢の中から選択することとなる。我々は既存のパラメタライジング手法の中から曲面平坦化に分類できるものを選びだし、それぞれにおけるエネルギー関数を共通の様式で再表現した。さらに、連続体の力学の視点を導入し、エネルギー関数から導かれる応力テンソルを曲面の第一基本量の関数として明快に表現した。本コンポーネント群の実装の最大の特徴は、応力テンソルのみを切り替えることで異なる手法が選択される点であり、応力テンソルの計算以外のすべての部分が非線形有限要素法に基づく共通のサブルーチンによって標準化されている。