プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製
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研究総括・研究領域

課題選考に関する総評(平成21年度)

 本研究領域の戦略目標は、自己組織化に代表されるボトムアッププロセスと半導体技術に代表されるトップダウンプロセスを組み合わせ、革新的な機能を有するナノシステムを創製することにあります。提案に当たっては材料に関する科学的知識、プロセスに関する融合的な基盤技術が必要なだけでなく、ナノシステムとしての応用展開をしっかり見据える必要があり、提案は容易ではないと想像します。2回目の募集となる今回は、ナノシステムとしてのイノベーションを引き起こそうとする挑戦的、意欲的な提案が48件集まりました。応募件数も前回に比べ、1.5倍に増加、粒よりで激戦となりました。提案は、分子・DNA操作、バイオ・ニューロチップ、マイクロ流路・MEMS、CNT・グラフェン応用、スピントロニクス応用、エレクトロニクス・フォトニクス応用、エネルギー・環境応用など、非常に多岐の分野にわたっています。これらの提案に対し、上記分野をカバーできる11名の領域アドバイザーと共に、書類選考、面接選考を行い、神経細胞チップ、マイクロ流路のバイオ応用、マイクロ流路のエネルギー応用、分子技術のエネルギー応用、有機分子技術のエレクトロニクス応用、バイオ技術のエレクトロニクス・エネルギー応用の計6件を採択しました。本研究領域では、ナノシステムとして新しい融合分野の開拓を目指しており、必然的にカバーする分野も多岐にわたってきます。アドバイザーの方々の意見も分かれ、多いに議論を戦わせましたが、最終的には、
(1) ボトムアップとトップダウンの融合プロセスに挑戦しているか
(2) 新しい技術分野、学問分野を拓く可能性、あるいは社会に大きな影響を与える産業応用につながる可能性を秘めているか
(3) 上記の可能性につながる独創的なアイデア、それを具現化できる保有技術、エビデンスデータはあるか
を評価基準として判断しました。今回の公募に当たっては、エネルギー・環境分野への挑戦を歓迎するとのメッセージを事前に発しましたが、結果的にそれが反映されたような形となっています。
 今、ナノテクノロジーは、エネルギー・環境問題といった地球的な課題の解決に、また健康・安全・安心といった生活の質の向上に向かって、決定的に重要な技術になりつつあります。そのためには日本が先行して築き上げてきたナノテクノロジーをベースに分野融合的な発想を喚起し、ナノシステムとして社会の喫緊のニーズに答えていく必要があります。1回目と2回目の採択プロセスでは、上記評価基準の(1)をかなり厳密に適用してきましたが、最終となる次回はナノシステムに対するこれらの期待を勘案し、(1)の基準はこれまでに比べて広く解釈し、(2)、(3)を重要視していこうと考えております。
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