プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製
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研究総括・研究領域
曽根総括

研究総括

曽根 純一
(独)物質・材料研究機構 理事

研究領域の概要

 本研究領域は、フォトリソグラフィ等のトップダウンプロセスと自己組織化に代表されるボトムアッププロセスの高度化と統合化を進めることによって、革新的な機能を発現する次世代ナノシステムの創製を目指すものです。
 具体的には、トップダウンプロセスによって作られた微細な電子回路、MEMS・NEMS等のナノ構造デバイスと、ボトムアッププロセスによって生成されたバイオ・有機材料、自己組織化材料等との融合を図ることにより新たな機能を発現させる研究、または機能を有するボトムアップナノ構造体を工学的に応用可能なシステムとして構築する研究を対象とし、従来にない機能、性能をもつセンサ、アクチュエータ、バイオチップ、電子・光デバイス、エネルギーデバイス等の基盤構築を目指します。さらに、これらを集積・最適化した次世代ナノシステムの構築まで念頭に置いて研究を推進します。

研究総括方針

■課題の選考に関する総評(平成22年度)
   本研究領域の戦略目標は、プロセスインテグレーションにより革新的な機能を有するナノシステムを創製することにあります。提案に当たっては材料に関する科学的知識、プロセスに関する融合的な基盤技術が必要なだけでなく、ナノシステムとしての応用展開をしっかり見据える必要があり、提案は容易ではないと想像します。本研究領域の最終募集となる今回は、ナノシステムとしてのイノベーションを引き起こそうとする挑戦的、意欲的な提案が64件も集まりました。これまで3回の募集を行いましたが、提案数は、32件、48件、64件と、大幅に増えてきており、この研究領域の盛り上がりを感じます。今回は最終年度ということもあり、予算の関係から採択件数を4件と絞らざるを得ず、競争率16倍の激戦となりました。そのため、優れた提案でありながら採択できなかった案件も多く、まさに後ろ髪を引かれる思いの選考となりました。提案は、原子・分子・DNA操作、バイオ・医療応用、マイクロ流路・MEMS、CNT・グラフェン応用、スピントロニクス応用、エレクトロニクス・フォトニクス応用、エネルギー・環境応用など、非常に多岐の分野にわたっています。今回の募集では若手からの意欲的な提案を期待する旨のメッセージを事前に発信しましたが、それを反映して若手からの提案が多かったのも特徴です。これらの提案に対し、上記分野をカバーできる11名の領域アドバイザーと共に、書類選考、面接選考を行い、触媒応用などを目指した原子の精密操作、医療応用を目指した生体分子の超高感度計測、スピンの新たな制御法による新物理開拓、新たな金属・有機ハイブリッドポリマーによるディスプレー・エネルギー応用の計4件を採択しました。いずれも独創性の高い挑戦的な提案ばかりです。本研究領域では、ナノシステムとして新しい融合分野の開拓を目指しており、必然的にカバーする分野も広く、選考は容易ではないですが、最終的には、
 (1) 新しい技術分野、学問分野を拓く可能性、あるいは社会に大きな影響を与える産業応用につながる可能性を秘めているか
 (2) 上記の可能性につながる独創的なアイデア、それを具現化できる保有技術、エビデンスデータはあるか
を評価基準としました。
   今年度、新政権による日本の新成長戦略が発表されました。日本が世界に伍していき、世界を先導していくために、グリーンイノベーションとライフイノベーションにより、社会の喫緊のニーズに応え、科学技術立国を目指そうとするものです。ナノテクノロジーは物質科学をベースにして分野融合的な発想でこれら両イノベーションの牽引役となることが期待されています。当研究領域におけるこれまで3回の採択課題を、今、改めて見直してみると、まさにこれら両イノベーションの創出に真正面から取り組んでいるものばかりです。採択が完了した今後は、採択テーマ間連携、グローバル展開、死の谷を越える産業化等を通じて研究の加速を図り、上記の社会からの期待に少しでも応えていきたいと考えています。

研究総括の募集・選考・研究領域運営にあたっての方針(平成22年度)
研究総括の募集・選考・研究領域運営にあたっての方針(平成21年度)
研究総括の募集・選考・研究領域運営にあたっての方針(平成20年度)
課題選考に関する総評(平成21年度)
課題選考に関する総評(平成20年度)
戦略目標(PDF:146KB)


研究総括による講演資料など

シンポジウム「分子技術、新ステージへの胎動」講演資料(PDF: 3.57MB)

9/16に開催された応用物理学会・JST共同特別公開シンポジウム「分子技術、新ステージへの胎動」において、曽根総括が行った「技術俯瞰における分子技術の多様性」と題した講演の資料。

第12回ナノエレクトロニクス合同戦略会議資料(PDF: 1.25MB)

2009年5月13日に文科省と経産省との合同で開催された第12回ナノエレクトロニクス合同戦略会議にて、CREST「ナノシステム創製」領域の取り組みにつき曽根総括が紹介した際の資料。

セミナー講演資料「環境・エネルギー問題と基礎科学」(PDF: 5MB)

2009年8月22日-23日に開催された2009年度日本物理学会科学セミナー「環境・エネルギー問題へ発信する基礎科学」において曽根総括が行った「環境・エネルギー問題と基礎科学」と題した講演の資料。

学振・第151委員会講演資料(PDF: 2.71MB)

2009年11月24日に開催された学振・第151委員会において曽根総括が行った 「環境エネルギー問題に挑戦するナノエレクトロニクス」 と題した講演の資料。

計算科学シンポジウム2009講演資料(PDF: 4MB)

2009年12月7日に開催された計算科学シンポジウム2009において曽根総括が行った 「エネルギー・環境問題に挑戦するグリーンテクノロジー」 と題した講演の資料。

IT・エレクトロニクス技術戦略シンポジウム2009講演資料(PDF: 3MB)

2009年12月9日に開催されたIT・エレクトロニクス技術戦略シンポジウム2009において曽根総括が行った 「ナノエレクトロニクス技術開発の課題と将来展望」 と題した講演の資料。

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