プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製
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研究総括・研究領域

課題選考に関する総評(平成20年度)

 本研究領域の戦略目標は、自己組織化に代表されるボトムアッププロセスと半導体技術に代表されるトップダウンプロセスを組み合わせ、革新的な機能を有するナノシステムを創製することにあります。提案に当たっては材料に関する科学的知識、プロセスに関する融合的な基盤技術が必要なだけでなく、ナノシステムとしての応用展開をしっかり見据える必要があり、提案は容易ではないと想像します。そのような中で、ナノシステムとしてのイノベーションを引起そうとする挑戦的、意欲的な提案が32件集まりました。提案をあえて分野別に分類してみると、バイオ応用6件、M(N)EMS応用5件、エレクトロニクス応用4件、エレクトロニクス/バイオ融合7件、物理/化学/バイオ融合7件、エレクトロニクス/エネルギー融合3件となりました。ここでいうエレクトロニクスにはフォトニクスも含まれています。これらの提案に対し、上記分野をカバーできる10名の領域アドバイザーと共に、書類選考、面接選考を行い、エレクトロニクス/バイオ融合領域で3件、エレクトロニクス/エネルギー融合領域で1件、化学/バイオ融合領域で1件、M(N)EMS/エレクトロニクス応用で1件の計6件を採択しました。全体的にボトムアッププロセスとしてバイオに関連した技術の提案が多かったように思います。結果として、バイオ技術を半導体に代表されるトップダウンプロセスと組み合わせ、ナノシステムとして将来への大きな発展性を示した提案が今年度は多く採択されることになりました。これだけの難しい研究領域に挑戦してくる提案だけに、皆、粒ぞろいで、光る部分を持っています。アドバイザーの意見も分かれましたが、最終的には、
・ボトムアップとトップダウンの融合プロセスに挑戦しているか
・大きなイノベーションにつながる可能性を秘めているか
・上記の可能性につながる独創的なアイデア、それを具現化できる保有技術、エビデンスデータはあるか
で判断しました。バイオと物理・化学分野との融合、バイオ技術とエレクトロニクス、エネルギー技術との融合は今後の大きな技術の流れであり、引き続き、同領域の有望な提案は採択していきたいと思います。同時に、自律的な化学反応により形成される広い意味での自己組織化ナノ構造、それを利用して実現されるエレクトロニクス・フォトニクス応用、環境・エネルギー応用も安全・安心で持続可能な将来社会を実現するうえでますます重要な技術になってくることは間違いありません。次回以降、そのような提案も多いに期待したいと思います。

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