シリコンバルク熱電変換材料
~バルク材料シリコンで高効率の熱電変換素子を実現~
塩見 淳一郎(東京大学)
発明のポイント
- ・環境親和性、安定性、資源量に優れた熱電変換材料としてSiを選定(下図上)
- ・Si熱電材料には、ナノワイヤ・ナノポアを有する薄膜等のナノ構造とバルク構造があるが、単純な熱電変換素子構造(下図下)が可能なバルク構造Siを選択
- ・バルク構造Siの課題は性能指数ZTが低いことであるが、多孔質構造の最適化で高ZTと低異方性を両立
発明の概要
- ・シリコンウエハの異方性エッチングによりポーラスなシリコンナノワイヤを作製し(下図中)、加圧で軸方向にクラッシュさせつつプラズマ焼結することで、界面に歪みを導入したナノ細孔構造(下図下)を有するシリコンバルク材料を作製した。従来のナノ構造シリコンが有する異方性は小さく、ZT>0.2を示す。
従来技術との比較・優位性
BiTe | ナノ構造Si | バルク構造Si | 本発明 | |
---|---|---|---|---|
毒性 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
資源豊富性 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
異方性 | 〇 (バルク材料) |
× | 〇 (バルク材料) |
〇 (バルク材料) |
熱電性能 | ◎ (ZT~1) |
〇 (ZT=0.1~0.6) |
× (ZT<0.1) |
〇 (ZT>0.2) |
想定される用途
- ◎ IoTセンサー用電源(自立電源、メンテナンスフリー)
- ◎ ウェアラブルデバイス用電源
ライセンス可能な特許
発明の名称:シリコンバルク熱電変換材料
国際公開番号:WO2019/131795
登録番号:特許第6966100号、米国11456406