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極限ナノ材料造形と機能開拓 (東京工業大学・真島教授)オンラインセミナーの動画を公開しました。

2月24日(金)、東京工業大学・真島教授のご研究成果について、オンラインセミナーを開催いたしました。動画を掲載しておりますので、当日参加いただけなかった方、もう一度ご覧になりたい方、是非ご視聴ください。

■ 開催概要

開催日時:
2023年2月24日(金) 15:00~16:25
開催方法:
ZOOMによるオンラインセミナー(事前登録制)
参加費用:
無料
セミナーの流れ:
15:00~ イベントの概要について
15:05~ 基盤技術「極限ナノ造形技術」のご紹介
応用例のご紹介(ガスセンサ、DNAシーケンサー、超強磁性体)
15:45~ 東京工業大学 真島・伊澤研究室のご紹介、DNAシーケンサーの動作デモ(司会:JST職員)
16:10~ 皆様からの質問へのご回答
16:25~ 終わりのご挨拶

■ 当日の録画

Part1 基盤技術説明、応用例紹介


Part2 研究室紹介、質疑応答

■ 技術のご紹介

はじめに

 真島・伊澤研では、研究室で所有する電子線リソグラフィ装置を用い、様々なナノ構造をCADで設計し、描画、蒸着、リフトオフを行うことにより、nmスケールの極限ナノ造形技術を研究しています。また、ナノスケールの無電解金めっき(Electroless Gold Plating。以後、ELGPと略記します)技術を開発しており、特定条件下の白金(Pt)上に金(Au)をヘテロエピタキシャル成長させることができます。
 真島・伊澤研ではこの極限ナノ造形技術およびELGP技術を、ガスセンサ、DNAシーケンサー、ナノワイヤ型強磁性体等の研究に活用しています。

基盤技術

電子線リソグラフィによるナノコンビ電極

 研究室で所有する電子線リソグラフィ装置を用い、様々なナノ構造をCADで設計し、描画、蒸着、リフトオフを行うことにより、10nmスケールのナノコンビ電極を作製しています。真島・伊澤研ではこのEBL技術を、ナノスケールガスセンサ、強誘電メモリ、ナノスケール強磁性体の研究に活用しています。

500℃の耐熱性がある白金ナノギャップ電極
無電解ナノめっき(ELGP)

 真島・伊澤研では、特有の条件で無電解金メッキを白金上に行うと、白金上に金がヘテロエピタキシャル成長することを見出しました。通常、金の30nm以下のナノ構造はレイリー不安定性により室温で構造を維持できませんが、構造的に安定な白金の原子並びに沿ってエピタキシャル成長させることで300℃でもナノ構造を維持できることを見出しました。白金に限らず、パラジウム(Pd)表面でも、金をヘテロエピタキシャル成長させることができます。

Pt/Au界面の断面SEM(走査電子顕微鏡)像
白金の原子並びに沿って金原子層が成長

応用例

ナノスケールガスセンサ

 従来、ガスセンサは抵抗変化型ガスセンサが主流で、マイクロメートルスケールで製造されてきました。一対の電極間に酸化物半導体をおき、ガス雰囲気により電気伝導が変化することによりガスを検出していました。
 真島・伊澤研では、ナノメートルスケールのギャップ長を有する白金ナノギャップ電極をガスセンサに応用し、応答速度などが桁違いに高速となる、ナノギャップガスセンサが実現できることを発見しました。真島・伊澤研ではこのナノギャップガスセンサ技術を、ウエアラブルガスセンサや、超低消費電力ガスセンサなどへの応用展開に向けた研究開発をおこなっています。

DNAシーケンサー(ELGPナノポアDNAシーケンサー)

 白金層に数十nm径のナノポアを作り、その表面にELGP処理をします。すると、白金上表面に金がヘテロエピタキシャル成長し、ポア径が狭窄され、金属ナノポアを作製することができます。

20nm径のポアにELGP処理をすることで、狭窄し、2nmのポア径になります。

 構造多型による遺伝子変異に起因すると考えられている多くの疾病の研究を進めるには、一本鎖DNAの塩基配列の解読が必要です。しかしながら、現在主流のDNAシーケンサーは、ショートリード型であり、長い一本鎖DNAを解読することは不可能です。のちに、長い一本鎖DNAを解読可能であるロングリード型が登場しましたが、まだ、低い誤り率での一本鎖DNA解読には至っていません。
 そこで真島・伊澤研では、ELGP技術を応用した金属ナノポアを用いて、ロングリード型DNAシーケンサーの実現に向けた研究を展開しています。
 ELGPナノポアDNAシーケンサーでは、数nmのナノポアに一本鎖DNAを通過させ、塩基種に依存するイオン電流の変化を読み取ることで、DNAを解読します。既存のDNAシーケンサーと異なり、読取塩基長に制限がないため、次世代DNAシーケンサーの実現が期待されます。

ナノ構造誘起規則化強磁性ナノワイヤの作製とスピンデバイス

 L10型結晶構造を有する強磁性合金は、結晶のc軸方向に交互に原子が積み重なっており、c軸方向の結晶格子が縮むことにより磁気異方性エネルギー(MAE)が変化し、大きな磁気異方性を示すことが分かっていますが製造コストが課題でした。
 真島・伊澤研では、CoPtナノワイヤをEBLにより作製し、ナノ構造で発生する極めて大きな応力を利用してL10規則化を誘起させる、ナノ構造誘起規則化L10強磁性単結晶ナノワイヤの作製に成功しました。ナノサイズであるため小型化が求められている次世代HDDやMRAMのスピンデバイス(TMR素子)が可能になると期待されます。

関連技術の展示会出展ポスター ※本セミナーの技術の元となる技術です。

■ 発表者のご紹介

真島 豊

発表者:真島 豊
<所属>
東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 教授/東京工業大学 評議員
<略歴>
1992年東京工業大学大学院 理工学研究科 博士課程 電気・電子工学専攻修了。株式会社 東芝 研究開発センター、東京工業大学助手、助教授・准教授、文部科学省 研究振興局 基礎基盤研究課 材料開発推進室 ナノテクノロジー推進担当 学術調査官(兼職)などを経て現職。
数十ナノメートル以下のスケールで自在にデバイスを造形すると、通常では予想できない面白い物性・機能を利用することができます。

真島教授の研究室Webサイト

■ 過去のセミナー動画はこちら

お問い合わせ先

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国立研究開発法人科学技術振興機構
知的財産マネジメント推進部 
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