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均一な液滴を早く、大量に!~並列流路を使った最新の『エマルション(微小液滴)』生成技術~ (東京工業大学・西迫准教授)オンラインセミナーの動画を公開しました。

10月20日(木)、東京工業大学・西迫准教授のご研究成果について、オンラインセミナーを開催いたしました。動画を掲載しておりますので、当日参加いただけなかった方、もう一度ご覧になりたい方、是非ご視聴ください。

■ 開催概要

開催日時:
2022年10月20日(木) 15:00~16:25
開催方法:
ZOOMによるオンラインセミナー(事前登録制)
参加費用:
無料
セミナーの流れ:
15:00~ イベントの概要について
15:05~ 研究成果のご紹介
15:30~ 有望な応用分野においての研究例
15:45~ 東京工業大学・西迫研究室のご紹介、エマルションの生成デモ (司会:JST職員)
16:10~ 皆様からの質問へのご回答
16:25~ 終わりのご挨拶

■ 当日の録画

Part1 技術説明、応用例紹介


Part2 研究室紹介、質疑応答

■ 技術のご紹介

はじめに

 「エマルション」とは、水と油のように互いに混ざり合いにくい液体において、一方が他方中に微細な液滴として分散したものです。古くから化粧品、医薬品、化成品、食品、微粒子製造、印刷等の工業用途や、最近ではデジタルPCR、単一細胞解析機器にも使用されています。

基盤技術

 私達は、2001年にサイズの揃った液滴を規則正しく連続生成するマイクロ流路技術を開発しました。本技術では、混ざり合わない2つの溶媒(例えば水と油)を用意し、T字型や十字型流路(下図)の①から液滴にしたい分散相、②から連続相を流すことで、連続相流により分散相をせん断し、液滴を生成することができます。本技術は、サイズの揃った液滴を1つずつ規則正しい時間周期で連続生成できることや、流量操作により液滴のサイズや生成速度を容易に操作できる等、従来技術にない特長を有しています。また、流路の形や流す溶媒を変えることで、複雑な液滴を生成することもできます。

上:T字流路、下:十字流路での液滴生成の様子です。①から分散相、②から連続相を流量を一定にして流すことで、分散相が連続相にせん断され、一定の大きさの液滴が生成されます。

「エマルションの大量生成」

 エマルションの生成には単一流路が使われてきました。しかし、単一流路は生産性が著しく低く、多数流路の並列化による大規模な液滴生成技術が望まれていました。また、これまでの多数流路は構造が複雑で、流路自体の生産性に難があり、装置も大がかりなものでした。
 私達は、シンプルな構造で流路を並列化した装置を開発しました。構造の工夫により、多数の液滴生成用マイクロ流路を容易に形成することができ、且つマイクロ流路部分のメンテナンスがし易い等、従来のマイクロ流路並列化デバイスに比べて著しく扱いやすい装置となっています。

流路アレイチップ

装置は流路アレイチップとスリット部品で構成されます。
画像では、幅35mmのチップ内に流路が323本存在します。

 また、これまで量産が難しかった、2相を併せたような形態の液滴も、流路を単純にし、高密度に並列化した装置を開発することで思いのままに量産可能になりました。

2相液滴(コアシェル型)の量産装置の構造

2相液滴(コアシェル型)の量産装置の構造です。①の流路には2種類の分散相が並行して流れており、②から供給される連続相に分散相がせん断されると、③の流路では分散相の一方の溶媒がもう一方の溶媒を内包する、コアシェル型液滴となります。

企業での活用例

 私達の技術は、これまでに一細胞分析やデジタルPCR機器等で広く使用されています。一方で、今回ご紹介する「速く、大量に」エマルションを生成できる技術は、医薬品製造プロセスや生活消費財、塗料、その他高分子微粒子等の生産技術への応用が可能と考えています。

関連技術の展示会出展ポスター ※本セミナーの技術の元となる技術です。

■ 発表者のご紹介

西迫 貴志

発表者:西迫 貴志
<所属>
東京工業大学科学技術創成研究院未来産業技術研究所/東京工業大学工学院機械系 准教授
<略歴>
2005年東京大学大学院工学研究科精密機械工学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。東京工業大学助手・助教、UCLAにて日本学術振興会海外特別研究員、文部科学省研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付学術調査官などを経て現職。学生のときにマイクロ流路デバイスの研究に携わって以来、早いものでかれこれ20年以上になります。

西迫准教授の研究室Webサイト

■ 過去のセミナー動画はこちら

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