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柔らかくて堅い!折紙構造-分野協働が切り開く折紙工学- (東京大学・舘准教授)オンラインセミナーの動画を公開しました。

11月5日(金)、東京大学・舘准教授のご研究成果について、オンラインセミナーを開催いたしました。動画を掲載しておりますので、当日参加いただけなかった方、もう一度ご覧になりたい方、是非ご視聴ください。

■ 開催概要

開催日時:
2021年11月5日(金) 15:00~16:30
開催方法:
ZOOMウェビナーを用いたオンライン開催 (事前登録制)
参加費用:
無料
セミナーの流れ:
15:00~ イベントの概要について
15:05~ 研究成果のご紹介
15:30~ 有望な応用分野においての研究例
15:45~ 舘准教授、川上産業・日建設計担当者による特別対談(司会:JST)
16:15~ 皆様からの質問へのご回答
16:30~ 終わりのご挨拶

■ 当日の録画

Part1 技術説明、応用例紹介


Part2 川上産業株式会社様、株式会社日建設計様との対談、質疑応答

■ 技術のご紹介

はじめに-折紙工学とは?-

 「折紙」といえば、平面の紙を折って様々な立体物を作る、日本伝統の遊びです。この折り紙の技術や発想を産業分野に応用しようという取り組みが活発になっています。最も代表的な折り紙の産業応用と言えば1970年に東京大学・三浦名誉教授が考案した「ミウラ折り」で、開閉がワンアクションで可能なポケット地図、人工衛星の太陽光発電パネル等に利用されています。

図

ミウラ折りの構造。紙面内部の折り目が平行四辺形になっています。

平行四辺形の折り目のおかげで互いに干渉することなく折り畳むことができる様子が分かります。

 このような学問としての折紙は世界中の研究者にも着目され、現在、芸術、幾何学、情報学、物質科学、生物学、工学、教育などを横断して国際的に発展しています。「折紙」から発想した、建築物・構造物の革新の道も分野協働を通して探られています。

ソフトウェアを用いて折り紙を設計する「計算折紙」

 折紙工学の中でも近年注目されているのが、「計算折紙」という分野で、「折る」ことに関する幾何学とアルゴリズム量が研究対象の中心です。この分野の発展によって、形状設計が自由に行えるようになり、また動きのシミュレーションや構造解析等も可能となりました。計算折紙の発展により、現在では厚みのある板のような素材でも折り目で互いが干渉せずに組み立てを行う構造を設計できるようになっています。

発明者が開発したソフトウェアを使うと、折り畳みが可能である、という条件を満たしたまま構造を自在に設計できます。
Freeform Origami (https://www.tsg.ne.jp/TT/software/#ffo)

柔らかくて堅い構造

 変形できる構造には弱点があります。それは展開したい動き以外の動きが起こることです。変形できるということは堅くなり得ず、堅くしようとすると折り畳みができなくなります。この両者を両立しようと発明者らが開発したのが、今回ご紹介する構造物です。従来の構造と比較して、展開したい動きについての変形柔軟性は同等ですが、展開したくない動きに対する堅さは100倍です。

左側が従来の構造、右側が新規構造。左側の構造物は伸縮した際に一部が展開しているのに対し、右側の構造物は全体が一様に展開していることが分かります。

期待する応用例

 「プチプチ」の販売元である川上産業株式会社から、本技術の構造を取り入れたパーテーションを販売しています。この成果は、東京大学、川上産業、日建設計との共同研究によるものです。また、他に以下の用途を考えています。

  • 仮設建築、パビリオン
  • 足場、型枠などの建設部材

 「折紙」の領域は、芸術、数学、科学、情報、工学などの異なる学術分野の知見を統合する、分野協働によって発展してきました。産学連携においても、様々な領域(設計、材料、生産、制御、情報技術、教育など)の連携が革新を生むと考えています。 上述の例に限らず、折り畳みたい、持ち運びたいというニーズをお持ちの企業様と一緒に共同研究し、産業への応用をしたいと考えています。

過去の展示会等の情報

■ 発表者のご紹介

舘 知宏(たち ともひろ)

発表者:舘 知宏
<所属>
東京大学大学院総合文化研究科 准教授
<略歴>
2010年東京大学大学院工学研究科博士課程修了。同大学大学院総合文化研究科助教を経て現職。科学技術振興機構(JST)の研究事業「さきがけ」の数理構造活用で、新しい折りパターンの創出を目標に研究中。

舘准教授の研究室Webサイト

ゲストスピーカー

森島 敏之(もりしま としゆき)

発表者:森島 敏之
<所属>
川上産業株式会社
<略歴>
同社入社後、大学・企業等と共同研究、共同開発業務を務める。舘先生、株式会社日建設計と共同研究を行い、新しいパーテーションの開発において製品化を担当した。また、折紙工学の提唱者・野島武敏先生とも親交がある。
<川上産業株式会社のご紹介>
1968年に創業し、創業当時から輸送・配送用梱包材や包装資材の製造・販売を行っています。気泡緩衝材「プチプチ」で有名で、梱包材としての用途以外の可能性を追求するため、2001年に「プチプチ文化研究所」を設立しました。2018年から舘先生、株式会社日建設計と共同研究を行い、舘先生の「折り紙」技術と自社製品「プラパール」を組み合わせ、強度が高く、軽くて折り畳み可能なパーテーションを開発しました。

川上産業株式会社のWebサイト

安藤 顕祐(あんどう けんすけ)

発表者:安藤 顕祐
<所属>
株式会社日建設計
<略歴>
同社入社後、構造設計グループとNAD(Nikken Activity Design lab)にて設計業務、新規事業開拓業務を務める。舘先生、川上産業株式会社と折紙構造の共同研究を行い、公園運営の実験を行う「PARK PACK」などを担当した。

重松 瑞樹(しげまつ みずき)

発表者:重松 瑞樹
<所属>
株式会社日建設計
<略歴>
同社入社後、構造設計グループにてオフィスビル・リゾートホテル・スタジアムなどの建物の構造設計を担当。舘先生、川上産業株式会社と折紙構造の共同研究を行い、公園運営の実験を行う「PARK PACK」などを担当した。
<株式会社日建設計のご紹介>
建築の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサルティング業務を行うプロフェッショナル・サービス・ファームです。「価値ある仕事によって社会に貢献する」という基本理念を尊重し、1900年の創業以来、社会の要請とクライアントの皆様の様々なご要望にお応えすべく、よりよい社会環境づくりに取り組んでいます。

株式会社日建設計のWebサイト

■ 過去のセミナー動画はこちら

お問い合わせ先

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国立研究開発法人科学技術振興機構
知的財産マネジメント推進部 
知財集約・活用グループ
TEL:03-5214-8486 FAX:03-5214-8417 
E-mail:ライセンス(あっせん・実施許諾)について メールアドレス ※お問い合わせの内容によっては、回答に時間を要する場合があります。