「未病」を識別せよ!-数理データ解析による超早期予測・診断の実現へ- (東京大学・合原特別教授)オンラインセミナーのご案内
3月5日(金)、東京大学・合原特別教授のご研究成果について、オンラインセミナーを開催いたしました。
■ 開催概要
- 開催日時:
- 2021年3月5日(金) 15:00~16:00
- 開催方法:
- ZOOMによるオンラインセミナー(事前登録制)
- 参加費用:
- 無料
- セミナーの流れ:
- 15:00~ イベントの概要について
15:05~ 研究成果のご紹介
15:35~ 東京大学・合原特別教授、陳IRCN連携研究者による特別対談(司会:JST職員)
15:50~ 皆様からの質問へのご回答
16:00~ 終わりのご挨拶
■ セミナーを聞いて分かること
- ヒトでの研究の進捗状況
- 適用可能な疾病
- 医療以外への応用
■ 技術のご紹介
はじめに
生態系、金融システムなど様々な複雑系では、ある安定状態から別の安定状態に状態遷移する直前に特有のゆらぎが発生することがあります。これは、システムを正常な状態に保つ回復力が低下し、外乱に対して弱くなっていることが一因です。この現象が病気の発症前にも起こるとして考え出されたのが、未病状態を検出する技術(DNB理論)です。
※DNB:Dynamical Network Biomarkers (動的ネットワークバイオマーカー)
「未病」とは
日本を中心とした先進国等では、超高齢化社会へと向かう大きなうねりの中にあります。その中で、個人レベルのみならず、国家システムを維持するためにも、人々が健康であり続けること、生活の質を落とさないことの重要性がますます高まっています。このような背景から近年、超早期精密医療が注目されています。中でも大きな役割を期待されているものの一つが、「健康」でも「病気」でもない状態、すなわち「未病」を的確に検出することです。しかしながら、その定義があいまいであることから、「未病」の検出は非常に困難でした。東京大学・合原特別教授は、前述の通り複雑系の状態変化の際に起こるゆらぎに着目することで、数学の分岐理論をもとに「未病」を明確に定義し、数理データ解析を用いた未病の検出に成功しました。
健康な状態、病気の状態ではエネルギー的に安定していて多少のことがあっても他の状態に移ることはできませんが、未病状態では山が平らになっていて簡単に健康状態から病気状態へ状態が遷移してしまいます。
DNB発見事例
以下の疾病について、DNBを発見しています。また、現在も複数の疾病について企業・大学と共同研究を行っています。
現在までにDNBを決定した疾病
- メタボリック症候群
- 肝がん転移
- H3N2型インフルエンザ
医療以外への応用
数学の理論には普遍性があります。DNB理論は、様々な複雑系が不安定化して状態遷移する際の予兆検出に広く応用できます。たとえば大量の再生可能エネルギー導入による電力ネットワークの不安定化の予兆検出、機械の故障の予測、交通渋滞予測、経済変動の予測などの問題の解決です。
過去の展示会出展ポスター、対象特許等
■ 発表者のご紹介
合原 一幸
- <所属>
- 東京大学 特別教授/名誉教授、国際高等研究所 IRCN 副機構長
- <略歴>
- 1982年東京大学大学院電子工学博士課程修了。東京電機大学工学部助教授、北海道大学客員助教授、放送大学客員教授、東京大学教授などを経て現職。内閣府主導の大型研究事業「ムーンショット型研究開発事業」の研究開発プロジェクトの1つ、「複雑臓器制御系の数理的包括理解と超早期精密医療への挑戦」のプロジェクトマネージャー(PM)を務める。
ゲストスピーカー
陳 洛南
- <所属>
- 東京大学 IRCN連携研究者
- <略歴>
- 1991年東北大学大学院電気工学博士課程修了、大阪産業大学工学部助教授、教授、UCLA客員教授、中国科学院上海生命科学研究院教授などを経て現職。研究分野は非線形システム工学と生命情報工学である。
合原特別教授の研究室Webサイト
■ 過去のセミナー動画はこちら
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