クリーン・低環境負荷社会を実現する高効率エネルギー利用システムの構築とネットワーク形成に向け、家電製品、モータ、産業用ロボット、電気自動車、鉄道、電力システム等における省エネ効果を飛躍的に高めるとともに、太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギーの早期導入と拡大を図るための基盤として、次世代パワーエレクトロニクスの高性能化と本格普及・社会実装の促進に世界の注目が集まっています。
京都地域では、知的クラスター創成事業の第T期(平成14年度〜19年度)および第U期(平成20年度〜24年度:地域イノベーションクラスタープログラムを経て地域イノベーション戦略支援プログラムに名称変更)の助成を得て、地域の産学公連携研究を展開し、多くの成果を挙げてきました。特に、京都大学と地域企業のローム(株)との間の緊密な産学公連携による小型・大容量SiCパワーデバイスの実用化開発研究が大きく進展し、平成22年に国内初のSiCショットキーダイオードと世界初のSiC パワーMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)、さらに平成24年には世界初のフルSiCパワーモジュールの量産に相次いで成功し、今回の研究成果展開事業に繋がりました。
SiCパワーデバイスの量産品を用いて試作したインバータは、従来のSiインバータと比較して電力損失が73%低減され、顕著な省エネ効果が得られることを実証済みです。SiCパワーデバイスやSiCパワーモジュールを搭載した機器は、高効率化(エネルギー低損失化)、小型化、高温動作、高周波動作を実現し得る点で、従来にない高性能なアプリケーション分野が拡大すると期待されています。
本スーパークラスターでは、大学を中心とする高性能材料・デバイス研究開発グループ、回路・システム研究開発グループ、アプリケーション研究開発グループに加え、製品開発型中小企業を含むスーパークラスター参画企業(デバイス・モジュールメーカー/機器メーカー/システムメーカー)による産産連携実装化推進研究開発グループを編成し、製品化展開を強力推進する実施体制で臨んでいます。これにより、平成29年度までの本事業期間内に、SiCパワーデバイスやSiCパワーモジュールを搭載した小型・高周波スイッチングインバータ、マイクロスマートグリッド、可変磁気抵抗モータなどの機器・システムを試作し、SiCパワーエレクトロニクスの本格普及と社会実装の実現可能性を評価し、その国際的優位性を確実なものにします。