[ゲノム合成] 令和元年度採択課題

海津 一成

ゲノム配列から自動で全細胞モデリングする技術の開発

研究者
海津 一成

理化学研究所
生命機能科学研究センター
上級研究員

研究概要

ゲノムスケールのDNA配列を一から設計するためには、遺伝情報からマルチオミクスや増殖速度など細胞の表現型を予測する全細胞シミュレーション技術が必要不可欠です。本研究では、データベース上の膨大なデータを統合することでゲノム配列から自動で大腸菌のモデリングを行う新たなプラットフォームを開発します。また本技術を用いてゲノム配列構造がいかに最適化され、どのような設計原理を持つのかを解明していきます。

Canela Andres

ゲノム構築におけるDNAトポロジーの役割

研究者
Canela Andres

京都大学
白眉プロジェクト
特定准教授

研究概要

ゲノムDNAは微小な細胞内にきちんと収納され、高度に折り畳まれています。そのプロセスを理解することは細胞内で機能する合成DNAの適切なデザインに重要です。私はDNAのねじれを解消する酵素であるトポイソメラーゼ2(TOP2)が、DNAの折り畳みに重要なコヒーシンの結合部位で機能することを見出しました。DNAのねじれストレスの原因とTOP2の役割を解明し、ゲノムの核内配置機構の理解を目指します。

寺川 剛

DNAカーテンによるエピゲノム修飾継承の一分子計測

研究者
寺川 剛

京都大学
大学院理学研究科
助教

研究概要

ゲノムの動作原理に基づいてゲノムを設計して人工細胞を構築するためには、生体分子への後天的な化学修飾(エピゲノム修飾)による遺伝子発現の制御について理解する必要があります。人工細胞が細胞分裂で増殖することを考えると、分裂前後でエピゲノム修飾が継承される機構を理解することが重要です。本研究では、エピゲノム修飾が継承される分子機構をDNAカーテン法を用いた一分子蛍光顕微鏡観察によって明らかにします。

西山 朋子

ゲノム三次元構造とゲノム機能をつなぐハブ構造構築

研究者
西山 朋子

京都大学
大学院理学研究科
教授

研究概要

In cisクロマチン高次構造形成に必要であるコヒーシンがループ様構造を形成する過程を一分子リアルタイム観察系で明らかにし、このDNA構造変化を定量できるハイスループット解析系を開発する。この系を用いて転写活性とDNA構造変化の関連を調べ、精製タンパク質を用いた再構成系の構築を試みる。最後にこの系をDNA複製系と組み合わせることで、DNA複製・転写・接着機構が競合しないシステムを構築する。

野崎 晋五

ボトルシップ法による人工細菌の創出

研究者
野崎 晋五

広島大学
大学院先進理工系科学研究科
共同研究講座准教授

研究概要

本研究では、空き瓶の中で帆船模型を組み上げるボトルシップのように、大きな人工ゲノムを分断化した状態で細菌細胞に導入し、細胞内で完全なゲノムへと組み上げることで人工細菌を生み出すことを目指します。自在にゲノムがデザインされた人工細菌の創出技術は物質生産等への応用だけでなく、生命の必須因子を決定していく上でも重要となり、「生命とは何か?」という根源的な問いに対する解答に大きく近づくことが期待されます。

林 剛介

有機化学を基盤としたエピゲノム修飾ヌクレオソーム再構成技術の確立

研究者
林 剛介

名古屋大学
大学院工学研究科
准教授

研究概要

本研究では、有機化学分野で培われた分子技術を駆使し、DNA配列上の任意の位置で任意の修飾を有するヌクレオソームを再構成させることのできる技術を開発します。具体的には、ヒストンタンパク質およびDNAを化学合成し、翻訳後修飾やDNAメチル化などの「エピゲノム修飾」を有する細胞内環境に極めて近いヌクレオソーム(アレイ)を再構成させる技術の構築を行い、クロマチン分子生物学および合成生物学研究に貢献します。

原田 哲仁

組織特異的ゲノム構造の再構築技術の開発

研究者
原田 哲仁

九州大学
生体防御医学研究所
准教授

研究概要

組織特異的な細胞機能の獲得は、ゲノムから必要な遺伝子を発現させるために最適なクロマチン構造を形成する必要がありますが、その実態は明らかとなっていません。本研究では、組織特異的ゲノム構造に焦点を当て、ゲノム作動領域の決定とそれを実行する因子の同定を行います。これにより、組織特異的遺伝子発現を操作する技術基盤の構築を目指します。

真栄城 正寿

人工エクソソームによる長鎖DNAの細胞導入法の開発

研究者
真栄城 正寿

北海道大学
大学院工学研究院
准教授

研究概要

脂質ナノ粒子やエクソソームは、標的化や高い細胞導入効率を示す。一方で、エクソソーム間の細胞への遺伝子導入効率の違いなどは未解明であり、エクソソームの遺伝子導入性能に関わる重要な因子を解明できれば、細胞への長鎖DNAの導入技術を確立できる。そこで本研究は、エクソソームによる遺伝子導入に関する重要因子を特定し、人工的に改変したハイブリッドエクソソームによる長鎖DNAの導入技術を開発する。

正木 慶昭

副反応を起こさない核酸等価体による長鎖DNA合成

研究者
正木 慶昭

東京工業大学
生命理工学院
助教

研究概要

DNA化学合成ではさまざまな副生成物が生成することが知られています。これらの副生成物は、合成した遺伝子やゲノムの配列の正確性に大きな影響を及ぼします。本プロジェクトでは、ゲノム合成において問題となる副反応を起こさないよう設計した核酸等価体を用い、ホスホロアミダイト法をゲノム合成に特化させることで、現在のゲノム合成の達成している水準を超える新たな基盤技術を開発します。

水内 良

原始生命の進化に学ぶゲノム拡張基盤の構築

研究者
水内 良

早稲田大学
先進理工学部
専任講師

研究概要

私がこれまでに携わってきた原始生命の進化に関する研究の知見を基に、人工細胞内で異なる遺伝子の断片を集積し、効率良く複製・機能する長鎖ゲノムを自発的に進化させる新しい技術を開発します。これにより、任意の遺伝子をコードした長鎖ゲノムを迅速に取得し、また人工細胞を用いてそれら遺伝子を自律的に進化させられるようになります。

村山 泰斗

ゲノム複製・組換えにおけるDNA高次構造制御機構の解明

研究者
村山 泰斗

情報・システム研究機構
国立遺伝学研究所
准教授

研究概要

ゲノム複製は、様々な要因で生じる DNAの絡まり(DNA高次構造)によって阻害されます。本研究は、SMC型染色体構造タンパク質に着目し、DNA高次構造を解消して複製を効率的に行うメカニズムについて、精製タンパク質を用いた試験管内再構成解析を軸に解明します。DNA高次構造制御機構を搭載することによって、試験管内で染色体を効率的に複製・保全する技術基盤の構築を目指します。

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