[環境低負荷] 環境低負荷型の社会システム

戦略目標

環境にやさしい社会の実現」(PDF:14KB)

平成9年度採択分

都市交通の環境負荷制御システムの開発
研究代表者(所属)
岩田 規久男(学習院大学 経済学部 教授)
概要
(1)自動車燃料税消費に炭素税を課したときの大気汚染削減効果を、計算可能一般均衡モデルを用いて推定した。2010年以後の炭素排出量を1999年よりも6%少ない水準に安定化させるには、約11万円/tcの炭素税を自動車燃料消費にかける必要があると推定される。 (2)道路渋滞は、自動車公害を悪化させる。渋滞を減らすためのロードプライシングがもたらす環境改善効果を土地利用の変化に伴う便益と共に首都圏において測定した。 (3)電気自動車の大量普及のために、環境、性能、機能の面で、著しく優れた車を開発した。最高速度311km/h、一充電走行距離300kmを実現した。
 

農山村地域社会の低負荷型生活・生産システムの構築

研究代表者(所属)
合田 素行(農林水産政策研究所 国際政策部 部長)
概要
低負荷型システム構築のため、①地域有機性資源の利用可能性、②環境負荷(農業地域へのLCA(Life Cycle Assessment)拡大適用)、③経済費用の観点からの地域評価手法の総合化を行うとともに、その手法を用いて集約的農業・畜産地域、中山間地域、離 島地域についてバイオガスシステム、エネルギー作物栽培等のフィージビリティの検討を行った。3地域への低負荷型生活・生産システムの具体的な提案を行 い、その一般化を図った。
 

低環境負荷エネルギー用複合機能構造材料の開発

研究代表者(所属)
香山 晃(京都大学 エネルギー理工学研究所 教授)
概要
環境低負荷型エネルギーシステムの成立化技術として、超耐熱性・超耐環境性を有する複合機能構造材料及び 材料システムの研究開発を行った。研究開発の成果は、プロセス開発、ナノ構造制御による耐環境性附与、環境影響損傷過程の解明、機能化の原理実証、各種先 進評価技術の開発、実用機器における材料システム共存性評価等の多岐に亘るが、革新的なセラミックス複合材料のプロセス技術であるナノインフィルトレー ション遷移共晶相法の発明が最も傑出した成果であり、先進発電システムや高効率動力システム、環境調和型原子力システム等への応用が期待される。
 

途上国に適合する連鎖反応を利用した乾式脱硫プロセスの開発

研究代表者(所属)
定方 正毅(東京大学 大学院 工学系研究科 教授)
概要
連鎖反応は少量のラジカルを与えるだけで目的の反応を迅速に起こさせることが出来ます。本研究では年々深 刻化する途上国の酸性雨問題を解決するために途上国のニーズに適合する脱硫技術として連鎖反応を利用した省水型で有価な副生成物を生む低コスト乾式脱硫プ ロセスの開発を行いました。乾式で高い脱硫率が得られる副生成物自動分離型のプロセス(TTプロセス)を開発し、中国でパイロットプラントの運転を行いま した。得られた脱硫副産物を用い、土壌改良実証試験を中国瀋陽市で行い、米の生産量が30%増加することが確認されました。
 

セラピューティック煉瓦造住宅の住環境効果

研究代表者(所属)
松藤 泰典(九州大学 大学院 人間環境学研究院 教授)
概要
煉瓦造などモルタルを用いて組積する構造に対して、「異質の材料を接着しない」という構造原理を見出し、 乾式工法を可能にした。この構法による構造体は極めて高い耐震性と90%を超えるリユース率を有する。この構法による二重中空層を有する煉瓦造住宅で平均 気温とほぼ同じフラットな室温変化と空気循環式パッシブシステムの併用によって30%を超える省エネ性を実現した。セラピー性に関しては相対的に高い印象 評定を得た。
 

高温空気燃焼技術を用いた廃棄物・石炭高効率発電

研究代表者(所属)
吉川 邦夫(東京工業大学 大学院 総合理工学研究科 教授)
概要
石炭や廃棄物、バイオマスなどの、環境負荷の高いあらゆる固体燃料に適用可能な、高効率、低環境負荷かつ 低コストの小型ガス化発電システムの開発に成功した。本システムでは、酸素を使用せずに高い発熱量の燃料ガスを得るために、1000℃程度に予熱された高 温空気あるいは高温水蒸気で固体燃料をガス化し、生成ガス中の環境汚染物質(塩素、硫黄、煤塵、重金属等)を除去した後に、生成ガスを高温空気燃焼低 NOxボイラでの蒸気発生やエンジン発電機での発電に利用する。
 

平成8年度採択分

サンゴ礁によるCO2固定バイオリアクター構築技術の開発

研究代表者(所属)
茅根 創(東京大学 大学院 理学系研究科 助教授)
概要
地球温暖化による白化と海面上昇、海岸の急激な開発によって、サンゴ礁は今世紀中に壊滅する危機にあります。サンゴ礁は活発に地球規模の炭素循環に関わっていますが、その評価が定まっていませんでした。本研究では、サンゴ礁におけるCO2変化と生物群集代謝の測定システムを開発して通年連続観測に成功し、サンゴ礁の劣化が年間0.1ギガトン炭素の放出をもたらすことを明らかにしました。これに基づいて、サンゴ礁のCO2吸収を評価するとともに、CO2吸収メカニズムに基づいてサンゴ礁を活用したCO2固定を進めることをめざします。
 

地球環境保全のための国際的枠組みのあり方

研究代表者(所属)
佐和 隆光(京都大学 経済研究所 所長)
概要
1997年12月の京都会議(COP3)において採択された京都議定書は、2001年11月のマラカシュ 会議(COP7)を経て、2002年発効の目処が立った。この間、本研究プロジェクトは、京都議定書に定められた削減義務を達成するために有効な国際制度 である京都メカニズム(排出権取引、共同実施、クリーン開発メカニズム等)の制度設計と運用ルールの提案、及び費用対効果に優れた技術開発戦略の提案を行 なってきた。
 

新世代型低負荷環境保全技術による廃棄物のエネルギー化・再資源化

研究代表者(所属)
野池 達也(東北大学 大学院 工学研究科 教授)
概要
有機性廃棄物から水素ガスを回収する二相式水素発酵プロセスの構築に関する研究を行った結果、有機性廃棄 物からの嫌気性細菌による水素発酵及びその代謝産物からの混合光合成細菌による水素生成が可能であった。また、有機性廃棄物に生息する乳酸菌による水素発 酵阻害、その対応策としての低温熱処理の有効性、青色光の照射による光合成細菌による水素生成の促進、水素発酵残さの高温コンポストにおいて物質分解を促 進する分解酵素および重金属除去機能を有する細菌の遺伝子工学的手法による開発などの成果が得られた。
 

社会実験地での循環複合体のシステム構築と環境調和技術の開発

研究代表者(所属)
盛岡 通(大阪大学 大学院 工学研究科 教授)
概要
循環型社会にむけて先導する循環複合の社会実験地を構築する技術インベントリシステムを明らかにした上 で、循環複合体を計画して事業展開するための意思決定のガイドモデルを構築しました。産業製品と有機食品および都市構造物を指標製品として取りあげて具体 的な社会実験地での循環複合体の構築の技術分析と評価から研究を展開しています。循環構築の技術要素と経済手段、社会政策について、製品連鎖と空間代謝マ ネジメントの二つのアプローチの社会システムを設計するとともにその環境パフォーマンスの改善効果を計測しています。循環構築のガイドモデルは、臨海部や 都心部での、実際の循環形成事業への展開をはかっています。
 

微生物を活用する汚染土壌修復の基盤研究

研究代表者(所属)
矢木 修身(東京大学 大学院 工学系研究科 教授)
概要
大型の土壌・地下水ライシメータを作成した。川砂土壌を充填し、水飽和状態でトリクロロエチレンを汚染させた条件下で、トリクロロエチレン分解菌Methylocystis sp. M株を添加し浄化効果を調べた。0.2mg/Iのトリクロロエチレンは、5×107cells/ml のM株により12時間でほぼ完全に分解されること、メタンと酸素の添加により、M株のトリクロロエチレン分解活性が持続すること、さらにM株及びトリクロ ロエチレンの挙動特性を解析した。以上の結果から、汚染現場浄化へのM株の適用可能性が明らかとなった。
 

アイソトポマーの計測による環境物質の起源推定

研究代表者(所属)
吉田 尚弘(東京工業大学 大学院 総合理工学研究科 教授)
概要
起源を推定すべき環境物質として重要な地球温暖化ガスを選択した。地球温暖化ガスの一分子種に10種程度 存在するアイソトポマー(同位体分子種)のうち存在度の高い数種類のアイソトポマーの自然存在度計測法として、質量分析法とレーザー分光法による新たな計 測法を開発した。開発した計測法により地球温暖化ガスの観測を行い、各起源の分類を行った。模擬実験により得られた分別係数と地球規模の観測で得られた指 標を解析することにより起源推定の新しい評価方法を確立した。
 

質の利用を中心にすえた新しい都市水代謝システムの構築

研究代表者(所属)
渡辺 義公(北海道大学 大学院 工学研究科 教授)
概要
本研究プロジェクトでは、水資源の保全と用途に応じた水質の水の供給を可能にする都市水代謝システムの構 築を最終目標として、そのための要素技術の開発を行っている。得られた主な成果は、(1)膜分離を用いた新しい水処理システムの開発、(2)分子生物学的 手法による生物膜の構造・機能解析に基づく生物膜利用水処理装置の効率化、(3)下水処理汚泥中のリンを肥料としてリサイクル利用の効率化のための植物根 分泌機能性酵素の機能解析、(4)水処理用新素材(吸着剤、触媒)の開発、(5)高感度農薬同時一斉分析装置の開発、である。
 

平成7年度採択分

東アジアにおける酸性物質及びオゾンの生成と沈着に関する観測と環境影響評価

研究代表者(所属)
秋元 肇(地球フロンティア研究システム地球変動研究所 領域長)
概要
東アジアにおけるオゾン及び酸性物質の空間的・時間的変動のメカニズムが明かとなった。大陸からの地域的 汚染気塊の長距離輸送により、わが国に流入する大気中オゾン濃度はしばしば環境基準値(60 ppbv)を越え、わが国のルーラル地点のオゾン濃度は森林植生に悪影響を与える臨界レベルを2-3倍越えていることが分かった。また、HOxラジカルを 初めとするいくつかの大気微量成分の高感度・高精度測定機器の開発に成功し、それらを用いた野外観測から、海洋境界層中の光化学反応メカニズムを明らかに することが出来た。
 

自立都市をめざした都市代謝システムの開発

研究代表者(所属)
柏木 孝夫(東京農工大学 大学院 工学研究科 教授)
概要
本研究では環境低負荷型の都市システムの形成に資する要素技術開発および都市シミュレータの開発を行っ た。都市シミュレータはGISデータに基づきエネルギー、廃棄物、水供給処理、雨水流出、交通計画、大気拡散、熱環境、公園アクセス、緑地連続性、都市イ ンフラLCAのサブモデルから構成されている。各種の政策に対しCO2、NOx等の環境負荷を計算でき、くり返し政策を修正することにより環境低負荷に向けた都市計画を支援できる。
 

都市ヒートアイランドの計測制御システム

研究代表者(所属)
久保 幸夫(元 慶應義塾大学 教授)
概要
都市の熱環境、特にヒートアイランドの計測と制御に関するシステムの開発を試みた。まず、ヒートアイラン ドの実態を解明するために、東京首都圏に多数の温湿度計を設置し、気温と湿度の詳細な時空間構造を明らかにした。また、上海とバンコクにおいても気象観測 を実施して、東京との比較を行った。次に、メソスケール及び街区スケールの数値シミュレーションを行って、ヒートアイランドの緩和効果を定量的に評価し た。
 

CO2倍増時の生態系のFACE実験とモデリング

研究代表者(所属)
小林 和彦(農業環境技術研究所 室長)
概要
岩手県雫石町の水田で、空気中のCO2濃度を実験的に約200 ppm高めて、イネの生長と生態系の変化を調べた結果、高CO2濃度ではイネの穂の数が増えて、収量が約15%増えることがわかった。なお、高CO2濃度による収量増加は窒素の吸収と密接に関連しており、通常の半分の窒素肥料では、収量はほとんど増えなかった。高CO2濃度ではこの他にも、土壌微生物量が増え、水田からのメタンの放出が増えるといった変化が見られた。
 

森林衰退に係わる大気汚染物質の計測、動態、制御

研究代表者(所属)
佐久川 弘(広島大学 総合科学部 教授)
概要

近年森林の衰退が顕著に見られる丹沢・大山(モミ)、乗鞍岳(亜高山樹木)、瀬戸内沿岸(アカマツ)、屋 久島(ヤクタネゴヨウ)における衰退と大気汚染との因果関係を調査した。その結果、丹沢においては酸性霧、瀬戸内沿岸では酸性露による衰退が確認された。 乗鞍岳および屋久島においては大陸および国内起原の長距離輸送物質による被害の可能性が指摘された。

 

環境低負荷型の高分子物質生産システムの開発

研究代表者(所属)
土肥 義治(理化学研究所 主任研究員)
概要
優れた物性と生分解性をもつバイオプラスチックを生産する3種の微生物のポリエステル生合成系酵素遺伝子 を取得し機能を解析した。それらの遺伝子組換え微生物を用いて、安価な植物油や糖から、フィルムや繊維への成形に適した高性能ポリエステルを高効率で生合 成するプロセスを開発した。さらに、バイオプラスチックの生分解速度を制御する新しい技術を確立した。
 

環境影響と効用の比較評価に基づいた化学物質の管理原則

研究代表者(所属)
中西 準子(横浜国立大学 環境科学研究センター 教授)
概要
化学物質を有効に使うことは人類の発展に必須の課題である。そのためには、リスクとベネフィットのバラン スをとる必要がある。本プロジェクトでは、そのために化学物質のリスク評価手法を開発した。LLE(損失余命)という共通の尺度で異種のリスクを評価する 手法を開発した。致死的でない病気についても、病気の苦しみから生ずるLLEを用いてリスク評価手法を開発した。生態リスクについては、生息地消失換算リ スクというかたちで表現した。化学物質のリスク削減を含む、100に近い政策や行為に対して、リスク削減対策のリスクベネフィット解析を行い、B/R比 (ベネフィット/リスク比)のレベルを示した。
 

微生物の機能強化による水環境修復技術の確立

研究代表者(所属)
前川 孝昭(筑波大学 農林工学系 教授)
概要
本研究の大きな目的は栄養塩を担体に抱括固定化させることによって微生物へ微量金属や栄養塩を担体表面か ら除放させ、微生物の増殖を促進させた。さらに常磁性体を混合させることで、固定床型バイオリアクターの特徴を改善した。また、この担体を河川床に設置 し、硝化と脱窒を行なわせ、これに植物体(ホテアオイ)を用いてリンとアンモニア態窒素の吸収を行なうことで高い除去能力を併用させた。中国雲南昆明市冨 栄養化湖の改善の国際共同実験を行ない効果的な成果を収めた。また、嫌気性メタン発酵にも応用し、北海道別海町研修牧場において40m3のメタン発酵槽で40頭分の乳牛糞尿廃水を処理し、2年間の連続運転に成功している。

 

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