[代謝] 代謝調節機構解析に基づく細胞機能制御基盤技術

研究領域HP

戦略目標

代謝調節機構解析に基づく細胞機能制御に関する基盤技術の創出」(PDF:20KB)

研究総括

西島 正弘 (日本薬学会 会頭/昭和薬科大学 学長)

概要

 本研究領域は、細胞内の代謝変化を統合的あるいは網羅的に解析し、細胞の恒常性維持のメカニズムを解明することにより、細胞機能の向上・改変・付与や恒常性の乱れを回復するための、細胞を制御する基盤的な新技術の創出を目指す研究を対象とします。

具体的には、代謝産物群のパターンによる外部刺激に応じた正常細胞の細胞内状態の変化や病態、発生過程等における細胞状態の評価・分類、既存あるいは個 別測定データに基づく細胞モデリングと機能変化予測、それらの研究に基づく代謝経路を特異的に制御する化合物の予測と制御物質設計に関する研究、およびこ れらの研究に基づいた新機能を付与した細胞の作製技術などが含まれます。

平成19年度採択分

鉄および鉄補欠分子族の動態調節とその破綻による病態の解明

研究代表者(所属)
岩井 一宏 (京都大学大学院医学研究科 教授)
概要
鉄は必須の栄養素であると同時に毒性を持っているため、その動態異常は種々の病態と関わっています。鉄は 多くの場合ヘムなどの鉄補欠分子族の形で働きます。これまで、細胞が鉄補欠分子族を介して鉄代謝を調節することや鉄と病態に関する新しい知見が見出されて きましたが、本研究ではメタボローム解析などの手法を用いて、鉄代謝異常が関与する疾患の新規治療法の基礎や疲労の科学的評価法を開発します。

糖代謝恒常性を維持する細胞機能の制御機構

研究代表者(所属)
清野 進 (神戸大学大学院 医学系研究科 教授)
概要
糖代謝は生命維持に不可欠な生体反応であり、膵臓ランゲルハンス島(膵島)は糖代謝の恒常性を維持する最 も重要な器官ですが、その働きが低下すると糖尿病が引き起こされます。本研究では、糖尿病などの糖代謝異常の原因究明だけでなく新たな診断法や治療法の開 発に貢献することを目指し、膵島の包括的なメタボローム解析から、膵島機能がどのように制御されているかを明らかにします。

植物アミノ酸代謝のオミクス統合解析による解明

研究代表者(所属)
平井 優美 ((独)理化学研究所 植物科学研究センター チームリーダー)
概要
近年の急速な技術進歩により可能となりつつある網羅的メタボローム解析は、代謝制御機構の解明に必須とな る膨大な情報が得られますが、そのデータから体系的な生物学的知見を獲得するための方法論は未確立です。本研究では、シロイヌナズナ遺伝子破壊株ライブラ リーについて包括的にメタボローム解析を行い、同時に取得する転写産物プロファイルなどのデータをパラメータに用いた新規数理モデルを構築し、植物のアミ ノ酸代謝制御を予測・検証します。

個体における細胞ストレス応答代謝産物の遺伝生化学的解明

研究代表者(所属)
三浦 正幸 (東京大学大学院 薬学系研究科 教授)
概要
人間の体は個体発生から成長・老化過程まで栄養飢餓、感染や傷害といった様々なストレスにさらされていま す。本研究は、カスパーゼの活性化をストレス応答の中心に据え、その生体反応を指標にすることによって、細胞がストレスによって放出する代謝産物の実態と、カスパーゼ活性化細胞が産生する代謝産物を遺伝生化学的に解明し、生体における細胞ストレス応答・恒常性の維持機構をこれまでにない視点から解明します。

平成18年度採択分

生体膜リン脂質多様性の構築機構の解明と高度不飽和脂肪酸要求性蛋白質の同定

研究代表者(所属)
新井 洋由 (東京大学大学院 薬学系研究科 教授)
概要
本研究においては、主に線虫を材料として用い、遺伝学、生化学、およびマススペクトロメーターを駆使しながら、1)リン脂質分子種多様性形成に関わる分子群の同定、2)高度不飽和脂肪酸を含むリン脂質を要求する分子群の網羅的同定、3)高度不飽和脂肪酸を含む新規生理活性脂質の同定の3点に焦点をしぼり、生体膜機能の本質的問題を解決します。

RNA代謝解析のための質量分析プラットフォームの開発

研究代表者(所属)
礒辺 俊明 (首都大学東京 大学院 理工学研究科 教授)
概要
近年、低分子のRNA代謝物とタンパク質の複合体が生体内で重要な働きをしている事が明らかにされていま す。本研究では、最新の質量分析法を駆使した包括的なRNA解析のプラットフォームを開発し、生体内に存在する低分子RNAの実態を明らかにするとともに、RNA/たんぱく質複合体の解析技術を確立することで、プロテオミクスと低分子RNA研究が融合した細胞機能ネットワーク解析の基盤作りを目指しま す。

代謝応答を統御する新たな分子機構の研究

研究代表者(所属)
鍋島 陽一 ((財)先端医療振興財団 先端医療センター センター長)
概要
脂質、糖質、アミノ酸などの摂取、体内での代謝、代謝物質による特異的シグナル分子の制御などを統合することによって動物個体のエネルギー代謝が制御されています。我々が同定したβ-Klothoはこのエネルギー代謝を制御する重要な制御因子であると推定さ れ、本プロジェクトではβ-Klothoの機能とその作用機能の解明を基盤としてエネルギー代謝の全体像の理解を目指します。同時にエネルギー代謝は肥満、加齢、メタボリックシンドロームなどと深く関わっており、得られた成果を医学的応用へと発展させます。

オルガネラ- ホメオスタシスと代謝調節・高次細胞機能制御

研究代表者(所属)
藤木 幸夫 (九州大学大学院 理学研究院 教授)
概要
脂質など様々な重要な代謝を担い神経疾患や有用物質生産とも関係の深いペルオキシソームというオルガネラ を対象に、そのホメオスタシス(形成と分解)の分子制御と、その破綻により起こる代謝障害を、代謝が支配している分子ネットワークの動態解析により解明 し、神経疾患の治療薬や診断法・蛋白質・食料生産のための新しい基盤技術を確立します。

液胞膜エンジニアリングによる植物代謝システム制御

研究代表者(所属)
三村 徹郎 (神戸大学大学院理学研究科 教授)
概要
液胞は、植物細胞の大半を占めるオルガネラであり、細胞内環境のホメオスタシス、代謝活性の維持に必須である。液胞膜に存在する機能未知タンパク質の形質転換細胞について、液胞と細胞質に含まれる代謝産物の網羅的解析を行うことで、その機能同定を行うとともに、液胞膜輸送機能の変換で、細胞質の代謝機能を制御する可能性を探ります。液胞膜輸送機能の改変は、植物液胞に貯まることが知られている有用物質の生産制御に大きな新しい可能性を開くものと期待します。

平成17年度採択分

定量的メタボロミクスとプロテオミクスの融合

研究代表者(所属)
小田 吉哉 (エーザイ(株)バイオマーカー&パーソナライズドメディスン機能ユニット プレジデント)
概要
メタボローム解析において精度の高い網羅的定量法を開発するとともに、測定システムのナノ化や特定代謝物群の特異的精製によって微量代謝物成分の測定を可能にしました。そして質量分析装置に依存しない普遍的な解析ソフトを開発し無料で提供しました。さらにMass Bank (JST-BIRD) と連携してメタボローム・データベースの充実に貢献しました。またアルツハイマー病診断マーカーの特許申請を行いました。その一部についてはプロテオーム情報と融合させることができました。

脂質メタボロームのための基盤技術の構築とその適用

研究代表者(所属)
田口 良 (中部大学 生命健康科学部 教授)
概要
本研究プロジェクトで、脂質関連代謝分子の生体内変化について、網羅的・包括的に質量分析データを取得して解析する基盤技術を構築することが出来ました。また、解析手法の活用により、未知の酸化脂質代謝産物等を発見し、これらの脂質酸化が各種生活慣習病と深く関わる事を明らかにしました。脂質メタボローム解析は、脂質の生理機能の解明ばかりでなく、創薬や機能性食品等の開発に重要な研究手法であることを証明することが出来ました。

代謝解析による幹細胞制御機構の解明

研究代表者(所属)
平尾 敦 (金沢大学 がん研究所 教授)
概要
生体の幹細胞は、それぞれの組織のもとになる細胞です。個体の一生に渡って細胞を供給し続ける能力を持つ幹細胞の機能制御は、組織再生、老化およびがん化と密接に関係しています。本研究では、細胞内の代謝機構を網羅的に解析することにより幹細胞の動態を理解し、幹細胞の破綻が引き起こす病態の解明に取り組みました。その結果、がん治療における重要な標的であるがん幹細胞の動態解明に成功し、疾病の予防・治療に貢献できる成果を上げました。

栄養シグナルによる植物代謝制御の分子基盤

研究代表者(所属)
柳澤 修一 (東京大学大学院 農学生命科学研究科 准教授)
概要
植物栄養は物質生合成のための基質であるだけでなく情報伝達物質として遺伝子発現や代謝制御に深く関わっています。生体外から取り込まれた植物栄養とその代謝物は植物生長や物質生産制御のための複雑な制御ネットワークと密接に結びついています。栄養情報伝達システムと栄養シグナルによる代謝調節を包括的に解析することにより、植物が持つ物質生産の制御のための巧妙な仕組みが明らかとなり、物質生産制御の新たな方法論が開発されました。

染色体分配メタボリズムを支える分子ネットワークの解析

研究代表者(所属)
柳田 充弘 (京都大学大学院 生命科学研究科 特任教授)
概要
染色体の数(ヒトでは46 本)がいかにして一定性を保つのか、染色体数恒常性維持の分子ネットワークの細胞機能を解明しました。染色体の継承に、進化的に保存されたタンパク質と低分子から成るメタボリックな制御ネットワークが必須であり、これを多彩な統合技術で解明しました。得られた情報、解析基盤技術は、どの生物にも応用可能で、知的資産として価値が高く、また染色体病や細胞癌化の原因解明にむけて有効な情報を生み出す事が期待されます。

タンパク質修飾の動態とネットワークの網羅的解析

研究代表者(所属)
吉田 稔 ((独)理化学研究所 基幹研究所 主任研究員)
概要
生体内のタンパク質はさまざまな翻訳後修飾を受け、それらが動的なネットワークを形成し、環境適応と恒常性維持に関与します。特にアセチル化やメチル化は代謝活性と連動しますが、その全体像は不明です。本研究ではクローン化した分裂酵母全遺伝子産物の翻訳後修飾を網羅的に解析し、その中で明らかになった重要な代謝関連因子のヒトホモログについて修飾と機能の制御機構の解明を目指しました。その結果、代謝酵素や翻訳因子など多くのタンパク質がアセチル化によって制御されていることが明らかになりました。また、代謝を制御する阻害剤の探索法を確立しました。

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