生命現象の解明と応用に資する新しい計測・分析基盤技術

戦略目標

「新たな手法の開発等を通じた先端的な計測・分析機器の実現に向けた基盤技術の創出」(PDF:23KB)

研究総括

柳田 敏雄(大阪大学大学院 生命機能研究科 特任教授)

概要

 本研究領域は、生命系科学技術の発展の原動力である未解明の生命現象の解析に資する新たな計測・分析に関する基盤的な技術の創出を目指す研究を対象とするものです。

具体的には、生命現象を司る生体分子の作用機構の本質に迫る解析技術や、生体または細胞中での生体分子のその場観察技術、単一細胞レベルでの分析技術、 個体から生態系にわたる多様なスケールでの新規な計測・観測技術などを対象とします。また、環境試料中に含まれる極微量物質が生体に与える影響を計測・分 析するための新規な技術も対象とします。

さらに、既存の基本原理に基づく技術であっても、計測・分析の速度、感度、精度を飛躍的に向上させる技術あるいはその限界に挑む技術等、新原理の探索や新現象の発見と解明に資する研究や生命系科学技術にブレークスルーをもたらすことが期待できる研究を含みます。

平成18年度採択分

高精度1分子内動画計測から見える生体分子構造認識プロセス

研究代表者(所属)
佐々木 裕次 (東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授)
概要
生体高分子が機能発現に伴い分子内部で構造変化する様子や新たな動的構造特性に変化する様子を原子レベル以下の精度でマイクロ秒1分子動態計測する技術は究極的手法と言えます。本研究ではX線1分子追跡法をマイクロ秒へ高速化し、ラボサイズ装置の電子線1分子追跡装置を開発します。走査型X線放射圧顕微鏡の開発も進め、極めて微細な分子構造認識の差がその後の生命反応の鍵を握る免疫系や生体膜系の高速1分子計測を行います。

カーボンナノチューブを用いた単一生体分子ダイナミクスの計測

研究代表者(所属)
中山 喜萬 (大阪大学 大学院工学研究科機械工学専攻 教授)
概要
生体反応は、分子の構造変化や相互作用、エネルギー移動を伴って進行します。これを分子レベルで解明するために、本研究はカーボンナノチューブの優れた電気機械的性質を利用して変位と熱流の検知デバイスを開発し、数ミリ秒の時間分解能でゼプトグラム精度の質量とpN精度の2次元力、10-19J精度の熱量を計測する技術を構築します。この基盤技術は、将来の超高感度センサやナノマシンの開発、ナノ医療への発展が期待されます。

ns-nm分解能の光子・電子ハイブリッド顕微鏡の開発

研究代表者(所属)
永山 國昭 (自然科学研究機構 岡崎統合バイオサイエンスセンター 教授)
概要
生物試料を観る電子顕微鏡技術は最近まで重金属染色が必須でしたが、急速凍結技術と位相差法の融合で最近無染色の凍結試料の電顕像が高コントラストで撮れるようになりました。本研究はこれを更に一歩すすめ常温常圧の生きた試料をそのまま電顕で観察する方法を開発するために、パルス光電子銃、雰囲気 試料室および位相差法の3つの要素技術の融合を目指します。

in vivo ナノイメージング技術の開発と生体運動機構の解明

研究代表者(所属)
樋口 秀男 (東京大学 大学院理学系研究科 教授)
概要
動物個体の機能を分子レベルで理解するために、マウスin vivo(個体内)の分子挙動をナノイメージングする装置を開発し、in vivoにおける生体運動の機構を解明します。そのために、複数の同色あるいは異色の量子ドットからなる粒子を合成し、この粒子に特定の分子を結合してマウス組織内に導入し、新規開発のin vivoイメージング装置にて分子の運動を観察し、生体運動の分子機構を統合的に解明します。

細胞内標識による生物分子トモグラフィー

研究代表者(所属)
宮澤 淳夫 (兵庫県立大学 大学院生命理学研究科 教授)
概要
本研究は、電子顕微鏡で観察できる分子標識を用いて、電子線トモグラフィーによる細胞内分子複合体の構造解析を目指しています。そのために、標識となる金属クラスターを標的タンパク質に遺伝的に形成させる方法の開発と、電子線トモグラフィーを生物試料に適用するための計測システムやソフトウェアの開発を行います。そして、細胞内に存在する分子複合体の立体構造と空間配置を解明することにより、生命機能の総合的理解を深めます。

平成17年度採択分

ハイブリッド局在SPRを用いた生体分子の環境応答性計測

研究代表者(所属)
青山 茂 (オムロン株式会社技術本部 参与)
概要
生体分子相互作用を非侵襲、実時間で観察する手法を目指し、ナノメートルオーダーサイズの独自構造を表面プラズモン共鳴センサ表面に設けることにより、金属と光の相互作用をナノメートルで自在にコントロールし、センサーとして応用した。これにより、従来困難であった高感度、小型、簡便な実時間センシングが可能となった。実用化を目指し、臨床検査技術の向上に貢献するものである。

生体分子の動的可視化プローブの開発と応用

研究代表者(所属)
長野 哲雄 (東京大学大学院 薬学系研究科 教授)
概要
本研究は蛍光発光の原理に基づいて、論理的に生理活性種、酵素および受容体などの生体分子を特異的に高感度で可視化する機能性蛍光プローブを開発することを目的とします。生細胞、生体組織あるいはin vivo系で生体分子の活性や濃度を時空間的にダイナミックに捉えることができれば、未解明の生命現象を解析する上で強力な基盤技術となります。蛍光の発光原理の解明から蛍光プローブの開発、応用および実用化までを目指しており、計測・分析に全く新しい世界を切り拓きます。

多目的RNAナノセンサー・モジュレーターの開発

研究代表者(所属)
中村 義一 (東京大学 医科学研究所 教授)
概要
RNA 研究は近年飛躍的に進展し、RNAの新機能や機能性マテリアルとして豊かな未来が期待されています。本研究では、RNAの人工進化技術を利用して、各種の標的分子に対する高親和性RNAを創成し、それらを用いた新しい計測技術(RNAセンサー)、細胞内外の生理活性因子の調節ディバイス(RNAモジュレーター)、RNA可視化システム、新機能性RNA創成のための新技術の開発を行います。これらの研究によって、RNAを利用する計測・分析基盤技術を確立します。

タンパク質完全結晶創成

研究代表者(所属)
森 勇介 (大阪大学大学院 工学研究科 教授)
概要
ポストゲノム時代で重要となるタンパク質構造解析においてはタンパク質の高品質結晶化技術が不可欠です。本研究では、フェムト秒レーザーを用いた結晶核発生、及び溶液攪拌による大型高品質化という、新しい原理の結晶化技術を高度化し、タンパク質完全結晶創成システムの実現を目指します。これにより、従来困難であったタンパク質の活性中心にある水分子や水素の位置の同定がX線構造解析や中性子線回折法で可能になります。

次世代無侵襲・定量的脳機能イメージング法の開発

研究代表者(所属)
吉岡 芳親 (大阪大学免疫学フロンティア研究センター 特任教授)
概要
本研究では、磁気共鳴法(MRS,fMRI)、近赤外分光法、脳磁波計測法や各種生理機能計測法の駆使と新規解析法の導入により、高精度の新規脳活動計測法や脳内深部温度計測法の開発を目指します。この技術開発によって、従来のfMRI等の脳活動計測法では困難であった脳活動の絶対評価や安静時の脳活動レベルの評価が可能となり、脳機能の解明や病態解析にブレークスルーをもたらすことが期待できます。

平成16年度採択分

タンパク質のナノダイナミクス高速撮影装置の開発

研究代表者(所属)
安藤 敏夫 (金沢大学大学院理工研究域数物科学系 教授)
概要
原子間力顕微鏡に含まれるすべてのデバイスを最適化して、機能中の生きたタンパク質分子そのものを、その生理機能を乱さずに、ナノ解像度で、且つリアルタイムに動画観察できる生命科学待望の「ナノダイナミクス高速撮影装置」を世界で唯一完成した。モータータンパク質であるミオシンなど多くのたんぱく質の振る舞いを映像としてとらえることに成功し、装置の有効性を実証するとともに、タンパク質の機能解明に迫った。

光駆動ナノマシンを用いた新原理バイオ計測ツールの研究

研究代表者(所属)
生田 幸士 (名古屋大学大学院 工学研究科 教授)
概要
独自の概念、手法のもとに開発してきた「光駆動マイクロナノマシン」技術を基盤とした「細胞生物学研究用のナノマニピュレータ」と、やはり独自に研究を進めてきた「バイオ化学ICチップ」の実現をほぼ達成した。また進捗課程で、当初想定していなかったバイオ用、再生医療用の新原理、新概念マイクロナノデバイス群の開発にも成功し、未知のバイオ計測、医療応用へ道を拓いた。

磁気共鳴法による生体内分子動態の非侵襲計測

研究代表者(所属)
白川 昌宏 (京都大学大学院 工学研究科 教授)
概要
磁気共鳴の特性を生かし、その多様な技法を駆使して、各磁気共鳴イメージング、多重共鳴NMR、磁気共鳴力顕微鏡や多重電子共鳴法など、生体内・細胞内の蛋白室の機能・局在・立体構造を観察する新しい手法を開発した。細胞内で蛋白質立体構造、その安定性や相互作用を決定し、これまで信じられてきた細胞中の蛋白質の概念を覆すなど、インパクトある成果をあげることができた。

蛋白質の折り畳み運動解明を目指した一分子観測法の確立

研究代表者(所属)
高橋 聡 (東北大学 多元物質科学研究所 教授)
概要
蛋白質の折り畳み運動の一分子レベルでの観察を目指し、1)新しい一分子観察技術の開発、2)一分子実験の時系列データ解析手法、3)蛋白質の水和環境を解析する手法を開発した。そして4)開発した手法を熱安定性の異なる一連の蛋白質に応用し、蛋白質1分子を長時間観察することに成功するなど、蛋白質ダイナミクス研究の技術的、学問的基盤へ大きな貢献をした。

 

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