目的

目的

人間は全ての対象との関わりにおいて擬人化をする.この人間の本質をもとに,人間と関わるコミュニケーション機械の原理を,工学的,科学的双方のアプローチから取り組む.この研究枠組みを,アンドロイドサイエンスと呼ぶ.この研究では,知能の評価を常に,人間との相互作用,広くは人間社会におけるロボットに対する影響に求めた研究を行う.すなわち開発したロボットは常に社会という基準に置いて評価され,社会の中でより複雑な関係を築くことで,そのメカニズムを発達させていく.

(a) 人が社会参加するメカニズムを,段階的に発達する社会発達ヒューマノイドを用いて解明するために,社会発達ヒューマノイドにその機能を実装し実証する.この実現のために,幼児アンドロイドの開発を進める.

(b)開発された社会発達ヒューマノイドを用いた被験者実験によって,社会発達ヒューマノイドの社会関係構築能力の達成レベルを確認する.乳児社会発達ヒューマノイドを用いて随伴性モデルの構築とコミュニケーションメカニズムを実証実験する.特に,ロボットを用いた言語共有による社会参加メカニズムの実証実験や,社会的タスク実行における共同注意と社会関係構築メカニズムの実証実験等に取り組む.対人的共創知能におけるアプローチに加えて,パフォーマンスメジャーを被験者の反応(印象や無意識の反応動作)に求める.このための各種計測装置を準備する.

(c)社会性を持つに至った社会発達ヒューマノイドを通して,人間の社会的行動の基本メカニズムに対する仮説を導き,人間理解につなげる.

また,本テーマではマルチエージェントによる社会形成(協調,競合,動的役割分担などを通じた社会形成)のシミュレーションを通じて社会発達モデルを検証する.

(ⅰ)チーム形成による協調及び競合行動の学習・発達を通じて,チームとしての行動パターンの発生とその変化を実際のヒューマノイドロボットを用いて実験・解析する.

(ⅱ)多数の集団による社会形成パターンをコンピュータシミュレーションによって解析する.

(ⅲ)2つの実験を通じて,集団としての知能発生メカニズムのモデルを提案し,複数エージェントの相互作用による社会形成過程の発達メカニズムを明らかにする.