RoSに基づく足首弾性を利用した適応的歩行の実現

RoSに基づく足首弾性を利用した適応的歩行の実現

Pneumat-BTは,受動歩行に関する知見を利用するために,受動歩行機械と同じく円弧足を持っていた.本グループでは,単一ではなく複数のロコモーションを実現できるヒューマノイドの実現が目的だが,ロボットが円弧足を持つ場合,単に立っていることができない.複数のモード実現のためには,足首の弾性が重要な役割を果たしているという知見もあり,本研究では,円弧足に替えて平面足をロボットに装備し,足首に適当な弾性を持たせることによって,安定な歩行の実現を目指した.

この場合,足首の弾性の決定法が問題となる.本研究では,そのためにRoSという指標を導入した.RoSは足首に固定された座標系から見たCoP(圧力中心)の軌跡であり,ヒトが安定な歩行を実現しているとき,その軌跡が円弧になり,さまざまな外乱に対してこの軌跡が維持されることが歩行適応性に寄与しているという生体力学的な知見がある.本研究では,シミュレーションによって足首弾性とRoSの軌跡を比較し,その結果からどのような弾性を足首に実現すればよいかの知見を得た.実験的にもPneumat-BTの足裏を平面としてその足首弾性を変化させ,RoSの変化とそのときの歩行安定性について考察を行った.これらの成果は[津川2008][narioka2009]で公表されている.