発達マップ

発達マップ

前節で示した発達の多様相を踏まえた発達マップを構想する。構成的手法の基盤をなす「身体性」 の考え、とくに相互作用による情報の構造化を発達的視点から考えると、初期は主に身体や環境の物理的拘束が寄与し、末梢系が働く。情報の構造化が進むことデ、環境の拘束は物理的なものから養育者や他者に内在する社会性が明に暗に学習者に働きかけられ、そのことかが学習者の社会的行動や情報の構造化を促すと考えられる。前者では主に脳科学/神経科学 (内部メカニズム) 、後者では主に認知科学/発達心理 (行動観察) が関係する。本来、認知発達としてシームレスであるが、理 解の対象の表象レベルに大きなギャップがある。認知発達ロボティクスは、その溝を埋めるだけでなく、新たな分野の創出を狙う。以下では,まず発達モデルの大まかな流れを示し、そののち認知発達ロボティクスのアプローチを紹介する。

ヒトの脳脊髄系の概要と大まかな機能構成は、進化を反映した階層構造となっており、脊髄、脳幹、間脳、小脳、大脳辺縁系、大脳基底核、大脳新皮質からなる。浅田,國吉ら [24] は、これらが 行動のための知能の各階層に対応するとしている。ここでは非常にラフな提案として、この構造が個体としての時間的発展 (発達) にも適用可能と考える。図1 の中央に、これに対応する機能的流れとしての射 (reflex)、感覚運動 (Sensorimotor mapping)、知覚 (perception)、随意運動 (voluntary motions)、高次認知 (higher cognition) を示している。


図 1: 認知発達モデル (文献 [23] の図 3 を改編)