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「独創的シーズ展開事業 独創モデル化」
平成19年度採択課題 事後評価報告書

平成21年1月
独立行政法人科学技術振興機構

6.評価対象課題の個別評価

複雑ネットワークによる創発型ビヘイビアマイニングエンジンの開発

企業名 イノベーションキッチン株式会社
研究者(研究機関名) 吉井 伸一郎(元北海道大学大学院情報科学研究科 助教授) 他

1)独創モデル化の概要及び成果

 インターネットが急速に我々の日常に浸透した現在、膨大な情報の中から所望の情報を取り出すための新たな情報技術が求められている。検索エンジンは、対象となる情報の関連性を解析し取捨選択する技術として重要な役割を果たしている。ユーザの行動履歴に注目し、行動履歴の関連性から適切な情報を推奨する技術が開発された。当技術は、近年世界的に注目を集める複雑ネットワーク理論を駆使し、多種多様なユーザが織り成す複雑な事象の中から、同類の嗜好を持つコミュニティを緩やかに発見し、その中から有益な関連情報を自動推奨することを特徴とする。さらに、当技術は、推奨情報に対するユーザの行動結果をフィードバックとして、推奨精度の向上を図ることができる。モデル化では、当技術を情報システムとして実装し、実事業者へサービス提供することにより性能の検証を行った。その結果、既存の情報システムを凌駕するユーザエクスペリエンスを実現されたことを実際のクリック率から確認し、その有効性を実証することができた。

2)事後評価

(ア)モデル化目標の達成度
ネットワーク社会における検索ユーザの行動履歴から、関連情報を自動的に推薦する創発型ビヘイビアマイニング機能を開発している。適用環境での有効性をクリック率によって評価し、事業化の緒に付いている。

(イ)知的財産権等の発生
独創モデル化の過程では、特許出願の発生はない。

(ウ)企業化開発の可能性
開発した機能を既存の検索エンジンに統合し自動推薦能力を強化する方法で、企業化を行っている。事後評価報告の場では、商品名「デクワス」の営業活動内容が報告された。

(エ)新産業及び新事業創出の期待度
一般的には、効率的なWeb利用環境に向けた自動推薦機能への期待は大きい。当該商品が、その本命として生きながらえるか否かは不明である。

3)評価のまとめ

 独創モデル化事業によって開発されたソフトウェアが商品化され、既に販売実績を有するという意味では、高く評価される。


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