(D) ユニバーサルスマートパワーモジュール(USPM)

サブプログラムディレクター(SPD)

高橋 良和
東北大学 国際集積エレクトロニクス研究開発センター 教授

研究項目内容

再生可能エネルギー等の不規則な変動電源にも常に高効率の対応が可能な低コストで高い機能性、汎用性に富むUSPMの実現のため、①ワイドバンドギャップ(WBG)系半導体向け高速デジタルコントローラーの開発、②高パワー密度、高温動作コアモジュールの開発、③炭化ケイ素(SiC)並みの低損失をシリコン(Si)程度のコストで実現するWBG系MOSFET(電界効果トランジスタの一種)の開発を実施。

目標/出口戦略

産学官の連携で、社会実装の出口を見据えて、民間事業者と大学が連携してコンソーシアム型の研究開発体制を構築し、事業終了後には、民間事業社が中心となって再生可能エネルギー、産業機械やEV、家電製品等の分野での迅速な実用化につなげる。

脱炭素社会におけるエネルギーシステムのグランドデザイン

D-① WEB系半導体向け高速デジタルコントローラーの開発

パワーエレクトロニクス機器の設計技術のノウハウを持たないメーカーでも容易に市場に参入でき、省エネルギー化、再生可能エネルギー利用導入を急速に拡大することを目的とし、誰もが使いやすい「ユニバーサルスマートパワーモジュール(USPM)」による新しい電力変換器のシステム構成を提案し、新しい価値を創造する。パワーエレクトロニクス分野における集積化(IC)化による変革を目指し、以下の4つの技術開発を行う。
1)ノイズフリーEMCフィルター
2)デジタルアクティブゲートドライバー
3)瞬時デジタル駆動制御用コントローラー
4)マスターコントローラーによる各USPMの制御技術とその応用


現在の電力変換器と提案するUSPMを用いた電力変換システムの違い

D-② 高パワー密度、高温動作可能なWBGチップ搭載パワーモジュール

再生可能エネルギーなどの不規則な変動電源にも常に高効率の対応が可能で、新WBGチップの優れた特性を極限まで発揮でき、低コストで高い機能性、汎用性に富む高機能パワーモジュール(USPM)開発が必要となる。このため以下の4項目を開発する。
1)微細配線・立体配線実装技術の開発
2)熱抵抗低減および高放熱冷却技術の開発
3)ゲートドライブユニット、デジタルコントローラーとの親和性技術の開発
4)ユニバーサル性を確保したアプリケーション側との最適配線技術開発

D-③コランダム構造酸化ガリウムを用いたパワーMOSFETの開発

バンドギャップ値が5.3eVであるコランダム構造酸化ガリウムα-Ga2O3を用いて耐圧600V以上のパワーMOSFETを開発する。安価なサファイア基板やミストCVD法を用いることでSiC並みの低損失がSi並みのコストで実現できる。