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分科会グループB:テーマ【意識改革】

座長 : 有賀 早苗(北海道大学教授)

参加機関

北海道大学、佐賀大学、室蘭工業大学、慶應義塾大学、国立高等専門学校機構、京都府立大学、三重大学、静岡大学、宇都宮大学、東京医科大学、名古屋市立大学、名古屋工業大学、大阪府立大学、横浜国立大学、上智大学、電気通信大学、情報・システム機構、滋賀医科大学、鳥取大学、山口大学、杏林大学、筑波大学

シンポジウム分科会発表
  • 男性の意識としては、男女共同参画やワーク・ライフ・バランスというのは女性の問題であり、男性には関係がないという意識が感じられ、男女共同参画自体が女性教職員の役割であるというようなことが多くの大学で見られる。
  • 固定的な性別役割分担意識、男女共同参画活動というのは女性がやればいいのだろうというようなことが顕在化しているので、男女共同参画推進には男性の意識改革が必須であるということへの認識、これをぜひ改革しなくてはいけないこと、男女共同参画推進が女性のためだけではなく、男性にもメリットがあるのだということへの気づきの必要性があるという意見があった。
  • 女性の意識としては、家庭のことも含め、何がしたいのか優先順位がハッキリせず、自らの可能性への諦め、研究が好きだから研究を続けられればそれでいい、職とかポストなどはどうでもいい、ということが結構多く聞かれる。活躍支援を利用することへの引け目や遠慮、逆に甘えがあり、良きメンターの協力を得て、自分のレベルを客観的に自覚する必要があると思う。
発表資料
分科会グループ発表
山口大学:
  • このたび女性研究者支援室を立ち上げるに当たって全教員からアンケートをとり、やはり意識改革が非常に重要で、当事者にならないと問題意識を持ってもらえず、子育ての支援制度も整備してあるけれど、誰も知らないという状況になっていた。
  • 本学の女性研究者支援のコンセプトとしては波紋みたいな感じのイメージ図をつくった。意識改革は投げ込まないと波及していかない。また、波紋はいつか消えてしまうので、投げ続けなければいけない。
大阪府立大学:
  • 今、大学が次の段階に進むためにとても難しいと思っているのは、男女共同参画はすごくいいことだという共通認識はあるが、個別案件になったときに、それを実際に認めてもらえるかどうかというところ。大勢としてはいいことだけれども、うちの学科で育休が出たら困るみたいな壁があって、意識改革の意識といったときに、総論賛成・各論反対で、個別案件で支援できなかったら意味がない。そこをどう突破していくかというところが難しい。
上智大学:
  • 男性のロールモデル集「Sophianの仕事と子育て−男性編―」を制作した。ロールモデル集は、女性研究者支援事業採択期間中に理工系の女性研究者を中心にした第1集発行し、その後、全学的な取組みとして女性研究者全体をフォーカスしたものを第2集、英文版として留学生や海外の協定校等へ情宣向けに第3集を作成した。今回の第4集は、男女問わず研究支援員を配置し、日頃からワーク・ライフ・バランスの支援を行っていることから、自然の流れで男性に目を向けたものを作ろうということになった。教員のみならず職員にも協力してもらい、チームリーダーやグループ長で育児短時間勤務や育児休業取得者に執筆をお願いした。世間では「イクメン」という言葉は定着してきているが、男性はその言葉自体に複雑な思いがあること、そしてそのように感じている男性の気持ちを女性も理解するきっかけいになる一冊になったことは、大きな一歩になったと思う。
佐賀大学:
  • 今年の内閣府の男女共同参画週間は「家事場のパパヂカラ」というキャッチフレーズだった。これまでの女性研究者支援や男女共同参画については女性向けのイベントが多かったため、今年度は男性から男性向けにということで、文化教育学部で社会教育が御専門の男性教員(50代)に、ランチタイムに御自身の子育ての話をして頂いた(その学部では男性教員も育休を取ったりされている)。参加者は10名ぐらいであったが、別の学部の子育て中の男性教員の方で大変感動された方がいて、その後、第2弾をやりましょう、という運びになった。
電気通信大学:(支援(支援室の利用)を受けることにネガティブであることに対して)
  • 女性のネットワークを上手に使う。必要だと思う人は全員使っているが、やはり最初はそうではなかった。けれども、2ヶ月に1回ランチョン・ミーティングを実施して、皆さんが仲よくしてもらえるようになった。また、若手の女性教員は年上の女性教員の意見に敏感に反応する。特に(電気通信大学は)理系の単科大学であまり人数が多くないので、例えば研究支援員を雇うことに遠慮がある場合、「(条件に合えば)みんな使っていいんですよ」というようなメッセージを内側から発信できるような仕組みがあるといいと思っている。
東京医科大学:
  • 3年前に短時間勤務制度をつくった結果、これまでは退職していた女性が戻ってくれるようになり、現在20数人が利用している。
     逆に、今度は、常勤に戻る壁というものがあることが明らかになった。常勤に戻るんだといかに引っ張っていくか、本人たちのモチベーションをいかに上げるか、周囲の意識と共に女性自身の意識改革も必要だということを、強く感じている。
  • 病院経営にとって女性支援がプラスになるという考えで取り組んでもらえるように、管理者の意識改革も必要。