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資料4

開発課題名「超高速シミュレータを搭載したユニバーサルMRIプラットフォームの開発」

最先端研究基盤領域 機器開発タイプ

開発実施期間 平成26年12月〜平成30年3月

チームリーダー :  拝師 智之【株式会社エム・アール・テクノロジー 代表取締役】
サブリーダー :  巨瀬 勝美【筑波大学 名誉教授】
中核機関 :  株式会社エム・アール・テクノロジー
参画機関 :  筑波大学
T.開発の概要
 本課題では、核磁気共鳴画像法(MRI)の開発効率を飛躍的に増大させるユニバーサルMRIプラットフォームの開発を行う。超高速シミュレータ内蔵型MRIプラットフォーム、次世代光伝送ユニバーサルMRIハードウェア、それら要素技術を搭載した実験動物(マウス)用MRIを開発・実証する。本プラットフォームの実現により、我が国のMRIの開発人材と資源の不足を克服するとともに、生命科学研究への貢献が期待できる。
U.開発項目
(1)超高速シミュレータを搭載したユニバーサルMRI-OSの開発
 核磁化の動きを数値計算するMRIの画像生成シミュレータを開発した。高速シミュレータで評価値を求めることにより、最適な画像が得られるパルスシーケンスを決定する手法を確立した。GPGPUの使用により、三次元画像を用いたシミュレーションが、繰り返し時間TR=5.3 msでの実行がパソコン上で可能となった。さらに、ハードウェアとソフトウェアの改良により、従来のシミュレータに対して70倍の高速シミュレーションを実現した。
(2)汎用MRI静磁場磁石に接続できる光伝送MRIインターフェイスの開発
 MRIの構成機器を光伝送方式によって接続し低ノイズ化と安定化を両立させ、研究用から臨床用までの幅広いMRIへの対応を可能にした。
(3)超伝導磁石を用いたマウス用MRI装置の開発
 上記の(1)(2)を搭載したマウス用MRIを開発し、64×128画素の画像を1秒間に同時で7枚取得することができた。また、開発した三軸勾配磁場コイルを用いて、マウスの脳神経線維の走行状態を可視化する拡散テンソル画像(DTI)を取得するなど、目標を大きく上回った。
V.評 価
 本課題は、超高速シミュレータ内蔵型MRI-OS、光伝送ユニバーサルMRIハードウェアと、それらの要素技術を搭載したマウス用MRIを実現することによって、マシンタイムと緩和時間に律速されずにMRIの開発効率を飛躍的に向上できるユニバーサルMRIプラットフォームを構築することを目的とした。
 独自の発想に基づき、シミュレーションの大幅な高速化など、当初の目標以上の成果をあげている。シミュレータで最適化されたパラメータを測定機へフィードバックできる独自機能の活用によって、新しいMRIの利用方法の拡大が期待される。
 現在は小動物用に装置開発が行われているが、シミュレータの併用による測定時間の短縮は、医療用のMRIにも効果的であり、医療現場との連携などにより、人体への応用についても積極的に展開していくことを期待する。
 本開発は当初の開発目標を達成し、それを上回る特筆すべき成果が得られたと評価する。 [S]