チームリーダー : |
百生 敦【東北大学 多元物質科学研究所 教授】 |
サブリーダー : |
栗林 勝【株式会社リガク X線機器事業部 部長】 |
中核機関 : |
東北大学 |
参画機関 : |
株式会社リガク
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- T.開発の概要
- チームリーダーらはこれまで、X線透過格子を用いる高感度X線イメージング技術の開発により、X線が弱吸収物体を透過する際に生じる僅かな屈折をとらえる高感度撮影を可能としてきた。生体軟組織に有効であることを活かして、これを医用画像機器に適用する開発を行ってきたが、さらに高分子を含む材料・デバイスなどの工業生産管理や安心・安全を目的としたX線非破壊検査のため、高速撮影が可能なオンライン検査機器、および、高空間分解能三次元撮影が可能な精密検査機器の実用化開発を行う。
- U.開発項目
- (1)位相敏感X線スキャナ装置プロトタイプ
- 開発機の基本性能として、コンベアスピード10.5 mm/sを達成、空間分解能についてはスキャンの方向、および、それに垂直な方向で、空間分解能0.2 mmを実現した。視野はスキャンに垂直な方向(スキャン幅)で最大235 mmを達成した。スキャン方向はスキャンステージのストロークに依存するが、現状では200 mmである。外装については1035(W)×460(D)×700(H) mm3、重量約100 kgとなり当初計画よりコンパクト、軽量化を実現した。
- (2)X線位相CT装置プロトタイプ
- 開発機の基本性能は、空間分解能について、吸収CT画像では空間分解能5 μmを達成したが、位相CT画像では空間分解能8 μm程度となった。これは使用したX線源の焦点サイズによるもので、これを開発中のより小さいものに置き換えれば、空間分解能5 μmは達成可能である。密度分解能は、50 mg/cm3を確認した。外装については、防X線カバー部:1900(W)×1200(D)×1900(H) mm3、X線発生装置電源部:600(W)×1000(D)×850(H) mm3となっており、当初予定より大きくなっている。これは、空間分解能だけでなく撮影視野が大きくとれる測定モードを備えた方が製品価値として重要との判断であり、今後の商品開発に向けての試みである。
- V.評 価
- 本開発は、X線タルボ・ロー干渉計という新原理のX線干渉計を実用化するべく立ち上げられたものである。
協力メーカーは我が国を代表するX線回折計やX線分光装置メーカーであり、研究者とメーカーが力を出し合って、ほぼ実用化の目処を立てている。自主開発で進めた重要部品である高アスペクト比の回折格子の自作が未完で課題として残ったが、一定の目途も立っており近い将来解決するであろう。本装置の応用展開も、積極的に進められており市場性の調査も進めているが、諸外国のメーカーも参入してきており、新規の市場を早期に開拓して製品化と販売の実現に期待する。
本開発は、当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する。[A]
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