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資料4

開発課題名「クラスターイオンを用いる固液界面評価技術の開発」

最先端研究基盤領域 要素技術タイプ

開発実施期間 平成26年12月〜平成30年3月

チームリーダー :  松尾 二郎【京都大学 大学院工学研究科 附属量子理工学教育研究センター 准教授】
サブリーダー :  宮山 卓也【アルバック・ファイ株式会社 分析室 室長】
中核機関 :  京都大学
参画機関 :  アルバック・ファイ株式会社
T.開発の概要
 クラスターイオンを用いる二次イオン質量分析法により液体および固液界面の化学状態分析を実現する。開発により、100 Paの低真空下で液相が表面に存在する濡れた状態の試料の分析を可能とし、ガス雰囲気下の実用触媒やバイオ材料などの評価に適用することで、これまでの手法では得られなかった界面の化学状態に関する新たな知見が期待される。
U.開発項目
(1)二次イオン質量分析法による液体および固液界面評価技術の開発
 低真空中へのプローブビーム引き出し技術について、Arクラスタービームを用いて100 Paの低真空下でもポリマーであるPMMAをスパッタできることを実証した。ホロー型液体試料分析機構は、微少なピンホールを形成し、蒸気圧の低い液体を0.1 Paの低真空に導入することに成功した。
(2)高輝度クラスターイオンビーム発生源の基盤技術確立
 電流密度1 mA/cm2以上の大電流クラスターイオン生成技術を確立し、さらにビーム径を数μm集束しても目標の電流密度が得られた。クラスターイオン収束カラムは、作動距離を短縮し、レンズと差圧用のピンホールを一体型とする収束カラムの開発に成功した。
V.評 価
 本開発は、クラスターイオンを用いた二次イオン質量分析法により低真空下での固液界面の化学状態を分析するもので、水分を含んだ生体試料や二次電池などの解析が期待できるものである。
 高輝度クラスターイオンビーム発生源の開発、低真空SIMS装置の開発など当初の目標を達成している。本装置は、生物、医学対象分野で利用されるソフトなイオン化法として期待されるが、そのためには本装置でなければ確認できない固液界面に特有のデータの取得が必要であり、今後のさらなる進展を期待したい。
 本開発は、当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する。[A]