資料4

開発課題名「超高温熱物性計測システム装置の活用・普及促進」

最先端研究基盤領域(旧一般領域) 開発成果の活用・普及促進

開発実施期間 平成23年11月〜平成26年3月

チームリーダー :  大塚 誠【東北大学 多元物質科学研究所 准教授】
中核機関 :  東北大学
参画機関 : 
T.課題の概要
【装置】
 本プログラム「機器開発タイプ」において開発した超高温熱物性計測システム装置を開放(共同利用)する。この装置は、高精度の融体の熱伝導率、比熱、放射率、密度、表面張力計測が可能である。
【内容】
 半導体の結晶製造や超耐熱合金の精密鋳造あるいは精密溶接など高温融体が関連する高付加価値製造プロセスにとって数値シミュレーションは必要不可欠なツールである。現在、その基盤を支える融体の熱物性値データベースの充実が求められており、本装置を活用した融体の熱物性データベースの構築を目指す。また、本装置の融体熱物性計測装置としての標準化を目指す。

U.評価項目
(1)共用装置の活用状況
 共用稼働日数は、2.5年間で累計383日であり 最終目標(530日)を下回った。内訳は、(内部利用)累計344.5日、11件、(外部利用)累計38.5日、4件、であり、外部利用は目標未達であった。
(2)成果発表
 チームの成果発表は、学会発表17件、論文発表3件であり、最終目標を達成した。共用先との成果発表は、学会発表16件、論文発表4件、企業からの依頼分析2件と最終目標は未達であった。
(3)その他の成果
 産業界からニーズの高い溶融ステンレス鋼、ニッケル耐熱合金の熱物性を測定し、これらの成果を産業総合技術研究所が編集している分散型熱物性データベースに提供して、日本国内における溶融金属材料の熱物性データを拡充した。また、平成24年度に改訂された鉄鋼便覧へ本共用装置で測定した高温融体熱物性値を提供した。
V.評 価
 本課題は、機器開発、およびソフトウェア開発タイプで開発した超高温熱物性計測システム装置を共用に資するもので、金属等の試料を電磁浮遊させながら、試料に加熱用レーザーを照射して熱物性を測定するもので、試料容器からのコンタミネーションはもちろん、熱物性への影響もほとんどない画期的な測定が可能となり、金属材料分野の研究、および産業界への活用、普及促進を図ったものである。
 本装置で得られた研究成果は高く評価されており、関心を持つ研究者も多い。ホームページを作成し学会等で紹介するなど共用の広報活動について努力しているようであるが、外部利用の実績には必ずしも繋がっていないようである。ソフトウェアによる省力化・自動化で、既に少人数による測定が可能になっており、企業の機密確保も容易と思われるので、所属機関とも連携して今後の活用体制を確立することを期待する。本課題は、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。