チームリーダー : |
大塚 浩二【京都大学 大学院工学研究科 教授】 |
中核機関 : |
京都大学 |
参画機関 : |
弘前大学
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- T.開発の概要
- 微量生体試料の電気泳動分離を簡便な操作で実現するためのマイクロデバイスを開発する。直線状微小流路の注入口に試料溶液を滴下し、単電圧を印加するだけで試料成分を濃縮・分離できる要素技術を進展させ、検出感度を10,000倍以上に向上させる。さらに、チャネルアレイデバイスおよび二次元分離デバイスへと発展させ、MS検出との統合により生体機能解析のハイスループット化に貢献出来るシステムの構築を目指す。
- U.開発項目
- (1)汎用型試料濃縮-分離デバイスの開発
- 糖類の10000倍濃縮による高感度(200 ppt)で高分離能の分析を実現した。血清糖タンパク質の前処理-糖鎖遊離-濃縮・分離プロセスを確立したが、糖鎖分析の感度は目標値に達しなかった。また、光学異性体分析技術も確立できた。しかし、タンパク質、DNA、カチオン性試料(生理活性アミン)の分析技術は最終目標を達成できなかった。
- (2)チャネルアレイ、二次元分離デバイスの開発
- チャネルアレイデバイスの開発では、2種の試料を同時に検出できることを確認した。
また、糖試料の検出下限60 pptを実現した。二次元分離デバイスの開発では、DNAラダーの400秒以内の40 ppbの検出を実現したが、分離性能・検出性能は目標値を達成できなかった。
- (3)分離濃縮デバイス-MSスプレー接続システムの確立
- MCEではなくCEであるが、濃縮・分離した試料をMS検出し、標準ペプチドの検出下限0.1 ppmを実現し目標を達成した。
- V.評 価
- 高速だが、分離能と検出感度に問題がある”マイクロチップ電気泳動(MCE)” の弱点を克服する為、LVSEP技術を活用した簡易操作型電気泳動チップによる分析技術を開発する課題である。
成果として、200 pptのグルコースラダー(G1〜G20)の検出に成功し、約10,000倍の濃縮率を達成したが、糖鎖、タンパク質、DNA分析等については最終目標を達成できなかった。特にタンパク質、DNAの分析は、濃縮能・分離能に課題が残る結果となった。また、分析用マイクロ流路のPVA修飾の改善のため、PVA表面修飾法に替わり「真空乾燥法」を考案した結果、歩留まりが大幅に改善した。分析対象を限定すれば、簡易で高感度なバイオ分析要素技術の見通しが立ったと言える。
今後は、主要なバイオ分析が可能なデバイスの開発の為、他の研究機関との連携を積極的に図り、開発を推進する必要がある。
本開発は、当初の開発目標を達成したとは言えず、現段階では本事業の趣旨に相応しい成果は得られていないと評価する[B]。
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