木の葉、売ります。
ベンチャーに見る日本再生へのヒント
高知工科大学大学院起業家コース
丸善 2006年
近年、日本経済はようやく長い低迷期から脱却し、再び成長路線へと歩み始めている。しかし、中山間地域においては、少子高齢化の流れとともに、バブル崩壊以降、地方での都市と地方の経済格差問題が深刻さを増してきており、急速な過疎化など社会問題となっている。こうした実態を踏まえ、これまでの活用しなかった地元の環境や観光資源に注目し、大企業では模倣することのできない小回りのきいたベンチャービジネスを中山間地域に立ち上げることによって、衰退した地域を活性化させる取り組みが各地で行われつつある。本書では、日本全国のベンチャービジネスの8事例をピックアップし、設立や運営に関するノウハウや苦労話を紹介している。この中で、地域発のベンチャービジネスを成功させる方法として、地域の自然を有効に生かす「商品」の価値創造だけではなく、優れたリーダーとリーダーに触発された地域住民など「人間」の価値創造も重要であると論じている。今後の中山間地域問題を解決させる新たな手法として、本書を推薦したい。
(馬渕 泰:高知工科大学マネジメント学部 講師)