社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築|RISTEX

RISTEX社会技術研究開発センター

藤森 克彦

日本福祉大学 福祉経営学部 教授
みずほリサーチ&テクノロジーズ 主席研究員
2021年7月~2023年3月

近年、生きづらさや様々な生活上のリスクを抱える個人や世帯が増えています。この背景には、地縁、血縁、社縁といった共同体機能が脆弱化する中で、社会的に孤立して、他者とのつながりが乏しい人が増えていることがあります。特に、単身者(一人暮らし)において、社会的に孤立する人の比率が高いことが指摘されています。
ところで、単身者は1980年代半ば頃から大きく増加しており、今後も中年層や高齢者層で増えていくことが推計されています。また、未婚の単身者も増加しており、親しい友人や知人がいない場合、身寄りがなく、社会的に孤立することが懸念されます。日本は、「家族依存型福祉国家」といわれるように、善かれ悪しかれ、家族の役割が大きい国です。身寄りのない人々が増えていく中で、家族だけではない「つながり」をもてる社会が重要と考えます。

プロフィール

1965年生まれ。92年国際基督教大学大学院行政学研究科修士修了、みずほ情報総研(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)に入社。96年~2000年まで同社ロンドン駐在研究員となり、日本と英国の社会保障制度の比較研究を行う。2000年代中頃から、「家族依存型福祉国家」の日本で、単身世帯が急増していることに着目して、単身世帯の社会的孤立や貧困などの研究を始める。2017年から日本福祉大学に赴任。みずほリサーチ&テクノロジーズも兼務。

専門分野・関心分野

身寄りのない高齢者が増えている。これまで高齢者が、①日常生活支援、②身元保証、③死後事務、などを必要とした際に、多くの場合、同居する家族が自動的に対応してきた。しかし、身寄りのない高齢者にはこうした支援をする家族がいない。そこで、「家族機能の社会化」に関心をもっている。

著書・論文

  • 藤森克彦、杉山京(2022)「中年未婚者の社会的孤立の実態とその特徴」(国立社会保障・人口問題研究所編『生活不安の実態と社会保障—新しいセーフティネットの構築に向けて』東京大学出版会、231-255頁)
  • 藤森克彦(2022)「社会的孤立の実態とその問題点についての考察」(『季刊 個人金融』ゆうちょ財団、2022年冬号、10-20頁)
  • 藤森克彦(2021)「単身化する社会と社会的孤立に対する伴走型支援」(奥田知志・原田正樹編著『伴走型支援――新しい支援と社会のカタチ』有斐閣、35-52頁)
  • 藤森克彦(2021)「中年未婚者の生活実態と老後への備えに関する分析―「単身世帯」と「親と同居する世帯」の比較」(『年金研究』公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構、No.15、52-76頁)
  • 藤森克彦(2017)『単身急増社会の希望』日本経済新聞出版社

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